嗚呼!!私立ドミニオン学園!!
タイトルに意味はありません。
完全に遊んでます。
私立ドミニオン学園。
それは選ばれし者達が集う文武両道、実力第一の下剋上上等な学園。
今日も今日とて校内には覇権を握らんとする猛者達の暑苦しい雄叫びが響き渡る。
「響くわきゃねーだろ!どんな学校だ!」
即座に突っ込みを入れるこの男の名はホクガン・ラウンド。この学園の生徒会長である。
因みにこの世界でも彼女はいない。
「いらん因み入れんな!」
「何上空に向かって吠えとんのじゃ、ホクガン」
うるせぇのう、と続けた銀黒頭の男、ダイス・ラズ。生徒会副会長。
勿論テンレイに絶賛ヘタレ片思い中 (失笑)だ。
「おぉおおいいぃいい!!」
「うっとおしい男共ねぇ。本当にどうしようもないわ」
皮肉気に言い捨てたのは白金の美女、テンレイ・ラウンド。書記。
そして・・・・・
新学年、新学期を迎えた私立ドミニオン学園。
鬼風紀委員長のガツク・コクサはその恐ろしげな顔を一層顰めて校庭を見渡していた。
休み明け、緩んだ精神はいつものように違反者が目立つ。
(たかだか15日間休んだだけなのに何故こうまで風紀が緩むのだ。これから新入生を迎えるに当たり模範とならねばならん・・・・・やはり殲滅しかあるまい。)
極端な考えに至ったガツクは日本刀を(真剣。え?銃刀法違反?なにそれおいしいの?)握り直すと鬼人の如く学園正門に降臨し、身なり点検という名の粛清を始めた。
「今学期も張り切ってるねェ、我が親友は」
ビシバシ違反者をしょっ引いているガツクをのほほんと見ながらホクガンは言った。
今ガツクは一人の違反者に日本刀を喉元に付きつけ「校章はどうした。いつからお前の母校は「全国制覇」に変わった、あ?この俺も制覇してみろ。」等と閻魔王の如く問い質している。この様子では彼の地獄行きは確実だろう。
「おいホクガン、クラス分け見たか?」
「んあ?いや?」
ホクガンは教室の窓から身を離すと、椅子に後ろ向きに座りだらしなく靠れるダイスの向かいに座った。
「お前とワシ、ガツクにテンレイ、そこにあのベントとロー、キングまで一緒じゃ」
「げげー!なんだその目茶苦茶なクラスはよ!!」
ホクガンはこの世の終わりの様な声を上げた。
今から面倒な展開になるのが目に浮かぶ。
「更にあるぞ」
「まだ何かあんのかよ!」
「シスの野郎が担任だ」
「・・・・・・何かに呪われてんのか・・・」
ホクガンは止めを刺されたかの如く項垂れた。
ガラッ!
「お早う諸君!新学期に相応しい清々しい朝だなっ!!」
ベントが教室の窓が震えるほどの大音量で入って来た。と、
ドカッ!
「邪魔だ。どけ。」
ガツクがベントの背を思いっきり足蹴にしてそのまま踏みながら教室に入って来た。
つま先から後頭部までご丁寧に踏みつけ終わったガツクは席に着くとSHRに備える。
「ガツク貴様ぁ!好敵手を踏みつけるとは言語道断!しかし!俺は!お前の謝罪を心広く受け止めようではないかぁ!!さぁああ!いざ来たれぇぇえええいいいい!!!」
ぶわぁっと大きく両手を広げ、鍛えた胸を惜しげもなく突き出した暑苦しいベント。ガツクの額に青筋が静かに浮き出る。
「あ~ベント。今すぐ席に着かんと俺のミラクルキラーバックドロップ、プ・レ・ゼ・ン・ト❤」
真剣の鯉口を切ろうとしたところで間延びした声と表情で彼らの担任であるシスが呟いた。
命拾いしたベントを処理係のローが引きずっていく。
「全員揃ってっかぁ?出席取んの面倒だから休みの奴は休んでない事にしておけ」
「なんつー教師だ」
「聞こえんなぁ」
シスは片耳に指を突っ込みぐりぐりしながらニヤニヤ笑った。そのド頭に。
ドゴォ!!
「何職務怠慢してるんです。どうせ何の役にも立たないんですから出席取るのぐらいまともにやって下さいよそこのカス人間」
分厚い辞書でシスの脳天を割った副担任のステルスが凍りつけと言わんばかりの低温で言い放つ。
「ぐぉぉおおお」とのた打ち回るシスを「もういいです、どきなさい」と更に足で蹴り上げ、代わりに出席を取り始めた。
担任の扱いを目の当たりにした3-Aの生徒達は全員いい返事だったと言う。
あと、初日から寝過ごしたキングには、虫の居所が悪いガツクからローリングソバットという名の八つ当たりを喰らうというおまけが付いた。
それからは授業をサボろうとしたホクガンが二年の生徒会役員であるデュスカとレキオスに見つかり、捕縛されて椅子に括りつけらえれたり、体育の時間にドッチボールを行った際、ガツクが投げたミサイルのようなボールが狙ったようにベントを吹き飛ばしたりと有意義な時間を過ごした。
そして放課後。
「・・・・ん?・・・・ガツクはどうした。」
定例会議が始まる時間になり、いつもなら時間15分前には席についている糞真面目な鬼風紀委員長の姿がなかった。
ガツクは遅刻したかったわけではない。
せざるをえなかったのだ。
年に一度あるかないかの忘れ物をしたガツクが自宅に戻ると、少々騒がしい。何事かと伺っているとどうやら空き家だった隣に人が入ったらしかった。
(そういえば母が言っていたな。・・・ん?)
引っ越しトラックの荷台から、一人の少女が危なっかしい手つきで荷物を取ろうとしている。と、重すぎたのだろう、足がよろめいた。
(危ない!)
ガツクは咄嗟に走り寄ると少女の後ろからその荷物と体を支えてやった。
その瞬間、ガツクの世界が変わった。
腕に落ちてきた柔らかな肢体。触れた感触にビクリとガツクが固まる。
ふんわり香る少女の匂いが鼻腔に広がり胸が高鳴る。
しっとりと汗に湿った白い肌。
口付け、舌を這わせたい。
(何を・・・俺は何を、いや、これは・・・何だ?)
驚いた少女がガツクを見上げ、茶色と緑の目が大きく開かれた。
ズクン
「・・あ、あの・・あ!ありがとうお兄ちゃん!」
ズクン ズクン
少女は最初おずおずと、次に元気よく礼を口にした。最早甘やかな福音にすら聞こえる少女の声にぶるぶると体が震え始める。(あたり前だけど不審です)
それを感じ取った少女の顔が(この人どうしよう)と困惑気に傾いだ。
「お兄ちゃん?」
ガツクは抱きしめたい衝動を何とか堪えると(通報!通報!警察!いや米軍!ネイビーシールズ出動要請ぃい!)
「俺は隣に住むガツク・コクサという者だ・・・・名は何と言う。」
取り合えず無難に聞いた。
「?」
「お前の名前だ。」
「ああ!ナハナントイウってお名前は?ってことなんだー!あのね、モモコはね!モモコ・クロックスっていうの!」
ガツクはしゃがむとモモコの頬をそっと撫でた。(だけなのに「あぁぁああああ!!!」と叫びたくなるのは何故)
「・・・モモコか。いい名前だな。これから(末長く、永遠に)よろしくな、モモコ。」
「うん!」
捕獲確定宣言を早々にかましたガツクに満面の笑みで頷くモモコ(オワタ)。ガツクも目元を少し緩め、(これからのめくるめくる日々に)口元が僅かに上がった。
その時だった。脳内お花畑展開中のガツクにその言葉が放たれたのは。
「ねえねえ!お兄ちゃんの顔って超怖いね!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
よろしくね!したから友達!だから一番目についた事を言ってもいいだろう!という、モモコの短絡的脳味噌はズバリ、ド真ん中直球を放った。
すごーい!と続けたモモコは感心したようにガツクの顔をしげしげと眺める。
・・・子供の言った事だ・・・・だがなぜこうも胸を抉る様な感覚を覚えるのだろうか。
その曇りのないキラキラとした眼は他意はない事を語っている。なのでガツクも、感じた事もない未知の感覚を感じながらも
「・・・・・・・まあな。」
これは・・・褒めているのだろう。とガツクは若干引っ掛かるものがありながらも無難に応えた。
因みにこの時モモコは小学3年生。堂々の8歳。
そしてあらゆる意味でモモコを狙う捕獲者ガツクは高校3年生。18歳。
何か考えさせられる(紛うこと無きロリコン)差だ。
ここに学園のみならず彼らが住まう町内をも巻き込んだ空前絶後阿鼻叫喚な展開になる壮絶な・・・多分何かが始まった。
因みの因みにこの話は続きません。
いやだから続かないって。
いやマジでね?
いやいやいやいや・・・
言い訳は後日活動報告で・・・