ムショ帰りかよ
俺は、いつものようにチェルシーを連れて男のパラダイス、高台へ夜のドライブに出かけたんだ。絶好調の俺の上には、裸のチェルシーが覆いかぶさろうとしていた。
「おい! お前、ロバートだろ! 話があるから降りてこい!! 」
おいおい、それはないだろう。俺のお楽しみの時間を邪魔するのかよ!!
窓の外を見ると、Tattooだらけの男とピアスだらけの男……二人の男が俺を睨んでいた。俺に何の用だか知らないが、お前たちのことなんか知らないぜ!! 無視を決め込もうとした時だ。
隠し持っていた鉄拳で俺の車をボコボコにし始めたんだ。
「ロバート!! てめぇ、俺たちの妹をよくも弄もてあそんでくれたな。本当はお前をぶっ倒したいが、刑務所から出てきたばかりで猶予付きの身だから、今回だけは、お前に手を出さないが、自慢のこの車をボコボコにしてやるぜ」
こいつらは、エレーナの兄貴たちなのか?! まったく、ついてないぜ!
俺は急に不機嫌になり、俺にまとわりついて甘えていたチェルシーを冷たくあしらったんだ。そんな時だ!……チェルシーが、突然窓を開けて大声で叫んだんだ。
「セバスチャン! ホセ !! いい加減にやめてよ! 」
びっくりしてチェルシーの顔を見たら、チェルシーは服を着ながらこう言ったんだ。
「彼らもエレーナもうちの近所なのよ」
男二人もチェルシーの叫び声に驚いたのか、走り去って行ったが、俺はこの時、気づいたんだ。貧乏人に手を出すとトラブルの元だなって。
車の外装はボコボコにされたが、まだ走ることができたのは、不幸中の幸いだ。再びチェルシーを抱く気にはならず、そのままチェルシーを送り届けて帰宅したんだ。
帰宅したら親父がちょうど帰ってきたところで、ガレージでバッタリ逢っちまったのさ。俺の車がボコボコにされていてびっくりしてたが、笑ってたよ。
「女は、選べよ! 高い勉強代だな」
さすが、俺の親父だけはある。何が起こったのかなんて言わなくとも理解していたようだ。おそらく、親父にも似たような経験があるのかもしれないな。
翌日、親父はハマーを買ってきやがった。これなら安心だろうと笑いながら、俺に鍵を投げつけたんだ。
俺は、スポーツカーが欲しかったのに、くそっ!!
でも、仕方がないよな。
義理のお袋は、でっかなダイヤの指輪を光らせながら、「早く18歳になってこの家を出て行って欲しい」って呟つぶやきやがった。
まったく、ふざけた欲深よくふかばばぁだぜ!
週が明けた月曜にハマーで学校に行ったら、みんなが笑いやがった。もうすでに俺に起こった事件が話題になっていて、俺はみんなの笑いものだったんだ。