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あのーあなた誰ですか?・・許嫁?冗談ですよね 1

こんにちわ、向こう側の皆さん。

あたしの名前は モモコ・クロックス・・・・だそうです。

なんだか布巾が飛び跳ねてるような名字だなぁ。

でも何となくしっくり来る感じはこれがあたしの名前だと告げている。

それに・・・・ここどこだ?

スモーキーブルーの壁に黄色のカーテン。こげ茶色の小さい箪笥に白いドア。一人暮らし用には最適の小さな部屋。私の住まいらしいが・・・全然見覚えがない。スパーと記憶がない。

見知らぬモノはまだある。


「何でこんな面白そうな、あ、いやめんどくせ、でもなく大変な事に」


長髪のでかい男の人が黄金色の目をキラキラさせて、


「モモコ・・・大変な目に会うのはオメェじゃぞ。無くともいいから、捏造でもいいから捻り出し取った方が」


銀色と黒の短い髪のこれまたでかい男の人が首を振り、


「なんて都合がいいのかしら。こんなチャンス滅多にないわ。」


いい匂いのする綺麗な女の人が呟いている、見知らぬ人達だ。(みんなでか・・・よく入ったなこの部屋に)そしてもう一人の人物も・・・・・


長々と前振りごめん。何が言いたいかというと・・・もうわかってると思うけど要するにあたしは・・・・記憶喪失中だ。




* * *




その日あたしは軍部?の改築中の建物?に入ったらしい。一人で。

何がしたかったのか今となって全然覚えてないけど、そこでナゼか中身が剥き出しの電気コードで

シビビビビビビビビビ・・・・


「はぎゃれべべべべべべ!」


痺れた・・・らしい。

・・・心臓止まらないでよかった。とは落ち着いた頃最初に思った。

叫び声を聞きつけた人に救助され、病院に運ばれたあたしが3日経って目を覚ますと・・・頭が真っ白だったというわけ。

ちなみに、


「モモコっ!!!」


今まで見たことがないほど恐ろしい顔をした男の人が目の前一杯に顔を寄せ、それをまじまじと見た私がまた気を失った事は・・・・よ、余談。(・・・にしてはいけないような気がするのは何故だろう。ついでに悪感もする。)

その後また目を覚ました私に(今度は彼は大人しくしていた。というか男の人達に抑え付けられていた)記憶がない事がわかり・・・大騒ぎへと発展する。

まず、いの一番に先程の顔の怖い男の人が男の人達を投げ飛ばし、女の人を退かして私の肩をがっちり掴んで言った。


「モモコ・・・俺を忘れたのか?俺だ、ガツクだ。俺だけは忘れないだろう?何時もの様にガツクさんと言ってみろ」


間近かに顔を寄せ、強烈な、何かの感情で私を見つめる彼はマジヤバイ人系。そしてなんと言っていいかわからず脂汗を垂れ流す私はもれなく混乱中。彼は無言で目を白黒させているばかりの私に焦れたのかぎゅううと抱き締めてきた。はっきりいって甘い雰囲気など微塵もない。それどころかライブ殺人現場になりそう。


「・・・もうすぐ俺の・・モモコ・・・モモコ!」


とか何とか言っている声が聞こえるが・・・く、苦しい!・・意識が・・だ、誰かたすけ・・・


「この野蛮人が!モモコは大変な目にあったばかりなのよ!いい加減にしなさい!!」


またまた気を失いそうになる私を美女がスパーンと彼の後頭部を靴で引っ張叩いて救ってくれた。危なかった・・・。



* * *



そして今に至る訳だけど。

あたしを囲む輪から外れ、一人だけ部屋の隅の壁に寄り掛かり、太い腕を組んで不機嫌そうにしている大きな男の人がいる。

ガツクさん・・・・さっき私を絞め殺そうとした人だ。

その人をあたしはこっそり観察した。

短めの黒い髪はゆるく後ろに撫で付けられ、その怖い顔・・・いや鋭すぎる顔付を露わにしている。真っすぐ通った鼻筋、薄い唇は弧を描いた事がないように引き結ばれて、というより思い切りへの字だ。がっしりとした体は今まで見た事がないくらい大きくて黒いコートに黒いスーツで黒尽くめ。一体何の格好だろう。

ちらちら見ていたのがバレたのだろうか、視線を察知したように男の人があたしの方に首を巡らせた。

ばっちり合うあたしと彼の目。


・・・・・・・・めっちゃ怖い。


あたしがギクシャクと目を逸らすと彼からため息が・・・漏れた?気のせいかな。


「これからどうするよ。」


長髪の男の人・・・ホクガンさんが顎に手を掛けながら言った。なぜか顔のこわ・・・ガツクさんに向かって言う。


「フェイダ医は何んと?」


銀と黒の短髪の人、ダイスさんがいい匂いの綺麗な女の人、テンレイさんに聞く。


「体の方は軽い火傷で済んでるそうよ。後遺症もないみたい。安静にしていれば問題なし。でもねぇ・・・」

「頭の中身がなぁ。」


ムカッ


・・・・あれ?何でこんなに腹立つんだろう?ホクガンさんが言うと何かめっちゃ腹立つ。

ちょっと眉間に皺が寄った私を余所に会話は続けられる。


「こんな事例、滅多にないものだから何とも言えないそうよ。記憶は数時間で戻ったり何週間も経ってというものもあったり・・・中には一生戻らない人もいて記憶のないまま過ごす事もあるとか。戻ったとしても断片的だったり一部しか戻らないということもあり得ると仰ってたわ。」


・・・・どうしよう。


「取り合えず様子見ってとこか?」

「じゃのう。・・・あー・・・式はどうする?延期するしかない・・・のかの。」


ダイスさんがあたしを再度見下ろした。何故か憐れむような視線なのが不安。

式か・・・何かあるのかな。あたしに関係ある事・・・?だろうね。


「延期よ延期。ううん、こんな状態が続くようだったら中止も」

「延期などしない。」


それまで黙って私達を見ていたガツクさんが深い声でテンレイさんを遮った。

皆が一斉に、勿論私もガツクさんに目を向ける。


「ガツク・・・・」


ホクガンさんが何故か疲れた様にあともう諦めた様にガツクさんの名を呼んだ。


「延期などしない。中止も勿論ない。式は予定通り挙げる。・・・モモコ」


ガツクさんは射抜くように私を見た。射殺間際の囚人の様な気分になるのは何故。


「・・・は、はい」


ワンテンポ遅れた。掠れた声。喉が痛いんだ。

ガツクさんはその情けないほどか細い声に目を少し狭めた後、




「2週間後、お前は名実ともに俺のものになる。決定は決して覆らん。」




真顔で言い切った。

驚愕。


・・・いやちょっと待て。言い切ってはいけない言葉出ましたよ。てかだらけだ。

何言ってんのこの人?俺のものって何さ。名実って何?何かあんのか、いやあったのか、あと何でそんな怖い顔してんの?何でんなガタイでかいの?何か漏れ出ているような気がするのは気のせいだと思いたいのにできないってどんだけ、待て私落ち着け。混乱したらまた気を失うぞ。


部屋は静まりかえってる。ホクガンさんは「あ~あ」と呟き、ダイスさんは額に手を当て顔を仰いでる。テンレイさんはというと眉間にあり得ないほど皺を寄せてガツクさんを睨んでた。

こんな精神状態でよく皆さんの様子がわかるな。冷静じゃん私。・・・いや、現実逃避したいだけかも。


「あの・・・言ってる意味がわかりません。」


うん、取りあえず意味がわからん。


「言葉そのままだ。」


だからその言葉がわからないんです。


「・・・・もう少し具体的に」

「お前は俺の妻となる。俺はお前の夫に。俺達は夫婦になる。わかったか?」

「わかりたくありません」


という言葉がペロンと出てきそうになって大慌てで口を押さえた。言ったらとんでもない、そりゃートンデモナイ事が起きそうだったから。

口を押さえたまま硬直する私。・・・していても意味がないので皆さんの方に目を向け目で聞いてみた。何故かできそうだったからだ。


”本当ですか?”

”ばっちり本当”


ホクガンさんは親指を立ててウィンクしてきた。・・・殺意を覚えるのは何故だろう。


”可哀そうじゃが真実”


ダイスさんが気の毒そうにでも非情なほど力強く頷く。


”残念で堪らないけど事実よ”


テンレイさんが頬に手を当てため息をきながら嫌そうに顔を顰めた。

・・・・本当なんだ。

ふっ・・・3人から回答を貰って落ち着い・・・いや納得・・・できるかっ!!

こうしてはいられない!何とかこの流れを止めないと!!


「ああああああの!」

「何だ。」


げげげ、すんごい圧力。前の私よマジでこの人と結婚するつもりだったのか?いや顔はドストライクだけど。いややっぱ無理。好みでも怖すぎる。何故そんなに凄むんだガツクさんとやら。


「どういう経緯でその、あなたと(と言ったら眼光が増したっ!)・・・ガっガツクさんとけっ、結婚する事になったのか全くっ・・・(ヒ、ヒィ・・・こわ)お、覚えてないんですけど。」


詰まりながらも必死に訴える私だったけど、


「だから何だ?」

「えっ・・・・」


ばっさりやられました。

ガツクさんは壁から身を起こし狭い部屋をたったの2歩で歩き、テンレイさんを押し退けると私の目の前に立った。血の気が引くのがわかる。未知の体験だ。いやこの人とは何度か経験してるに違いない。


「お前が記憶喪失だろうと何だろうと構わん。」

「あい?い、いやそんな」


怖いよー誰かたっけて。


「あくまで拒むというなら・・・・」


ガツクさんは絶妙に言葉を区切ると私の顎を掬って上体を屈めた。顔が間近に迫る。ヒィイィイ。


「無理やり俺のものにするまで。・・・・俺からは逃げられんぞ、モモコ」

「・・・・・・いたっ!」


ガツクさんは耳元に口を寄せて脅す(これそうでしょ!?)と最後・・・首に噛みついた。ヂリっとした痛みが全身に奔る。噛まれた首元を咄嗟に手で隠しガツクさんから急いで身を離した。心臓が引っ繰り返る様にバックンバックン。体温も上がる。・・・顔は真っ赤だろうというのは見なくても分かるし。


「な・・・な、何するんですか!」

「許嫁に挨拶だ。」


ガツクさんは身を起こすと悪びれた様子もなく私を見下ろすとにやりと笑った・・・逃げ場がないってこういう気持ちになるんだろうか。

狩られる側のあたしを余所にガツクさんが戸口に向かう。今度は3歩だった。


「何処行くんだガツク。」


ホクガンさんが呼びとめる。


「仕事だ。傍に居たいが式の後数日、『2人きり』で過ごす事になっている。そのためには前倒しで片づけて置かんとな。」


2人きりという単語を微妙に区切って聞こえた事は空耳という事にしておこう。

しかし・・・ええーなんじゃそら。そんな難易度高そうな式後。そこまで考えた時ガツクさんが振り返って言った。


「仕事が終わり次第寄る。安静にしていろよ、許嫁殿。」


・・・・・・・・安静できそうにもない。あと心臓に悪いんで許嫁って呼ばないで下さい。

それでも引き攣った顔で頷いた私を見てガツクさんは眉間に皺を寄せながら出て行った。


「ふううううううう~」


力が抜けた・・・・


「くっくっくっ・・・」


ホクガンさんが椅子に後ろ向きに座って肩を揺すって笑ってる。


「笑い事じゃないわよ、お兄様。」


テンレイさんが呆れたように言って私に横になるように気遣ってくれた。とても有り難いが聞いておかないといけない事がある。あり過ぎる。


「あの・・・私本当にあの怖い人・・・ガツクさんと結婚する筈なんですか。」

「ぶっ!怖い人だって!だはははは!」


コイツはもう無視しよう。顔を見るだけで腹立ってくる。顔はめちゃイケメンだけど何故か認めたくない。


「本当よ・・・これ見て。」


ん?テンレイさんは箪笥の上にあった写真立てを私の前に差し出した。そこに写っていたのは・・・!


「私・・・ですね。」


さっきお手洗いの鏡で見た、微妙な色合いの頭をした能天気そうな女の子が全開笑顔であのガツクさんに抱き抱えられていた。ある意味捕食者とその対象にしか見えないけど笑顔だからいいのかな。


「うーん・・・・・・駄目です、思いだせない。」

「全く覚えとらんのか?」

「・・・記憶は全然ないんですけど、こうだったような感じだけはします。あくまで感じなんですけど。」

「お前からプロポーズしたんだぞ。」


うそぉ!!!

・・・・ええええ!!頭大丈夫か私ぃ!

目を剥いて驚愕する私にまたブハハと笑ってから


「俺達もその場に居た。お前が「あたしと結婚して下さい!」って言うのを、この耳で、しっかり、聞いたぜ。あと2人証人もいる。」

「・・・・・・・。」


私は今度こそ目を回してベッドに倒れ込んだ。


「今日はここまでにしましょ、あまり詰め込むのも問題あるわ。さてと、国主、霧藤大将殿、執務のお時間ですわよ?サボったらどうなるか・・・わかるわよね?」


その時テンレイさんは私に背を向けていたので見てないんだけど。

その顔が記憶がなくとも超絶怖いのは・・・・2人の青ざめた顔を見てわかった。

テンレイさんに少し寝るように言われた私は大人しく瞼を閉じる。すぐ眠気がやって来た。

眠りに落ちる寸前まで・・・あの人に噛まれた部分がずっと・・・・疼いていた。


「俺は納得できん。」

「貴方の意見なんてどうでもいいのよ。これはフェイダ先生と相談して決めた事なんですからね。」


何だろう?会話にしては不穏な感じに私は目を覚ました。

いやあの・・・・・・・・・

わかってます、自分で自分の首を絞めまくってるのはわかってます。

でも書き上げたものはしょうがない!

あれもこれも中途放置はわかってます。鉄拳制裁も喜んで受けます。

でも書いちゃったのはしょうがないっ!キリリっ!

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