やっちゃったよ!!モモコVSガツク!!~魔王城出発編~
ある星のある世界。そこにドミニオン国という魔法の国 (笑)がありました。
その国の人々はたまに戦争やら天変地異やらに合いながらも陽気にエネルギッシュに生き、どうでもいいんですけどなんつうか栄えていました。
「オイ文章おかしくね?」
国の国王ホクガン・ラウンドがすかさずツッコミを入れます。このように国王がどうでもいいツッコミを入れるあたりこの国は今まで平和でした。今までは。
「いやだからおかしいだろ。作者どうした?本編ではもうちょっとマシな地文だったよな?何
でそんなどうでもよさげ?面倒なのか?説明嫌なのか?ふざけてんのか?」
……おい…あんたとかなんだよ。久しぶりに出してやったのにあんたとかお前がふざけんな。あと私は基本面倒くさがりやだ。
「開き直るなよ。地文も崩壊してんじゃん。あ、いやいや、だからね」
うっさいボケこっちは久しぶりなんじゃだぁっとれ。ケンカ売ってんのかコラ消すぞコラこのクソ国王がコラ。
「ええええェ!ちょっと何!どうしたんだよ!何でそんな荒んでんだよ!作者に何があったの!一体何が」
と言うわけで
「流すなよ!」
と言うわけで今までは平和そのものでしたが突如そんな温い日常は破られる事となったのです(棒読み)
「ボンクラ!ではなく国王大変です!」
ある日の昼下がり。国王の優秀なスタッフの一人、デュスカが執務室へと飛び込んできました。
「お前今なんつった」
「大変です!(そこじゃないもうちょっと前)北の大諸島に魔王が現れました!」
「なんだ魔王かよ。それならウチにもいんじゃねぇか。軍部で君臨してるだろ」
「確かにそう言われても違和感全然ありませんけどあの方一応人間です!こっちは本物です!」
「もーうるさいなーじゃあ魔王同士戦わせばいいじゃん。『我が本物の魔王』だとか言ってwヤっバwウケるw」
「……おいコラボンクラ国王笑い事じゃないんだよ。魔王の伝説知ってるだろうが。えーとちょっと待って下さいよ。魔王が存在するだけで大気は淀み、陽は隠れ…あー…とにかくありとあらゆる生命は疲弊していく…だそうですよっ!」
「なぁ…せめてメモ見ながら言うのよさねぇか?ていうか設定無駄に重いよ」
「国王今すぐ緊急会議の準備を。主だった方達を招集しましょう」
深刻な顔でもう一人のスタッフ、常識人レキオスが呼びかけます。
「えーめんどいからヤダなー」
しかし非常識人ホクガンは意に帰そうとしません。しかししかし慣れているレキオスはこう返しました。
「国王、未決済の書類が束で百は下らないんで残業」
「何ぃ!魔王だとぉ!それは大変だぁ!」
国王はわざとらしく大声で叫ぶと、デュスカ等にこの国の重鎮達の召集を命じました。
会議の結果はとにかく国で主だった強い者達に討伐を依頼し、それでも駄目だったらありとあらゆる物流と質量でモニャモニャしちゃおうというとにかく乱暴な手段でした。
「じゃあ国王、仲間探し頑張って下さい」
「えっどゆ事?」
「設定です」
「だからどゆ事?」
「あのさー俺さー一応さー国王なわけー。なのになんで国王自ら仲間探し?俺のポジションって逆の命令する側だろ?「おお勇者よよく来たなまぁ座んなさいよ」とかなんとかさぁ。なのに国王自ら魔王退治って何そのアクティブさ。国王なんてよ、「おお勇者よ死んでしまうとは何事ぢゃ」とか言って「じゃあお前が退治にいけよ」とかツッコまれるのが定石なんじゃないの?なんで?なあなんで?なあ聞いてる?」
国王ホクガンは目の前に座る威圧感が超威圧感している一人の大男ガツク・コクサにグチグチと決まった事なのに諦め悪く愚痴りました。
「聞いてない。帰れ」
それを書類にサインしながらガツクが冷たく流します。
「やだ冷たい。つうかお前も行こうよ魔王ガツクさん」
「断る。それと人を不名誉な名で呼ぶな」
「ええ~お前も魔王みたいなもんじゃん。縄張り荒らされてんぞ魔王ガツク。一緒に行って新魔王のお尻ペンペンしてやろうぜ☆」
「下らん事を…魔王などどうでもいい」
「ねぇ~お・ね・が・い♡」
「気持ち悪い。消えろ」
どう言っても魔お…ガツクは動こうとしません。
元々短慮な所のある国王ホクガンは会話開始10分で機密兵器を投入する事にしました。はっきりいって早いです。説得する気がないとも言います。
「あっそ。付いてくる気ないんだな」
「ああ」
「ど~してもいかないんだな?」
「そう言っている」
「ど~~しても?」
「くどい」
「ふーん」
ホクガンはジト目で立ち上がり扉まで進むとぼそっと呟きました。
「どうでもいいと思うんだけど~魔王の名前ってさぁ~……モ」
ガタタッ!!
ガツクはいきなり立ちあがると、国王ホクガンの襟元を掴み扉をバタンと開きました。力が入りすぎていたのでしょうか、扉は大破、ぶつかったコンクリにひびが入りパラパラと剥がれ落ちます。そして近くにいた隊士達が速やかに逃げ、いえ移動しました。
「何を愚図愚図しているホクガン。魔王を早く発見、速やかに捕獲し手厚く持て成した後、恙無く成婚、そののち俺の屋敷で監き…いや未来永劫共に暮さねば世界は混沌たる渦に放り込まれる事は必至」
「うん、うん、予想通りとはいえ最早何処からツッコんでいいかさすがの俺でもわかんねーわ」
「最初からモ…魔王の名を出せばよいものを」
「あのさぁ、お前さぁ、魔王の名前がさぁ、モンテスキュー(フランスの哲学者。『恋愛は仕事のない人々の仕事である』とかスゲー名言言った人)とかだったらどうするつもりだったのよ。俺『モ』しか言ってねぇよな?」
「そうなのか?」
チャッと勇者ガツクはブレイドをホクガンの喉元に付けました。刀身にホクガンの呆れかえった顔が綺麗に映っています。
「当たってるけど~」
「ならいい」
「なんだかな~なんだろうな~この気持ち~」
「カイン」
ホクガンが両手を口元に寄せ、澄みきった青空に問いかけるのシカトしたガツクは執務室から出てきた人物に話しかけました。
「はい」
「レイマドとジ・トリック、二匹の搭乗の準備をしておけ」
ガツクの補佐官カインは、バラバラになった扉と散って行った同胞達を切ない瞳で見ていましたが、上官の聞き捨てならない言葉に我に帰りました。
「え…アレを使うんですか?」
「モ…魔王を迎えに行くのだ、礼式に倣わなくてはな」
「プロポーズしに行くんじゃなくて討伐ね。そこんとこね、一応設定だから。あ、あとダイスとテンレイも連れて行くから」
「ダイスはともかくテンレイか…まぁ必要かもしれんな。万が一という事もある」
「パーティ的釣り合いとかな。テンレイ、白魔法の使い手だから」
「いや違う。モ…魔王がお前やダイスを傷つける可能性がないとも言い切れんからな」
―――え?
「どどどどどうしたガツク俺らのししっしっ心配なんて!!」
初めて聞いた労わりの言葉にホクガンは大いに動揺しました。それも無理はありません。普段ガツクから返される言葉の数々と言ったら「消えろ」「許さん」「どうでもいい」という中々ヒドイものだったからです。
突然のガツクの豹変にホクガンはある事に思い当りました。
「…も、もしかしてお前…魔王化してんじゃねぇの!?やめてくれよシャレになんねぇから!誰もかなわねぇから!伝説の剣とか素手でへし折っちゃうだろうから!どうしよう!始まっちゃう!ようこそ世界大戦!」
「ボンクラが。誰がお前等の心配など。俺はただ、モ…魔王が後々それに引け目を感じるのが嫌なだけだ。優しい心根の奴だからな。お前等など心底どうでもいい」
「よっしゃぁあああ!!よかったぁあああ!!いつものガツクだぁあああ!!」
優しさが魔王化という相変わらず安定のガツクです。一応ここに明記して置きますが彼は勇者です。それとホクガンとダイスの役割は考えるのも面倒なので適当に補完して置いて下さい(ヒドイィィイイイ!!)。
ヒドイのがデフォルメガツクはガッツポーズで喜びを体現するホクガンの襟首を掴むとそのまま引き摺りながらダイス・ラズの執務室まで歩きました。
5分後、右手にホクガンを左手にダイスの襟首を掴んで奥に向かう勇者ガツクの姿が見られました。
勿論、総所の皆は見て見ぬ振りをしました。見慣れた光景だからというのもあります。
「本当にモモコなんでしょうね。嘘だったら今後後悔する事になるわよ」
何がどう後悔するのか説明しない(怖)ままテンレイ・ラウンドが脅しました。
「おい~お楽しみをいきなり言うなよな~」
「どうせそうなんだしいいじゃない」
「魔王の正体って誰なんだろう!?それはね!あのモモコなんだよ!ジャジャーン!っていうのがこう…お約束だろ」
「そんなもん楽しみにせんでも、ガツク対モモコなんて設定自体が面白いじゃねぇか」
「まーそうなんだけどよ。おいガツク」
「なんだ」
「モモコが攻撃してきたらどうすんの」
「避ける」
「魔法をしかけてきたら」
「かわす」
「仲間が攻撃してきたら」
「潰す」
「逃げたら」
「逃がさん」
「モモコの後ろに隠れちゃったら」
「モモコを確保した後潰す」
…………………………。
「よし作戦は万全だな!!!」
えっと、最初に謝っときます。すいません。