表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無敵の隠密おじさん、国境を超えて爆破してきたが、Xのフォロワーは3人  作者: ゼンショー・シマァス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/15

第02話 新人顔というスキル

 俺は格安航空券で某国の隣国へと飛んだ。

 観光客を装い、現地のスーパーやホームセンターをハシゴする。買ったのは、・・・いや、書くのはやめておこう。真似されたら危ないからな。

「よし、材料は揃ったな」


 安宿の薄暗い一室で、俺は黙々と作業を開始した。

 傍から見れば、図工に励むおじさんにしか見えないだろう。実際、俺は昔から図工が得意だった。設計図は全て頭の中にある。

 えっと、これを導線と繋ぎ、スマホのタイマーで制御できるように加工してっと。元プロの技術をもってすれば、その辺にある日用品が、一国を震撼させる作品へと変わる。アーティストと呼んでくれ。


 完成した特製爆弾を防水バッグに詰め込み、俺は夜の海岸へと向かった。

 目指す基地は、国境を越えた先。直線距離にして約五キロ。


「久々に泳ぐか」


 ウェットスーツを着用し、俺は音もなく海へ入った。

 普通、五キロを泳いで潜入するなど正気の沙汰ではない。だが俺には、無駄に体力がある。

 海面を滑るように進む。途中、数隻の沿岸警備艇がサーチライトで海面を照らし出した。


 光の輪が俺のすぐ数メートル横を通り過ぎる。

 だが、俺は潜りもしない。ただ脱力し、波の揺らぎに体を合わせるだけだ。


深夜の海に人が泳いでいるはずがないという常識のフィルターが、俺の姿を闇夜と同化させた。


 数時間後。俺は敵国の海岸に無事上陸した。

 目的地は、首都から遠く離れた山間部の谷にある軍事基地だ。

 濡れたウェットスーツを脱ぎ捨て、現地で調達した作業着に着替える。


 この後、俺の「新人顔」というスキルが発動する。


 基地の検問所。

 自動小銃を構えた衛兵が、鋭い視線でこちらを睨む。

 俺は隠れるどころか、堂々と正門から歩み寄った。そして、爽やかな笑顔で右手を挙げた。


「お疲れ様です! 今日から配属になった新人です」


 もちろん、現地の言葉だ。訛り一つない完璧な発声。

 衛兵は一瞬、怪訝そうな顔をしたが、俺の顔をまじまじと見るなり、銃を下ろした。


「……今忙しいから早く入れ」

「すみません、どうすればいいんですか」

「ったく、これだから新人は。ほら、名簿に名前書いとけ。……まあ、お前の名前は後で確認するからいいや。さっさと中に入れ。資材搬入の手伝いだ」


 突破。

 俺の顔には、どんな組織にも一人はいる「今日入ったばかりの気のいい新人」というオーラが張り付いている。昔からいるだろ。そんなやつ。

 関係者じゃないのに関係者扱いされる。二度目に会う時には「え、誰だっけ?」と思われるほど印象に残らない。


 俺は親切な衛兵に案内され、あろうことか基地の内部見学までさせてもらった。

「ここが弾薬庫で、あっちが司令棟だ。新人は立ち入り禁止だからな。まあ、今日だけは見逃してやるが」

「へぇー、すごいですね。勉強になります!」


 俺は感心したふりをしながら、すれ違いざまに勉強代として、建物の基礎となる柱の裏や、通気口の奥に特製爆弾をそっと置いていく。


 作業はわずか十分で終了した。

 最後に、俺は再び「お疲れ様でした!」と挨拶して正門から出て行った。


「よし。あとは最高のフォトスポットを探すだけだ」


 背後の山を登りながら、俺はスマホを取り出した。

 どんなに良い爆破でも、構図一つで台無しになる。


 全ては、Xにアップする最高の一枚のために。


無理あるだろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ