出合い①
やっとの思いで学園にたどり着いた。
これから三年間お世話になる六花学園へ。
この学園の建物は上空から見ると六枚の花びらからなる花のように見えるそうだ。
背負っている女の子を落とさないよう背負い直し、いざ初登校・・・
「入学式そうそう遅刻なんて、貴女はどのような心構えでこの学園に入られたのですか!!」
学園の門をくぐらせてはもらえなかったようだ。
そこには凛としていて、とてもご立腹な様子の女生徒が立っていた。
「この度、六花学園へ入学させていただくことになりました。花野鈴です。遅刻の罰は受けますのでその前にこの子を・・・。」
と、背負っている女の子を女生徒に見せた。
少しくらい許してもらえるかなと考えていたのだが、
「えっ・・・桜?!・・・はぁ・・・わかりました。貴女の処遇については後回しです。早く彼女を連れて来なさい。」
そう言って足早に歩いている姿を慌てて追いかけた。
この子は間違いなく学園の生徒で、妹さん?にしては似てないようなと考えながら追いかけていると、校舎のちょうど真ん中部分にたどり着いた。
「ここから上へ上がるわよ。着いた先で彼女を休ませて貴女の事を話していただきます。」
エレベーターに乗り込み操作しながら言われた。
沈黙が続くなか、最上階四階に着いた。
「えっ四階なんてあったの?」
三階建てに見えていたこの校舎は中央部分だけ四階になっていたようだ。
部屋にはいかにもお偉いさんのお部屋の様な感じがしている。その奥の個室のような中に入るとそこにはベッドがあった。
「さぁ彼女をそこに寝かせてもらえないかしら。」
私は言われるままに桜と呼ばれた女の子をベットに寝かせた。
ベットからすっと香りがした。柑橘類とは違うそんな香りが。
そう考えながら部屋から出るとい、
「彼女を、桜を助けていただいたこと感謝いたします
。貴女の遅刻は許しがたい事ですがこの件に関しては私の方で処理しておきます。」
「あ、すみませんでした。失礼でなければ貴女のお名前は?」
そう聞くと目の前の女生徒は驚きながらも
「私はこの学園の生徒会長の湊薊です。学園のパンフレットの中は見られてないのかしら?」
少し怒った感じにそう言われ焦る。学園の環境に引かれて志望しただけで学園の事をあまり覚えてなかった。
困った様子を見て
「まぁそこはいいです。とにかく今後は遅刻なさらないよう気を付けなさい。もうここは大丈夫だから早く行きなさい。ホームルームも始まる時間ですからね。」
「そうでした!私はこれで失礼します!」
「1年4組は一階のプロキオンよ。」
「場所まで教えてくださりありがとうございます。」
そう言い残しエレベーターに乗り込み教室に急いだ。ふとなん組か教えてないのに何故知っていたのだろうと考えたが教室に行くのが先だと考えるのをやめた。
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「あの子が新しく入る子ですかな?初々しいです。」
「悪趣味ね、隠れて覗き見なんて。毎度言っていますけど制服は正しく来ていただけないかしら。」
物陰から現れた制服を着崩した女生徒に言う。
「これは会長殿、手厳しいですね。今後注意致しますのでどうか堪忍。それよりも、彼女はどうなんですか?」
「どうもこうも何も知らない。ただ選ばれているのは間違いないと言った感じでしょう。事前に資料は読まさせていただきましたが・・・。」
「そうすると彼女は何も知らないまま学園生活を謳歌してもらいますかな?それもまた一興ですな。」
「時が来るまではこの学園での生活を楽しんでもらいます。然るべき時には選択していただかなくてはいけませんが。」
今年は昨年よりも多くの力を持つものが入ってきている。全員を手駒に出来るのは一番だが多くを望みすぎてはいけない。
「貴女もしっかり働くのですよ、空木さん。」
「わかってるでありますよ。学園のため尽力致す所存ですよ。それでは失礼するであります。」
そう言って彼女は目の前から消えていった。
一息ついて桜のいる奥の部屋へ入る。
「貴女が無事でよかった。」