『終わりは……まで』
自分で書いてて恥ずかしくなってきました。
コンビニ、やっとの思いで着いたのは二十時。
店長にはさっき、警察官から連絡があったはずだから事情は知ってるはずだよな。
コンビニの前に着いた。さて、中に入ってすぐに仕事を……
「いらっしゃいませー。って、あれ? 佐伯さん。遅くないですか?」
そう言ってきたのは、バイト仲間である、高校生の【寺石 智】だ。
懸命な子で、とても良い子だとは思う。だが、彼は彼女持ちだからそれだけはダメ。許せない。
「ちょっと警察に捕まってな……遅れた」
「えっ! 佐伯さん捕まったんですか!? 何やったんですか!?」
「いやいや、俺がやった訳じゃないんだよ。格好似てるからって捕まっただけだ。そういや店長は?」
「あ……店長なら裏にいますよ」
俺は、コートを脱ぎながら、コンビニの奥に行く。すると、店長が奥の方で座っていた。
何でこんな緊張した空間になっているんだ……?俺が来たのを気づいたらしく、「そこに座ってくれ」と言った。
店長は俺よりも歳をとっている。結婚もしているらしい。羨ましい。
そして俺は、店長の目の前に座らされる。
「健吾くん。君はもうクビだ。帰ってくれたまえ」
その言葉は、疲れた体を、疲れた精神をまた、一瞬でズタズタに切り裂いていった。
「え……な、なんでですか!」
俺は咄嗟にその理由を訊く。
「だってさ、露出狂に似ている人がいたら、コンビニの悪い噂がたって、人が寄らなくなるじゃないか。だから、やめて」
理不尽だ。何と言おうと理不尽すぎる。俺が似ているのは格好だけだと言ったのに、なぜ辞めさせられなければならないのか。
その後、俺は店長に、店には近づかないでくれと言われ、コンビニから立ち去っていった。
智は俺が店から出て行く姿を、首を傾げて見ているだけだった。
人が、とてつもなく憎い。
何故こんな理不尽な出来事ばかり俺を襲う。
おかしいのは、この世の中だ。
この世界も――憎い。
曇り切って淀んでいる空を見上げながら、歩く。
人は昼ほどはいない。だから、このまま歩いたってぶつかる事はないだろう。
そう思い、そのまま、階段を降りようとする。が、次の瞬間――
「ぬわっ!?」
何かに足を滑らせたのか、それとも足をかけられたのか、もしくは押されたのか分からない。
唐突すぎる出来事で何の判断も出来なかった。俺は階段から転げ落ちながら、角に頭をぶつけたり、体をぶつけたりなどして、どうにか回転を抑えようとする。
だが、体が痛く、パニックになり、何も出来ないまま、地面まで転げ落ちた。
――終わりなのか。
微かに開く目からは、自分の血液だろうか。
赤い液体が少しずつ周りに広がっていくのが見えた。
それに、段々と意識が遠のいていく。
俺、死ぬんだな。すぐに悟った。
死ぬ前ってこんな感触なのか。痛い。だけど、体が段々と楽になっていく。
時間の流れをゆっくりと感じることが出来る。もう、ダメか――。
そう思った瞬間、目の前に一人の制服を着た女子高生が現れる。彼女は俺の目の前でしゃがみこみ、顔をじっくりと見る。
段々と閉まっていく目で微かに彼女の顔を見る。茶髪だが、髪は結いもせず降ろされていて、言っちゃえばセミロング。心配そうな顔で俺を見ている。
可愛い。どちらかと言えば可愛い。
自分の最期が、女子高生に心配されて終わる人生だったとは……
頭が言うこと聞かなくて、何も言葉を発することができない。誰かが、病院に連絡したらしい。
だが、おそらく俺は治療してもらってもダメだろう。
なんとなく分かるんだよな。自分が死ぬって。
俺は最後の力を振り絞り、女子高生の全身を見ようとする。
いいよな、死の前くらい、見たってさ。
少しずつ、目線を彼女の顔から下に降ろしていく。体は細身のある体で、胸も結構あるみたいだ。
どんどん、少しずつ下にずらしていく。
もちったした太もも、膝、脚……
あっ、
「女子高生の……ぱんつ」
白か……
そして俺は、ゆっくりと目を閉じる。
一瞬でも、今まで生きてきて本当に良かったと感じた瞬間だった。
最期に見たものは、女子高生のパンツだった。
次話もまたよろしくお願いいたします!