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無敵の隠密おじさん、国境を超えて爆破してきたが、Xのフォロワーは3人  作者: ゼンショー・シマァス


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25/30

第25話 爆破、そして最高の一枚

 宮殿の混乱は頂点に達していた。

 佐藤は「新人作業員」として瓦礫を運びながら、宮殿の最上階、独裁者が世界を見下ろすために作らせた『展望閣』へと辿り着いた。


 そこは、かつて独裁者が贅を尽くしたプライベート空間だったが、今は佐藤が仕掛けた精密爆破によって、軍事アンテナだけが綺麗に剥ぎ取られ、皮肉にも本来の「絶景」が剥き出しになっていた。


「……ここだ。ここが、俺の戦場の終着点だ」


 佐藤は作業員のヘルメットを脱ぎ、瓦礫の上に置いた。

 眼下には、自分が潜入した山々が朝焼けに染まり始めている。背後では、宮殿の基部にある弾薬庫が、俺の「置き土産」によって最後の連鎖爆発を起こそうとしていた。


 佐藤は三脚を立てた。

 今度は動画ではない。あのアナ――「ポエム垢」の彼女が、そして松田さんが、そして5万人のフォロワーが、一目で「これは、そこに彼がいた証だ」と確信できる、究極の静止画を撮る。


 起爆タイマーは残り10秒。

 佐藤は、独裁者が座っていた黄金の椅子を、展望閣の端、朝焼けが最も美しく差し込む場所へと引きずり出した。


 10、9、8……。

 佐藤は椅子に深く腰掛けた。

 煤で汚れた作業着。ボサボサの髪。だが、その背筋はかつてないほど伸びている。


 3、2、1。


 ――ゴォォォォォォォォォン!!


 地響きと共に、宮殿の基部から巨大な「七色の煙」が噴き出した。

 それは爆炎ではなく、佐藤が最後に調合した、大量の炎色反応粉末とスモークによる「虹のカーテン」だった。

 虹色の煙が、宮殿を包み込むように空へと昇っていく。その幻想的な光景の中、展望閣の窓から差し込む朝焼けが、佐藤の横顔を神々しく照らし出した。


 カシャッ。


 撮れた。

 そこには、崩れゆく独裁の象徴と、美しく再生する空。その真ん中で、ただ静かに夜明けを見つめる一人の「おじさん」の姿があった。

 ピースサインも、ドヤ顔もない。ただ、一つの仕事を終えた男の、空虚で、それでいて満たされた背中。


「……よし。帰ろう」


 佐藤はスマホをポケットにしまい、爆発の余韻で立ち込める煙の中へと歩き出した。


 一時間後。

 世界中のX(旧Twitter)のタイムラインが、一枚の画像によって停止した。


【無敵の隠密おじさん:@lonely_shadow_45】

『夜が明けました。皆さんの朝が、少しでも明るくなりますように。』


 その画像には、1分で10万いいねがついた。

「不謹慎だ」「テロだ」と言っていたアンチたちさえも、その圧倒的な「美」と「存在感」の前に沈黙した。


 アナは、モニターの前で涙を流していた。

「……バカね。あんな場所で、あんなに綺麗に笑って。……無事でいなさいよ、おじさん」


 佐藤は、混乱する宮殿の門を眠そうな顔で通り抜け、朝日の中へと消えていった。

 彼が手に入れたのは、100万のフォロワーではなく、自分という存在が確かにこの世界にあるという、たった一枚の「真実」だった。





アナの情緒やば。

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