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✴︎追放令嬢は闇魔法で無双する✴︎第二章  作者: ちょこだいふく


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4話✴︎禁域の記憶

夏の夜風が涼しくなりはじめたころ、エソール村の一軒家に、ひときわ威厳ある影が現れた。

アーリントン侯爵――レオンハルトである。


彼はクラウディアたちの報告を受けて、わざわざ村を訪れていた。

竜・ニブルの言葉を聞いた今、ただの「冒険」では済まされない重みを、彼自身も悟っていたのだ。


テラスに並んで座った父と娘。その背後では、フィンやセレナ、アレクが気配を消すように見守っていた。


「……禁域のことを調べたいの。お父さま、何か知らない?」


そう切り出すクラウディアに、レオンハルトは眉をひそめた。


「禁域……旧ラズハルト公国のことであるな」


低く呟き、少し考えるように間を置いたあと、彼は静かに語り始める。


「侯爵家の文書庫には、ほんの僅かだがその地に関する記録が残っている。“紅の塔”という名と、いくつかの魔力地図……。しかし詳細は途切れており、何者かが意図的に記録を消した痕跡すらある」


「じゃあ、その“紅の塔”が……封印の場所…かもしれないのね…」


セレナが息を呑む。


「断定はできん。ただ、確かなのは――その時代、ラズハルトに関わっていたのは我が家だけではない。もう一つの名が浮かぶ」


レオンハルトの声が低くなる。


「サマール王国だ」


「……!」


クラウディアの瞳が揺れる。


そういえば――と、彼女の記憶がよみがえっていた。


あの異常気象の混乱を解決した際の国王と王妃の笑顔。

特に国王自らが必要とあらば、いつでも力になる、帰る場所の一つだと申し出てくれた。


「あのとき…サマール国王がいつでも頼るようにとおっしゃってくれた…」


「ああ…彼は誠実な王だと聞く」


レオンハルトが頷く。


「中立を守るがゆえに派手な動きはないが、古い知識や魔術に関する蓄積は豊富だ。

もしあの禁域の“封印”に関する何かが残っているとすれば――最も可能性が高いのは、あの国の王宮だろう」


「行こう、クラウディア」


フィンが言うと、アレクも頷いた。


「ニブルが信じてくれた俺たちだ。だったら――その信頼に応えなきゃな」


「新しい場所…また新しい旅ね」


セレナが肩に風を集めるように軽やかに笑った。


クラウディアは父を見つめ、静かに頭を下げる。


「ありがとう、お父様。私たち……サマールへ行くわ」


レオンハルトは、ゆっくりと立ち上がった。


「話は通しておこう。お前たちの旅に、我が家の名を使うがいい。

この時代の“鍵”を開くのは、知恵と勇気だ。

――気をつけて行け、クラウディア」


星の瞬く夜空の下、新たな旅路の扉が、静かに開かれた。

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