13話✴︎ノクティスとの絆
産声のような竜の咆哮が響き渡ったあと――
まだ小さな翼を震わせた黒銀の幼竜が、よろよろと殻の破片の上に立ち上がった。
その瞳は、闇夜を思わせる深い蒼。だが揺らめく光が、まるで炎のように輝いていた。
「……ノクティス」
クラウディアが名を呼ぶと、幼竜はふらりと歩み寄り、そのまま彼女の胸元に顔をすり寄せてきた。
「ちょっ……!?」
小さな口が、彼女の手に触れた瞬間――グンッと魔力が吸われる感覚が走る。
クラウディアは眉をしかめながらも、すぐに掌をその額に当て、魔力を流し込む。
「クラウディア、大丈夫か!?」
駆け寄るフィンに、彼女は苦笑いで答えた。
「平気……でも、すごい勢いね。きっと私を“親”だと思ってるのよ」
セレナが心配そうに手を差し伸べると、ノクティスはちらりと彼女を見たが――次の瞬間、クラウディアの腕にぎゅっとしがみつき、離れようとしない。
「……完全に、クラウディア一択だな」
アレクが呆れたように笑う。
幼竜はまるで魔力を食むように、クラウディアの影に溶け込もうとする。
彼女の心の震えや想いに敏感に反応し、安心すれば眠る。逆に不安を感じれば、彼女を庇うように翼を広げる。
レオンハルトが腕を組みながら低く言った。
「……竜は本来、魔力を糧にして生きる。だが、ここまで強く特定の人間に結びつくとは……」
クラウディアはノクティスを抱きしめ、静かに呟いた。
「……この子が求めるなら、私は応えるわ。だって――命を背負うって、そういうことだから」
ノクティスはその言葉に応えるかのように、喉奥から甘えるような鳴き声を洩らし、再び彼女の胸に顔を埋めた。
その姿は、闇から生まれたはずなのに、不思議と温かく、愛おしかった。




