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事件から3日後

条約締結から3日。

ネストはずっと胃痛に悩んでいた。

「どうした?顔色が悪いぞ。体調が優れないなら帰って休んでいろ。邪魔だから。」

元凶の片割れがきつい口調でそう言ってきた。


「まぁまぁ。彼が居ないとまだ私たちはこの町をろくに歩けないんだ。」

私はそう言ってセイレンを諌めた。

あの後。

性分というかなんというか。

事件の事が気になった私とセイレンは連合本部には戻らずに町で事件の調査を続けていた。

調印された書類などはすべてモートン氏に任せてしまった。

彼は笑っていたが、やっぱり後で何かしらの礼はすべきだろう。

「おい!」

「ん?」

「お前まで何をボーっとしているんだ?」

セイレンは呆れた調子で大きく溜息を吐いた。

「しっかりしてくれ。」

「ごめん。まぁでも、昨日から聞いている限りだと……」

これから聞き込みに行く人物の返答を予想して、今度は私が溜息を吐いた。


クィレルは基本的に歓楽街を中心に成り立っている。

魔法が使えない事を逆手にとり、この町では軍人を対象にした娯楽が多い。

たとえ隣で敵国の兵士が酒を飲んでいようと武器は使えないし、使われ無い。

異常な平和がこの町にはあった。

そして、娼館ではロッドの経営する店が最も評価が高くカジノでは私たちが踏み入れたこの「メ―エルギス・ディーノ」が最大手だ。

受付でセイレンがオーナーを呼ぶように交渉している最中、ネストが私のローブを引っ張った。

「なんだい?」

「あの……ここのオーナーなんて、正気ですか?滅多な事じゃ人前に出ませんし、出てきても、その……」

「ああ。大丈夫だよ。」

ここのオーナーはとある海上都市の最も危険視されている一族の親戚だという。

本当のことなら、私たちには好都合だが。

「心配しなくても、喰われはしないさ。」

楽天的に言う私を、ネストが心底不安そうな顔で見てきたが、無視する。

しばらくすると、私たち3人は店の奥へと案内される。

そこでは、懐かしくもある、あの禍々しい気配が満ちていた。


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