十一 『スライムってなんだ……』
銃声が鳴り響く。
ミラルの撃った弾は俺の体に当たった。
少し、ピリッとした痛みがあったが、血は出ていないし、ましてや銃の弾が体を貫通したわけでもない。
そうか、中の溶解液で銃弾を溶かしたのか。
……とすると……? じゃあエナは、エナはなんで倒れたんだ?
「スライムだから銃弾は効きませんよってか……? ハッ! 面白ぇじゃねぇか! なら直接殴りにかかってやるよ!」
そう言い、ミラルは物凄い剣幕で俺に襲いかかろうとした。
いやだから、溶解液のせいであってスライムの特性うんたらじゃないんだよ。それ分かってくれよ。
ミラルは俺の体を素手で掴み、振り回して何回も地面に叩きつける。
何だろう…………あんまり痛くない。
普通にスライムとかって物理攻撃効果あると思ってたけど、実際はそんなにないんだ……スライム体質になっておいて良かった。もし刃だったらボロボロにへし折られてた。
しかしエナ…………どうしよう。元はスライムだ。おそらく死んではいないんだと思う。
「いや、あのさ。なんて言うか、全然痛くないだけども……」
ミラルは手を止め、俺を遠くに投げ飛ばした。
「何だよそれ! ふざけんなよ! 俺の住んでるところスライムいねぇから戦ったことねぇんだよ! 聞いてねぇよ!」
文句を言いながら地団駄踏んでる。
飛ばされた俺の身にもなってくれ!
俺はスライムダッシュでエナのそばに駆け寄った。
「もう少し勉強してこいよこの筋肉バカ! プロテインばっかり飲んでないで少しは座学してみろ!」
「座学してるとイライラしてくんだよ! 常になんかしねぇと気がすまねぇ!」
「お前は多動性障害者か!」
ミラルは益々怒ってしまったようで、顔を真っ赤にしながら意味不明な叫び声をあげる。
すると、中央で激戦を繰り広げていたかもしれないゴリラが飛んでやってきた。
うっさ! 何ゴリラ共鳴してんだよ!
「いくぞ! 奴を捻り潰して餅みたいにして焼いてショーユにつけてノリ巻いて食ってやるって勢いでいくぞ!」
隣にいるゴリラはドラミングをし始める。
いやいや、
「具体的すぎて逆に興味が湧いてくるからやめろよ!」
と、俺は言った。
ゴリラとミラルは二手に分かれて、俺とエナを挟むように配置を変えた。
二人同時の攻撃だ。何をするか分からない。もしかしたら、プリキュアみたいに合体技してくるかもしれない。ビームとかいきなり出してくるかもしれない。
どんな攻撃にせよ、まずはエナを連れて避ける方法を考えなければ!
次話もよろしくお願いいたします!




