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無敵の隠密おじさん、国境を超えて爆破してきたが、Xのフォロワーは3人  作者: ゼンショー・シマァス


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第07話 フォロワーが1人増えた……?

 アカウント制限。

 それはSNSという戦場において、銃を奪われ、手枷をはめられたも同然の状態だ。

 俺は四畳半の畳の上で、死んだ魚のような目で天井を見つめていた。


「通報……不適切コンテンツ……。俺はただ、頑張った証を見てほしかっただけなのに」


 世間では、あの洋上プラットフォーム爆破が『過激派組織による大規模テロ』として連日報じられている。専門家たちがテレビで「緻密に計算された爆破工作だ」「背後に国家規模の軍事顧問がいる可能性がある」と熱弁を振るうたび、俺は虚空に向かって「それ俺、俺だから」と指をさすことしかできない。


 そんな中、一通の通知が画面に弾けた。


【@dream_rich_queen さんがあなたをフォローしました】


「……っ!!」


 俺は跳ね起きた。

 フォロワーが、増えた。

 初期の「警備会社」「投資勧誘」「ポエム垢」という鉄壁の3人体制がついに崩れ、4人目のフォロワーが現れたのだ。


 震える指で相手のプロフィールを確認する。

 アイコンは、ブランド品に囲まれて不自然なほどキラキラした笑顔を浮かべる美女。自己紹介欄にはこうあった。


『スマホ一台で自由な生活 | 元貧乏女子が月商8桁達成 | 成功の秘密を知りたい人はDMへ | 副業/バイナリー/仮想通貨』


「……あ。これ、アレだ」


 俺の期待は、音を立てて崩れ去った。

 いわゆるエロ垢、あるいは情報商材の勧誘スパムだ。

 案の定、五分もしないうちにDMが届く。


『こんにちは! 素敵な投稿ですね。 あの爆破の画像、すごく迫力あります! もっとお金があれば、もっともっとすごい場所に行けると思いませんか? 私と一緒に月収100万、目指してみませんか?』


「目指さねぇよ。俺、爆破のために自腹で海外行ってるから、もう貯金ゼロなんだよ」


 俺は虚しさに耐えきれず、その『ドリーム・リッチ・クイーン』をブロックしようとした。

 だが、ふと手が止まる。


 ……待てよ。

 こいつは、あの画像を迫力があると言ってくれた。

 たとえ定型文の営業メールだとしても、この広い世界で俺の投稿を見て、ポジティブな反応を返してくれたのは、このスパム垢だけなのだ。


「……まぁ、フォロワーはフォロワーか」


 俺はそっとスマホを閉じた。

 4人目のフォロワー。たとえ中身が業者だったとしても、数字が「4」になったという事実は、少しだけ俺の心を温めた。


「……いや、ダメだ。こんなことで満足してちゃいけない。俺はプロだ。次は、もっと誰もが認めざるを得ない本物を見せてやる」


 佐藤は立ち上がった。

 押し入れの奥から、さらに強力な火薬の配合表を取り出す。


 アカウント制限が解除されるまでの間、己の爪を研ぐことに決めた。

 ターゲットは……そうだ、もっとシンボリックな場所がいい。

事故ともコラとも言わせない、圧倒的なスケールの何かを。


 その時、テレビのニュースが新たな火種を報じた。

『某国にて、世界遺産にも指定されている古城が、軍の秘密通信拠点として接収された模様です。周辺諸国からは文化財保護の観点から批判が殺到しており――』


 俺の目は、獲物を狙う鷹のように鋭くなった。


「古城……。歴史と、軍事と、爆破。……これだ。これなら、エモい写真が撮れる」


 ついに「世界遺産」という禁断の領域へと足を踏み入れようとしていた。


スパムメールの文章って、秀逸だよね。

暇な時に見てみて、おもろいから。

・・・明日、続きを投稿します。

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