金はいっぱい! 人生は遊びだ!!
この物語は、悲しくも真実の愛を知らない……
けれど……女と金には、何不自由する事なく生きて来た男たちのほとんど真実(?!)のストーリーである。
◇ ◆ ◇
俺の名は、ロバート。 なんだと?
俺のことを知らない? お前は貧乏人だろう?
金持ちなら俺の名を知らない奴など……いない。
そうだ。俺の名は、ロバート・スペードだ!!
俺は、不動産王の息子として生まれた。生まれた時から俺にはマンションやら会社の役員給与やら、生活するのに困らないほど、いや……正直に言おう、有り余るほどの金が毎月手に入る。こんな親の元に生まれてきた俺。そう……一生働かなくても、金には困らない。金は、生まれながらに与えられてきたんだ。
小さい時から、そりゃ大事に(?)されて育ったぜ。
両親は仕事やら社交界やらに忙しいのに、年に数回時間を作ってわざわざ俺をバケーションに連れて行ってくれたのさ。カリブ海クルーズなんかには、もう何回も行ってるぜ。お前ら庶民がこんな話を聞くと、自慢してるのかよと思うかもしれないが、事実だから仕方がない。まっ、僻むなよな。
俺は、小さい頃までわりとまじめなガキだった。日曜日に教会に通って神様に拝んでみたりもしてたさ。俺が12歳の時、両親が離婚して、お袋は家を出て行った。親父の浮気が原因だとずっと思っていたが、お袋にも男が居たと知ったのは、ずいぶん後になってからだった。
まっ、俺にとってはどうでもいいことなんだ。俺を育ててくれたのは、両親に雇われたナニーのマリアだったからな。
マリアは、俺のお袋同然の存在で、俺はマリアさえそばにいてくれれば両親の離婚などどうでもよかった。
あいつらが、おれと過ごすのは、バケーションの時とどこかへ買い物に行く時くらいだったから親とはそんなもんだと思って育ったのさ。俺のまわりのガキたちも似たり寄ったりの境遇で、親の離婚や再婚なんてみんなが経験する事だと思ってたし、親なんてベビーシッターやナニーに預けてパーティやら旅行やらに行く俺らを生んだやつとしか思わずに育ったんだ。
たまに、テレビや雑誌の取材の時は、ニコニコ顔で抱き上げてみたり、頬ずりしたり、バカみたいにわざとらしく面倒見てくれたけどな。
俺は、両親の離婚なんてほんとどうでもよかったんだが、あいつらは離婚と同時にナニーのマリアに暇を出しやがったんだ。両親の離婚よりマリアがそばにいなくなる方が悲しかったぜ。
あいつらにとって、俺はもう12歳だったんだろうが、俺にとってはまだ12歳だったからな。まっ、体格だけは一人前になっちまって大きかったから、頭の中身なんかそこらのガキと変わらないのに、男として見られてたんだろうな。
それなら、俺も早くに男になるぜと女の子と付き合い始めたのもその頃だった。ガキのくせに大人ぶってたけど、実は何も知らなかったのさ。
まっ、寂しさもあったんだろうな。俺も大人ぶってたけど、まわりの女達も寂しい境遇が多かったのか、俺よりませてたのかは知らないが、俺が女を知り本当の意味で男になったのは、13歳の時だったぜ。
相手は同じ年のリタ。母親が南米系なだけあって早熟な女だったぜ。あいつだって初めてのはずなのに、積極的だった。俺は、ただ言われる通り棒のような男だった。そして、女の裸をその時、初めて見た。驚いたのなんのって……。マリアのしょぼくれた乳しか吸った事なかった俺が、まだ本当の意味で成熟してないとはいえ女の裸を直視したんだぜ。
男なら、誰もが初めは驚くよな。
初体験を済ませたら……俺はリタの体の虜になったんだ。男としての快楽に目覚めたんだ。毎日、学校が終わるのを待ちわびた。親たちはそんな俺たちの関係など想像すらしてなかったはずだ。
時々、庭の人影のいない場所でも愛しあったんだ。それはエキサイティングな体験だった。恥じらうリタを裸にすると、あいつは太陽の光の中で輝いてた。そんな小さな冒険が二人に興奮をもたらしたんだ。
俺たちは、大人になったと思っていた。
寂しさは、未熟な俺たちを錯覚させ感覚を陥れたのさ。
寂しさを埋める為、体を重ね合った俺たちは、それを愛だと信じてたんだ……。