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認めなかった人
時に人は認められない事を認めない。
●拒否する人
「誰でもやってるよ」
そして彼は悪びれなく言葉を続けた。
「僕からしたら少し機転を利かすだけでこんなに大きな収穫と恩恵を得られるのに、最初から無い秩序を頑なに守ろうとする君の方が理解できないよ、偽善者」
だが僕も譲らない。
「それでも僕は他人より肥えて生きるより奪わず飢えて死ぬ方が良い」
●拒絶された人
「無理、無理無理! もう無理なの!」
彼女は俺の姿を見るなり取り乱し、人目を憚らず地面に崩れ落ちた。
「お願いだ、話を……」
「話を聞いてくれなかったのは貴方でしょ!」
彼女はそう金切り声を上げて俺の言葉を遮ると、半狂乱で走り去っていった。
残された俺は絶望的な顔で立ち尽くすしかなかった。
●認めなかった人
セミが鳴いてる。
薄汚い納屋の床に転がったまま耳を澄ます。視界はもう真っ暗だが、聴覚は生きているらしい。
五月蠅いとは思うが眠れないほどじゃない。
意識が音も無く広がる水の中に沈んでいくのを感じ、小さく笑う。
どんなに君が僕を拒んでも、こんなにも混ざり合っている。
これからはずっと一緒だよ。