出合い②
入学式を遅刻した、と言っても幸い気づいている人は少ないようで。
「おはよう、今日から同じクラスになる鈴です、よろしくね。」
「こちらこそ、1年間よろしくねー。」
なんて、席の周囲の人達と仲良くなることができた。
ホームルームに間に合って良かった。なんとかこのクラスでやっていけそうかな。この学園の生徒は様々な地域から来ているので元から友達と言う関係の方が珍しいので少し助かったようだ。
「おはよう、貴女入学式の時に顔を見てないような気がするのだけれども、お名前は?私は日向葵って言うの。」
「初めまして、えっと、少し込み入った用事があって遅刻しちゃいました、私は花野鈴って言います!」
「へぇー鈴ちゃんか、いい名前だね。これからよろしくね。用事があるからって大事な入学式に遅刻なんて駄目だよ?」
日向葵と名乗る少女は見る人が見れば眩しいくらいに笑みを浮かべ手を差し伸べてきた。こうやってクラス全員に話しかけているのだろう。委員長に推薦するならこの子だなと心で思いながら握手をした。
「鈴ちゃんで今いるクラス全員に話しかけられたかな?さて席に戻って先生を待ちましょう。」
そう言って彼女は自分の席に戻っていった。
それと同じくらいにホームルームが始まるチャイムが鳴り響いた。
「よーし、お前たち、席につけ。新しく友達を作るのもいいが決められたことは守っていこうな。」
こうして私の学園生活が始まりを迎えた。
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入学式そうそう遅刻する子なんて滅多にいないからね、この子の事を少し見てみようかな。
もしかしたら私と同じ面白い事が出来る子だったらいいな。
そう思って見てみると同時に頭に痛みを覚えた。
何これ・・・痛い。見るのをやめたとたんに痛みが和らいだ。
やっぱりこの子は何か特別な存在なんだ。じっくりと観察させて貰うからね。
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今日が入学式と言うこともあり午後からは自由な時間となった。
そのまま帰宅する者や、部活へ行く者達など様々だ。
私は入りたい部活も無く、学園を散策している。
学園に咲いている花に何処に何があるか教えてもらいながら見て回っていると、何か人だかりを見付けた。一人の少女を囲って催しをしているようだ。
「今日は私のために集まってくれてありがとーー!最後にいつものあれをやるよー☆みんな、準備はいいかなー??」
「「「おぉぉぉぉぉ!」」」
「夏無のなは!」
「「「泣き黒子が可愛い!」」」
「夏無のつは!」
「「「ツインテールが可愛い!」」」
「最後のなは??」
「「「夏無は世界一可愛い!」」」
「みんなーありがとーー!」
(こんな子も学園にいるのか・・・。)
私は心の中で思いながら立ち去ろうとした時に、
「お?観客に女の子がいる!おーい、きみー、まってー。」
(もしかして私の事?早くこの場から立ち去りたいな・・・。)
「初めましてだね。夏無のライブにようこそ!同じ新入生かな?これから3年間夏無をよろしくね☆」
「あ、初めまして。私は鈴って言います。新入生なのにもうこんなにファンがいるなんて凄いですね。」
心からそう思った。上級生かと思いきや、同じ新入生。なのにざっと数えても百人はいそうだ。
「夏無はね、昔からアイドルしてたからね!この学園でも知ってる人がいてその人が私の事を教えて見に来てくれてファンになってくれたの!鈴ちゃんもこれからよろしくね☆」
手を握られブンブンと上下に振り回される。
その時バチッと電流が走る様な嫌な感覚が身体に走った。繋いでいた手をパッと離した直後にその感覚が失われた。
「痛っ?!」
その感覚は夏無にも訪れていたようだ。
静電気にしては起きるのが遅すぎる。この感覚はいったい・・・。
「んーごめんね、何か静電気みたいなの感じちゃって手を離しちゃった☆今度は最初から見に来てねー。」
「う、うん。こちらこそ、ごめんね。機会があれば見に行くからね。」
夏無はライブの片付けをしに戻っていった。
この学園には本当に様々な人がいて飽きないなぁ。そう思いながら他の場所へと向かった。
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いったい何だったのか。いつものように夏無は夢中になって貰えるように念じただけなのに。あの電流が走るような痛みは。
あの子には何かあるのかもしれない。
何もないとしても絶対夏無に夢中にさせてやるんだから。
そうと決まれば次のライブを考えないとね☆
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深夜テンションで書いたので誤字とか直したつもりなんですがあったらこそっと教えてほしいですね()