新世界の始まり
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―世界は『ひとつ』になった。
かつて世界というものは、いくつもあった。それらの世界はそれぞれ独自の発展を遂げ、様々な歴史や文化、価値観、技術などを生み出し繁栄していった。
ある世界は、なんの特性のない人間という種族が科学という力で支配者になり、またある世界では魔力を駆使し魔法が使えた。
その他にも、竜人が君臨していた獣人の世界、魔界と呼ばれる非常に厳しい環境の中で魔族が暮らす世界、霊力が当たり前に使える天界など本当にいくつもの世界があったのだ。
また、各世界に住んでいる大半の者達は自分達の今居るこの世界しかそんざいしないものと思っていた。
しかし、実際は違った。世界は数多くあり、時に『干渉』しあいながら成り立っていたにである。
この『干渉 』の最たる例であり、世界が複数あることを知った者達、それがいわゆる『異世界帰還者』であった。
彼らは、召喚、転生、憑依など様々な理由で世界間を渡った。
世界を救うために『魔王』を倒す『勇者』になった者、反対に『魔王』となりその世界を支配した者、あるいは理由なく渡り旅をした者もいた。その逆、魔法世界から科学世界に渡たる者。はたまた、獣人の世界から天界へ、などというのもあった。また、元の世界に帰ったものもいた。まぁ、元の世界とは異なりすぎる力は消えていたが‥‥
そして『帰還者』の一人はある懸念をいだいた。
――こんなに多くの世界はずっと共存できるのか?――
そして、その懸念は最悪の形で示された。
今から約五百年前―新生暦一年―世界は大きくなりすぎ衝突し、混ざりあい、ひとつになっていった――多大な犠牲をはらって――
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最初は些細な変化だった。時おりちょっとした物が世界間を渡るようになった。召喚などの手続きもせず。それはカギやコップなど本当に大したものではなかったので、各世界の住人達は気にもしなかった。
しかし変化はしだいに大きくなる。車や船、果ては家などの建築物も渡り出したのだ。突然消失する家々や、突然現れる見たこともない異世界の乗り物を目にすれば、さすがに異変に気づき、人々は焦りだした。
そんな中、各世界の『帰還者』たちは名乗り出た。
自分達は、似たような体験をしたこと。異世界の存在。全てを、彼らの世界の住人に伝えた。現状を目の当たりにしている人々に彼らを疑う道理はない。
それから、人々は『帰還者』を中心に様々な対策を立てた。異世界の物の取り扱いかた、異世界への物の流失を防ぐ方法も研究した――魔法世界なら魔法で、科学世界なら科学で――
そして、最大の問題である、『これから起こるであろう人の異世界への渡り』についても話された。
どれも明確な対策はできなかったのだが‥‥‥
そして遂に、人が消えた―――
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