まっすぐに
殴られていないのに
口の中から血の味が
内部が壊れた証の味が
する
これから味わうのだ
頬に腹に
猛烈な痛みが
炸裂する
何度も経験したじゃないか
痛みに慣れた
耐えられる、もう平気だ
と
腫れあがった頬
痣だらけの身体を
引きずりながら
それでも
一歩、一歩
踏み出せたことが
うれしかった
しぶとい奴
早く消えろよ
通りすがりの
刃
切った勢いで己の身も
切るのだぞ
と言わずに
のどを鳴らして
飲み込んだ
自分の足で立って
まっすぐに
まっすぐに
前を向いて進んでいく
何もすがらず
何も求めず
ただひとつを信じて