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✴︎追放令嬢は闇魔法で無双する✴︎第二章  作者: ちょこだいふく


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7話✴︎契約の更新

重く沈んだ空気が満ちる、朽ちかけた石造りの塔の最深部。

ここはかつて、竜と人との戦いの記憶を封じるために築かれた場所だった。

長い時を経て苔むした壁には、古の魔法陣が微かに輝き、その光は暗闇の中で揺らめいていた。


クラウディア、フィン、セレナ、アレクの4人は、慎重に一歩一歩歩を進めていく。

誰もが言葉を控え、ただ張り詰めた緊張を胸に抱いていた。


やがて、最奥の広間に辿り着く。そこには天井がなく、星空が見える。

そして空間の中心に、ふたつの光が静かに浮かんでいた。


それはまるで生きているかのようにゆっくりと、呼吸するかのごとく淡く揺らめく。

まさしくこの地の封印を守り続けてきた“聖霊”の姿だった。


クラウディアが深く息を吸い込み、覚悟を決めて口を開く。


「私たちは、この地に取り残された竜の卵を救いたい。

 このままでは、親の魔力を失い、魔に汚染されてしまう危険がある。

 それは、かつての争いのような悲劇の再来を意味する。」


静寂が広がり、やがて淡い光が優しく揺らめいた。


「……我は、この地に交わされた古の契約と誓いを守る者。

 竜と人の戦いを終わらせるために、封印を築き、争いの再発を防ぐために在り続ける。

 その役目を、半千年以上、ただひたすらに果たしてきた。」


声は遠くから響くように、しかし重々しく胸に響いた。


クラウディアは目を伏せず、力強く答える。


「争いを繰り返さぬための誓いは、私たちも同じ思いでいます。

 だからこそ、その誓いを破るのではなく、未来へ繋ぐ“新たな契約”を結びに来ました。」


聖霊は揺らめきを強め、一瞬その光が深い青へと染まる。


「…その言葉を、待っていたのかもしれぬ。

 しかし、新たな誓いはただ言葉で成るものではない。

 過去の痛みと苦しみを乗り越え、互いに“歩み寄る”強い意志があって初めて成立するもの。」


フィンが一歩前に出て、静かに問いかける。


「私たちは、そのためにここにいる。過去の軋轢を超え、手を取り合う未来を選ぶ覚悟はある。」


聖霊の光がひときわ強く揺れ、まるで深く頷くように見えた。


「問おう。人の子よ、竜の友よ――

 汝らは、互いを恐れず、争いの連鎖を断ち切ることを誓えるか?

 破壊ではなく、共存を選び、未来を共に築くことを願うか?」


クラウディアは、胸に手を当てて答えた。


「誓います。私たちは、争いを繰り返さず、共に歩む未来を選びます。

 竜も人も、お互いを尊重し、守りあう世界を創るために。」


空間に静かな風が流れ、塔の魔法陣がゆっくりと輝きを増していく。


聖霊の声が、静かに、しかし確かに響いた。


「その意思、その誓いを新たな契約として受け入れよう。

…そして我は、古の誓いに縛られず、この地の森の精霊として生まれ変わろう。」


そして塔の壁が光に包まれ、封印の結界がゆっくりと解かれていく。

重く暗かった空気が澄み渡り、遠くで小鳥のさえずりが聞こえ始めた。


その瞬間、光の柱が地に降り注ぎ、ゆっくりと小さな台座が現れた。


その上に、銀灰色の殻を持つ竜の卵が静かに横たわっている。


クラウディアが両手でそっと卵に触れた瞬間、彼女の心に微かな声が届いた。


(どうか……この命を、争いのためではなく、守るために……)


それは卵自身の意思ではない。

しかし、何千年も前に封印を交わした竜と人の“記憶の残滓”が時を超え、語りかけていた。


クラウディアは目を潤ませ、卵を優しく抱きしめる。


「大丈夫。もう一人じゃないよ。私たちが守る。」


そして振り返ると、聖霊はやわらかな笑みを浮かべていた。


「我はこれより森の精霊となり、自由を得る。

 新たな契約の象徴として、この地を守り、育む役目を果たそう。」


聖霊の光はやがて森全体へと広がり、瘴気を浄化してゆく。

木々がざわめき、小鳥が飛び交い、森は新たな命を吹き込まれたように蘇った。


クラウディアは深く息を吐き、仲間たちに笑みを向けた。


「さあ、これからが本当の始まりよ。」


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