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少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第一章
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英雄王の始まりの物語


━━━聖アレイク王国


今年も、王都カウレーンでは、風物詩である。異国情緒の衣装を着た子供の姿を見る。アレイ学園の入学式が行われるのだ。民にとってもお祭りの始まりを告げることと、笑顔が溢れていた。


聖アレイク王国にあるアレイ学園とは、初代国王の父、聖アレイよって始まりの都、王都を建てたことを祝い聖アレイの弟子達の一人、賢者の手により建てられた学舎が始まりである。学園の理念として、特別な三人の弟子達を生み出すこと理念とされていた。100年の歳月の中で。特別な称号を与えられた人物が五人だけいる。その特別な称号とは『オールラウンダー』と呼ばれている。


プロローグ



東の大陸。聖アレイク王国━━。



王城の執務室。

南大陸にある。同盟国のファレイナ公国。大使ミザイナ嬢との会談中。妹姫が、大事なぬいぐるみが無くなったと。大騒ぎしたのには、いささか、辟易しながらケレルは、冷や汗を拭い席に着いた。


「失礼した」


静かに笑むミザイナ嬢は、


「そんなこともあります」


愉しげに笑ってくれた、救いである。 彼女が、アレイ学園の卒業生であったことも一因であろう。妹姫にも、困ったものである。

「君に来てもらったのは父王から、頼まれてね」

妹は、退出せずキョトンと立ている。背後には、北大陸出身の黒髪メイドのジーナが、ケレルに目配せして、妹姫を連れ出してくれた。妹には、勿体無いくらい吉備に敏感な女官である。内心感謝しながら、表情を改めた。


「ミザイナ嬢、エドワルド公が、わざわざ来る目的は、やはり……?」


厳しく。表情を改めて、小さく首肯する。

深く。深く。ため息を吐いた。


「魔王ヒザンが殺され……。新たなる魔王が生まれたか……」




━━聖アレイ学園。



アレイとは、この国の建国した。偉大なる王の祖、祖父『聖人』の名を戴いた。




学園を開校して100年……、

聖アレイ学園には、5人の特別な人間を産み出した。その者達を……、


『オールラウンダー』と呼んだ……






━━10年前。聖アレイ学園。





━━王都カウレーン。



今年も、世界中の国々から、聖アレイ学園に入るため、子供達が集まる。




朝から、大通りは賑わい。異国情緒たっぷりの衣装が、溢れていた。アレイ学園は、広く門戸を開いていて、一般人から、貧民、貴族を分け隔てなく、就学は、12才から2年、国民ならば誰でもが学ぶ権利である。



就学の2年だが、その間に。成績優秀と認められた生徒には、さらに4年の進学を認められる制度があった。それは文武の内。一定の成績を修めた優秀な者を

『特待生』として認め。魔法の習得や。僅かながら金銭の補助が、与えられるため。勉強に必要な様々な物は、無償で貰える特典が保証された制度である。その為アレイ学園に入学した生徒は、『特待生』になる努力を惜しまない。



何故ならば卒業後、軍部での就職が、優遇れるからだ、一番人気の近衛連隊、

聖アレイ教のフロスト騎士団、さらに狭き門ながら、

王宮魔導師の道すら、開ける可能性があるから。学生の多くは、国王に感謝して、勉強に勤しむ。『特待生』制度を設けたのは、初代学園長だと言われているが……、彼が聖アレイの弟子だったからだ。



━━━王都の東、



聖アレイ教のある大通り。大聖堂のある通りは、商会が軒を並べていて、荷が集まる早朝は、苦学生の小銭稼ぎ時である。人足に混じり、学生の姿もあるのは、きつい仕事だが、金払いも良いからである。



黒髪で、眠そうな眼差し、やる気がなさそうな顔は生まれつきで、柔らかな、優しい目をしていた。


「オーラル、そいつで終いだ、ぼちぼち行かなきゃ、遅刻だぜ」


がっちりしたガタイの大きな、男達に混じり、細い身体なのだが、


「は~い、よっと」


ズシリと重い。一つの塩袋でも。かなりの重量だが、軽々3つ担ぐオーラル。感心混じりの親方は、ため息混じりで、呆れ顔で見送る。


「変わらんなあいつは……」


禿げた頭を。つるりと撫で、皮肉気に苦笑していた。


「親方。ご苦労様」


「これは旦那、おはようございます!」


恰幅のある。身なりの良い商人が、満面の笑みで、店から出てきた商会の主である商人は、帳簿を見ながら。荷の数を数えてたようだ。


「オーラル君が、手伝ってくれてたようですね~」


たるんだ頬を。優しく弛める。

商人にとって、時は金、オーラルに、好感を持つ商人は多い。

「しかし彼が『特待生』になるとはね……」


感慨深く、様々な気持ちで呟いていた……。商人の多くはオーラルの父と取り引きしていた。それはオーラルの父が、優秀な土竜騎士どりゅうきしとして有名だったから。と同時に彼の家庭環境を知るだけに。感無量なのだろう……。



ターミナルの街と呼ばれる交易の街には、地下に広がる広大な迷宮があり。南大陸と繋がっていて、海上以外の交易品の輸送。地下迷宮にある村、街を巡る定期便。魔物の討伐。新しい村の開拓と多岐に渡る仕事を請け負うのが、土竜騎士と呼ばれる者達。



性質上━━土竜ギルドに在籍するのだが、オーラルの父リブラは、土竜騎士として、初めて受勲したほどの冒険者だった。



地下迷宮とは、古代の民が作ったと言われているが、今は南大陸だけに繋がっていて、南大陸と交易するアレイク王国にとって。海上より安全な交易路として。使われてる。商人は交易輸送をギルドに依頼して、土竜騎士は土竜を操り、地下迷宮を走る。商人と土竜騎士は、それゆえ腕のある者に依頼する。



聖アレイク王国にとって、建国より土竜を聖獣と定めている。諸説あるが、王家の秘事とされている。


土竜騎士は、土竜と意思を通わせる訓練を。幼い頃よりしていて。特殊な笛により、意のままに操る者。土竜騎士とは、特別な職業と言われていた。



それは……、様々な地下に対する知識だけでなく、動物、魔物、魔獣の特性。生態を、深く。正しく知る知識が必要であり、様々な武器の扱いに長けなくば。勤まらない職業であるためだ、器用な人物が多いとも言われる。リブラの子オーラルも器用貧乏を、ひくたちである。



━━数年前、



オーラルの父は、何かの調査で、地下迷宮を巡り、大崩落で、行方不明になった……。


家の大黒柱を失った、ハウチューデン家は、家計を助けるため。姉が働きに出ていた。母は、孤児院の手伝い等をして、孤児院の畑で作った。野菜など分けてもらって、親子三人寄り添うように。何とか生活していた。



母には内緒で、家計の助けにと、オーラルは、学園に行く。早朝の僅かな時間で。毎日、1日も休まず荷下ろしのバイトをしている。


もう二年もだ……、慣れた人足ですら根を上げる。きつい仕事を……、一言の文句も言わず。オーラルを雇ってくれた商人に。感謝すら口にした。



━━苦労してるのに……。

優しい少年に。皆が、温かく見守っていた。


オーラルが、『特待生』に選ばれた……、それを知ったこの界隈の貧民、商人は、密かに喝采したのだ。


優しい性格のオーラルは、人足からや、孤児から人気があった。毎朝、ご飯を分けてもらえるくらいには━━、


慌ただしく服を着替え。オーラルは、店から走ってく姿を。温かな眼差しで、人足達は見送った。




━━王都の南。


広大な敷地内に。沢山の施設が作られ。学年別。クラス別の学舎が隣接しているため。毎年広大な校庭に、新入生が1000人以上集まる。そのため、校庭では、新入生が、広大な敷地の学園の地図を前に。あたふたしていた。



━━校門。


学園入り口にある。掲示板に。新入生の学舎が、張り出されてるため。大変混雑していた、理由は地図をいくら見ても。学舎は広く、場所によっては、馬車に乗らなければ、行けないクラスもある。乗り合い馬車の場所を覚えるまで、毎年迷子が沢山出る程だ。


そこで学園側としては、毎年のことである。混乱を緩和させるための処置として、学生による案内人制度を設けていた。二年生以上の生徒、主に『特待生』『院』生徒が、駆り出されている。


しかし学生にとって、悪い話ばかりではない。案内人を勤めた生徒には、個人ポイントが付くので、多くの二年生。主に一般生徒が参加していた。苦学生の多い『特待生』は特に率先して参加していたが……、


それには理由がある。主にポイントが関係している。アレイ学園には、特有の制度があって。個人ポイントによる。様々な特典と学園生活に必要な。様々な恩恵を得られるからだ。学園の個人ポイントとは、貨幣と同じ力がある。生徒はポイント稼ぎに。奔走することになる。



━━━賑やかな正門を避けて、


遠回りになるが、『特待生』の学舎のある。演舞場の裏にある。林道を、使うことにした。

「……ん?…」


……怖がるような。悲鳴がした。

急いでるのだが……、だけど苛立つ声を耳にして、仕方なく立ち止まる。

相手を萎縮させる怒気に。眉をひそめていた。


「貴様、俺様を知らないだと!、馬鹿にしてるのが?、俺様は王家に連なる。バローナ様だ、身体に教えてやる……」


大柄な少年は、ニヤニヤ嫌な笑いをしてる二人の取り巻きに、少女と見間違うほど、可愛らしい顔立ちの幼い少年を捕まえさせていた。東大陸には珍しい。黒髪の少年は、別の大陸の生徒だろか?、肌は絹のように白い。今にも泣きそうな顔をしている。一瞬目があった、動物が、すがるような目を見て、迷ったが……、


「お前達!、そこで何している」


ビッグ、三人は身を堅めた、

だが、相手がオーラル1人と分かるなり、嫌らしく笑いながら。


「先輩でしたか、こいつが、俺様の事を知らないと抜かしたので、教えてやってるとこですよ」


分かるでしょ?嫌らしい目を向け。ふてぶてしく笑う、リーダーが余裕を取り戻したから、取り巻き二人は、馴れ馴れしく。顔を近付けて来て、


「先輩……、知ってますよね?、バローナ様が、王家に連なるエトワール家の御曹子であると」


嫌らしく、粘っこい視線に辟易して、最早呆れていた。


「知らんな~そんな奴は」


「えっ……」


呆気にとられ。取り巻きがポカーンとした。そんな隙を、見逃さず。少年を引き寄せ。三人を凍り付かせた。三人が我に返る。


「おっ、お前!」


怒りを露に激昂して、大柄な少年バローナは、真っ赤になって怒鳴り散らすが、気にする必要を感じない。


「君、大丈夫かい?」


目に、涙を溜める少年を。労る眼差しで見ると、やや心配そうにチラリ三人を見たが、素直に頷いていた。


「貴様!、無視す


るな」


馬鹿にされたと怒り、我を忘れて、殴り掛かって来た。素早く立ち上がり。バローナの拳を、軽く受け流し、体制が崩れた瞬間。一歩踏み込み、身体を密着させ。相手の力だけで、あっさり投げ飛ばしていた。女の子のような顔の少年は、魔法を見たようにビックリして。目を丸くした。


「グヒッ……」


背中から落ちて、無様な姿をさらす。


「君のクラス分かるかい?」


「ええと……」


困った様子の新入生を。このまま置いてける空気ではない。すがるような、子犬のような目で見上げられては……、

こうなれば遅刻は仕方ないか……、半分あきらめ、手を繋ぎ、さっさと行こうとすると、


「おっお前!、この俺様に手を上げて、無事でいられると思うなよ」


唾を撒き散らして啖呵を切った。仕方なくバローナを平眼した瞬間。勢いが弱まるが、


「きっ、聞いてるのか!、俺様は王家に連なる……」


まくし立てるバローナ。取り巻きは、オロオロするばかりだ。



ただただ呆れていた……、


新入生は真っ青になって震えた、不安そうにオーラルを見上げたが、何の不安すら浮かんでない顔に。不思議そうに首を傾げた。


「そこのお前━━。バローナと言ったな?、いつでも来るといい。君が『特待生』になれるなら、戦ってあげるよ。何時でもな」


堂々と宣言され……、バローナは指差した手が、カクンと勢いを無くし。顔面蒼白……、パクパク息を吸うことすら忘れた。呆然と立ち尽くした……、アレイ学園には、厳然とした不文律が存在している。自分の正しさを武力で証明することが、正式に許されているのだ、



今回の場合。苛めていた三人は、先生に訴えても、逆に罰則を受けるのは、三人の方である。さらに『特待生』は、国を支える武官になる可能性が高く。貴族と言えども。自分に被がある今回のような場合。オーラルが正しい処置なのだ。



少年の手を引き、彼のクラス探しに、奔走したが、程なく見付かりホッとした。


「先輩!、ありがとうございました、ぼく先輩のようになります。」



憧憬の眼差しに、くすぐったい気持ちになった。少年はケイタと名乗った。伴った教師を見送った。


迷子を助けたことで、迷子の仕事と認めてくれた教諭から。特別にポイントが加算された。


『遅刻にならず。助かった……』


オーラルが、ホッとした理由がある。『特待生』は、三回の遅刻で、強制退学にすると言う。厳しい学則があるからだ。


まだオーラルは、一度も遅刻はないが、退学は困る。リスクは無いに限る……、


そうなると、時間が余る。

『特待生』は特別に。案内人に出ない生徒は、新入生の歓迎会は、出なくても構わない決まりだ。それには理由はある。


「演舞場に行くか…」


何故かと言うと……。


入学式が行われた翌日から。学生による武芸大会が行われるからなのだ。『特待生』が案内人をやらない場合。必ずどの大会かに出場しなくてはならない。

オーラルも複数の大会にエントリーを済ませていた。



昨年の成績は、

体術の部。参加240人中、3位だった、

剣の部、430人中、5位だった、


大会は、入学式翌日から、4日間で行われる。年に一度の学園のお祭りである。




 例年入学式では、武芸大会が行われている。剣の部、体術の部、槍の部、弓大会である。二日目には内外の入学を望む生徒の父母、民がお祭り代わりに、大いに最終日まで楽しむのが習わしである。今年の見どこは昨年異国の少女が優勝した剣の部であろう、今一つ人気のない弓矢の競技会に比べて、剣の部と体術の部は人気の競技で、多くの民が押し掛ける。それは王家の天覧試合が行われているからだ。



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