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少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第一章
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夏休みと古代の都市


明日全ての結界が発表されるが、参加した各国の生徒達には。



帰郷までの数日をギル・ジータで過ごす短い夏休みになっていた。そこでオーラル達は仲良くなったエバーソンに誘われ、何人かと海水浴に出かけることになった。



ギル・ジータ北部は、広大な森である。その一部を開拓して、農園を作っていた。スパイス農園の森を抜けた先に。小さな避暑地ナグアの街はあった。



ナグアの住民の多くは農園で働き、小さな漁港で、細々漁業をするのが、主な財源である。漁港のある港から高台に、ギル・ジータ王国の貴族等が所領する。別荘がある。エバーソン家所有の別荘は、過ごしやすいログハウス風になっていて、ビーチまでは、緩やかな坂を下れば直ぐの立地にあると自慢していた。


海を一望出来る。素晴らし絶景の眺めは、一見の価値があった。




翌日も忙しい。バレンタイン教頭に断りを入れ。シルビアとケイタも誘ったが、二人は宿舎に残ると言うので、オーラルとピアンザは泊まりがけで出掛ける。二人はその日の夕方には、エバーソンの別荘にお邪魔していた。



━━翌朝。



エバーソンと、イブロ、ピアンザ、オーラルの男4人が、主に重い荷物を手に。高台にある別荘から。坂道をひーこら言いながら下り。ビーチのある海岸に降りて行く。


「ふう~暑い」


汗だくになりながら、サムエの布で作られた。傘と呼ばれる日除けを開き、長い柄を焼ける砂に。突き刺して、日陰を作った、サムエの布を、細いロープ状にし。編み込んだ敷き物、御座と呼ばれるのを砂浜に轢くと、焼けた砂すら和らげると知って驚いた。



エバーソンは、薄手の羽織るタイプのサムエの下に。鍛え抜かれた身体をさらし、組立式のテーブルを用意していた。イブロは飲み物や食料の入った、かなりの重量の荷物を下ろして、顔が真っ赤だ、


「大丈夫かイブロ?」


一息付いてる間に、竈の用意を済ませたオーラルに。一つ頷くが、エバーソンが気を利かせ。冷たい飲み物を取り出しイブロに渡した。虫歯が逃げ出しそうな。真っ白い歯をニッカリ綻ばせ。実に旨そうに冷えた飲み物を。一息に飲んでいた。


「ぷは~生き返る……」


中身は、爽やかな酸味のあるジュースと聞いて、オーラルも少し貰うと。なるほどこれは旨いと感動していた。



オーラルは1人、エバーソンの別荘にあった釣竿を準備する。さほど泳ぎは得意ではないオーラルだが、釣りはわりと得意である。大物を釣るぞ気合いを入れていると。ザッザッと砂を噛む音が聞こえてきて。


「わっ若……、おっお待たせしました」


輝くような日差しの中。純白の白い肌を。羞恥に赤くしながらも。エバーソンとは、色違いのサムエを羽織るサミュは着痩せするボディーを、一生懸命隠そうとサムエを引っ張るが、無駄ではない?、内心で冷静に突っ込む。


「似合うぞサミュ!」


素直な、エバーソンの賛辞に、


「わっ、若……」


真っ赤に俯き。とても嬉しそうにしていた。間もなく他の女性陣がやってくると。砂浜も華やかになっていた。


「ケイタ、シルビアも来れば……まあ~無理かな」


「ああ~そうだな」


ピアンザと二人。苦笑していた。

最初こそ、そわそわしてたイブロ、ラトワニアのセシルは気があったのか、直ぐに意気投合。二人は海岸を歩きながら話していた。



━━お昼頃となり。それぞれが自慢の一品を出した。ピアンザは、アレイク王国名物の塩と。ギル・ジータの香辛料を使った料理をオーラルが釣り上げた魚の香草焼きで作り、かなりの好評だった。



昼食終もおわり、少し迷ってたエバーソンだったが、少しだけ固い表情をしていた。


「実はな。ここから見えるあの島」


半島の先を指していた。人の住まぬ、無人島があると呟いた。



「あの辺り、海流が激しく、競り立つ、岩盤が、槍のように、乱雑に並び、近付く船の船底に穴を開ける難所なんだ」


話す内に。徐々に決意も固まっていたようで。何かを告げる気になったようだった。


「その島から、北に10海里行くと、古代の神殿があるんだ……」


こいつ……、


みんなも気付いたようだ。エバーソンは何らかの目的があって、皆を誘ったのだと……、


それに彼の魔法は、風の防御魔法がメインと聞いていた……。空気を作り出すことも可能であるとも……。



セシルは単純なところがあるのか、目を輝かせ興味を抱き。妹の泳ぎが苦手なナターシャが、気の毒なほど青ざめる。


「ふむ……このメンバーなら、行けるか」


イブロが、ニヤリ獰猛に笑う。冒険好きな質らしい。


「ねえ……オーラル、君に神殿に向かうか、任せたい!」


静かだが、深い悲しみを瞳から読み取り。オーラルは仕方ないなと頷いていた。まあ構わないだろとの了承を示せば、


「ありがたい!」


サミュと素直に喜んでいた。




━━小舟を二艘に分けて、オーラル達は出発していた。



目的の途中まで船で向かい、日が随分と低くなっていた頃。間もなく日が落ちて夕方になるだろう。そう考えていると。



重しにロープが繋がれた物を。エバーソンとイブロが海に投げ込んでいた。船が流されないようにするためのアンカーだと聞いた。エバーソンが空気の膜の魔法を全員に掛けて、先に海に飛び込む、最後尾を泳ぎが苦手なオーラル、補助を申し出てくれたピアンザが勤める。



海に飛び込み。目に入るのは、濁りの無い。スカイブルーの海で、西日に焼かれた海は、日の光により、オレンジ色に変わっていた。下を見ると見たことも無い小魚が、集団で回遊していて。あまりに幻想的な美しい光景に。緊張してた、ナターシャの顔にも、ようやく笑みが浮かんで。みんなに大丈夫よと微笑んで見せた。ようやく7人の緊張も和らいだようだ。


エバーソンが言っていた古代の神殿がある場所は、海流の早い難所で、水深もかなり深い場所にあるとのこと。

オーラルはそんな場所を何故知ってるのか?、小さな疑問を抱く。




こうして泳いでいると。海中だからこそ分かることもある。ギル・ジータの海岸線は、浅瀬が多く。この辺りも、さほど深くはないが、やはり……疑問が浮かぶ、エバーソンが止まり、指す先を見て、感嘆の声を飲んでいた。



巨大な渓谷が……7人の前に広がっていたのだ。

海中とは思えぬ光景に。誰もが魅入った。自慢気な顔のエバーソンの気持ちが良く分かる。指を下に下げる合図がされて、エバーソン、イブロの二人が先頭になって泳ぎ、女性3人、ピアンザ、オーラルと続く、ピアンザの肩には、折り畳み式の弓がある。念のためらしい、



苦労しながらも海中の渓谷を抜け、自然に出来たとは思えない、岩山の一つにある深い横穴を指して、入って行く━━。



急激な海流の変化が起こったが、エバーソンの魔法は、急流に阻害されることもなく。やがて緩やかな海流に侵入して、流れに身を任せながら、海中トンネルを抜けると、巨大なお椀をくり貫いたような、場所に出ていた。



ピアンザが上を指したから。見上げればみんなが上を目指し泳ぎ出していた。オーラルもピアンザに頷き。上に向かって泳ぎ出す。程なく━━。


「プハ~。はっ……、はっ、空気がある……」


久しぶりに空気を吸った気分になっていた。安堵の吐息を吐いてると。


「オーラルこっちだ!」


イブロに呼ばれて、すでにピアンザが、海中から出るとこだ。



海中から洞窟のような場所に上がり。イブロとピアンザに付いて、奥に進んで行くと……。



海中にあるとは思えない。美しい光景に息を詰めて立ち尽くす女の子達に追い付いていた。その間オーラルは小振りなリックから。携帯食のチョコレートと水を皆に振る舞う。


「おっ、ありがたい!」


イブロが満面の笑みで受け取り早速食べる。山岳地帯にあるドヴィアの民にとって、チョコレートは大変高価な物なのだとイブロは言う、アレイクではわりと安価な保存食だが……、元々薬の原料たる。カカオが手に入りにくいからだろうか?、


「イブロ宿舎に帰れば、念のため持って来たチョコの予備があるから、お土産にプレゼントするよ」


「真か!」


ガバリ、音がする勢いで肩を掴まれ揺すられた、驚いたが本当に嬉しそうな顔を見て、目を丸くしながらも頷いてやると。それはそれは嬉しそうに相好を崩していた、


「父が大好きなのだ。喜ぶ!」


案外親孝行な男だと。オーラルが感心していた。


「イブロ、オーラルこっちだ」


ピアンザに呼ばれて、さらに奥のある。海底洞窟に、入っていった。程なく、セシルが炎の擬似精霊を呼び出して、宙に浮かべた。彼女は擬似精霊使い(エレメンタラー)らしい。エレメンタラーとは、擬似精霊を産み出して、操る付属魔法の使い手の事である。


「この先に、古代の街と神殿がある」


しばらく歩いてると、人工的に造られたと分かる。広い円形状の空間に出た。



出口が、高台にあったのか……、


「これは……」


7人の眼下に広がる。見たこと作りの異国の町並みに。誰かが息を飲んでいた。



━━最も高い建物は、街の中心部にある。多分あれがエバーソンの言う神殿らしき物か……。


「これって……。古代のエルフの遺跡かしら?」


ナターシャの呟きを耳にして、ピアンザの目が細まった。



古代のエルフとは、黒の民、白の民、緑の民の三種族を指す名称である。西大陸には、黒の民が国を築いたと言われていて。魔導王国レバンナの魔王ヒザンが、古代の民の末裔と言われていた。ピアンザの耳は……いや、ピアンザはピアンザだ、小さく首を振っていた。





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