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俺は大人だ

 翌日、俺は学校から帰宅するとすぐにシャワーを浴び、髪型をビシッと決め家庭教師の康代を待った。康代は、10分前に家について俺の部屋に入って来た。今日も髪を後ろにひっつめ、地味な服を着て、伊達眼鏡だてめがねをしている。


「さぁ、今日は、この問題を解いてみて。ロバートの弱点は昨日分析したから、そこを集中して解いていきましょう」


 いつのまに俺の弱点分析したんだよ。俺も早くお前の弱点を見つけだしてやるぜ。


 俺の隣で一緒にパソコンをのぞきこむ康代のうなじが妙に気になる。ちょっと鼻を近づけるとほんのりジャパニーズチェリーブロッサムの匂いがますます俺を興奮させたぜ。俺は抑えきれなくなって、康代の耳元に軽くキスをしたんだ。


 康代は、フンと鼻で笑って言ったんだ。

「ロバート。盛りのついた猫じゃあるまいし、節制もできないなんて……やっぱりガキね。私、ガキは嫌いよ。あなたにはなんの魅力も感じないわ」


 康代、それはないだろう。俺は、ロバート・スペードなんだぜ。高校一のモテ男で誰もが俺と付き合いたがるのに、お前は俺の魅力がわからないだけなんだ。


「俺は、お前を絶対落としてみせるぜ」


「バカなこと言ってないで、さっさと問題解きなさいよ」


 ちくしょう。俺をガキ扱いしやがって。


「次のSAT (大学進学適性試験)のスコアが上がったら俺とデートしようぜ。約束してくれたら勉強するぜ」


「何言ってるのよ。さっきも言ったでしょ。私、あなたに興味ないの」


「じゃ、俺は勉強しないぜ。お前、親父から文句言われるだろうな」


 こいつの弱みを見つけたぜ。こいつは俺の家庭教師だ。俺の成績が上がらないと評判はズタズタになる。卑怯なのはわかってるが、俺にはこれしか思い浮かばなかった。


「そう、わかったわ。じゃ、しっかり勉強してちょうだい」


 俺は、康代のために毎日、必死で勉強した。親父は、俺の豹変に驚いてたぜ。毎日、学校からまっすぐに帰宅し、家庭教師を待って勉強に精を出してたんだからな。親父も俺に合わせて毎日早く帰宅し、俺たちを見守ってたぜ。


 SAT (大学進学適性試験)のテスト当日、俺は自信満々な気持ちで挑んだんだ。絶対、康代とデートしてやる!

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