1日の終わりに
「ベル、ただいま。」
「おかえりなさい、鈴。遅刻せずに間に合った?クラスのみんなとは仲良く出来そう?」
「今日はね、生徒会長に会って、アイドルの子に会って。クラスのみんなとは仲良く出来そうでよかったかな。葵ちゃんって子がいてね?明るくて素敵だったな。遅刻さえしなければ素敵な1日だったかな?てへ。」
「てへ。じゃないでしょ?
まぁ入学初日に色んな人と仲良くなれたのはいいことね。葵ちゃんって子だけ名前出てきたけど、その子の事好きになっちゃった?」
ベルはさらっと変なことを聞いてくる。私はそんな気は一切無いのに恋の話にしようと茶化してくる。
「違うよ。まず私も葵ちゃんも女の子です。そう言う関係になる人達もいますけど私は違いますぅ。」
「あらそう?好意があってどうこうしたいからって話なのかと思ったわ。ごめんなさいね。それで変わったこととかなかった?やっていけそうかしら。」
「そう言えば大したことではないと思うんだけどね?アイドルの夏無ちゃんって子と握手した時に静電気みたいなビリって感じがあったんだけど。何だったのかなぁ?」
「静電気・・・ねぇ。まだ空気が乾燥してるしそれで起きてしまったのかもね。それで印象が悪くなったわけでもないんでしょ?気にしなくてもいいんじゃないかしら。」
「そうだよね。別に夏無ちゃんは笑顔でまたねって言ってくれたからいいか。」
「そうそう。気にしすぎて変にギクシャクするのもよくないからね。次にあったときは笑顔で挨拶すれば相手も返してくれるはずよ。」
「そうそう、もうひとつだけちょっと気になったことがあるんだけどね?遅刻した理由が女の子が倒れてたのを助けたからなんだけどね?その時近くのお花とお話ししてたら言葉がノイズみたいなとっても嫌な音が聞こえて。こんな事初めてだから何だったんだろう?」
「んー鈴はいつでもお花とお話ししてるからもしかしたらその力が不安定になっているのかもね。なんでもやり過ぎ、使いすぎはよくないわよ。ほどほどにすればそれも無くなるんじゃないかしら?それにしても今日1日で本当に色々な事があったのね。お疲れ様。」
「んー大丈夫、ベルと話してたら疲れも無くなったよ!いつも聞いてくれてありがとね。」
「あらそう?これくらいでよければいくらでも話を聞くわよ。そのために鈴にこの力を授けたのだから。まだ冷えるからちゃんと暖かくしてから寝るようにね?後、遅刻はしないように気を付けましょうね。」
「はーい。明日はちゃんと起きるよう頑張るよ!おやすみなさい。」
こうやっていつもベルとお話をしている。話をしていると気持ちも整理できてリラックス出来る。相談にも乗ってくれていつも助かってる。変なことを聞いてくることさえなければ・・・ね。
そう言えばベルに未来を見せたクロタネソウの事を話してなかったっけ・・・。
そう考えているうちに私は眠りに落ちた。
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鈴、気を付けて。学園には同じ様な力を持った能力者達がいるわ。知り合った中に悪い子が混じっていなければいいのだけれど。わかっているだけでアイドルの夏無、遅刻したときに助けた子。この二人は間違いないわね。この調子だと他にもまだ何人かいる可能性があるわね。
鈴の力の事、花と話が出来るだけではないと言うことはまだ話さない方がよさそうね。不用意に力を使うと取り返しのつかないことになりかねないものね。
ごめんなさいね。信用してない訳じゃないの。ただ本当にお話ししたかっただけの私のエゴを許して。そのせいで巻き込まれるようなことがあれば・・・。
六花学園、ここには何か嫌な気がする。気を付けなさい。私の取り越し苦労だったらいいのだけれどもね。
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夢を見ている。
私があの四階にいて、回りには生徒会長に桜って子、葵ちゃんに夏無ちゃん。それに見たこと無い人が。
何だろう、これは未来のことなのかな。それとも過去?
とても暖かくて懐かしくて、出会って間もないはずなのに。どうして。今度は。
今度?何だろう。頭の中がぐるぐると、立ちくらみかな。
あぁみんな心配しないで。私は大丈夫だから。
何が?
何で?
どうして?
貴女は・・・
これは夢の話、だったのかな。