これ以上、混沌としないでくれ!!
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
喚かないのが〜。の二人の話。
部屋に壁紙貼りました。
彼と別れた後、急いで二階の部屋に引きこもる。
頬に触れられ、瞳が柔らかく溶けて、顔が近付いて、それで、それで、それで。未だドクドクと心臓が鳴り止まない。『キス、されるかと思った』。その動揺だけが血流を加速させて行く。
『恋愛感情を持った上で付き合いたい』の宣言したのは私からなのだ。其れを動揺一つで覆すな。自分で言った事ぐらい、ちゃんと守れ。そう叱咤して、頬を叩く。
このままでは行けない。ちゃんと自分から意識を向けなければ。怖気付けづくな。そう決心して思い立ったのは、格言を目に入り易い場所に貼っておく事だった。頭の中で思い続けるだけでは駄目だ。このままではずっと逃げ腰になる。
私は彼と付き合い始めた当初書き上げた格言を引き出しの中から引き摺り出すと、ベットの壁にペタリと貼り付けた。これで帰ってきた時、見えやす――。
「姉ちゃん!! さっきから煩いんだけど。引っ叩く音したり、ガタゴト物音したり、猫でも拾って来たのかよ」
まだ声変わりしてない甲高い子供の声。振り向くと、弟が冷めた目で此方を見詰めていた。時が止まる。弟は私と未だ貼り付けてない格言紙を交互に見た後、咎める様に叫んだ。
「なんだよ。その壁紙!!」
「五月蝿なぁ!! お前にはまだ早いもんだよ。分かったらさっさと襖の外へ出ていけ」
私と弟の部屋は襖を通じて繋がっており、開けようと思えば直ぐに出入りが出来る。ちっ。襖に貼れば良かったか……!!
弟は私の書いた格言に興味津々で此方に寄ってくる。別にバレて揶揄うものならば分からせれば良いのだが、面倒だ。さっさとつまみ出そう。
そう、取っ組み合いの喧嘩を行おうとした時だった。ぎぃ……っと部屋の正式戸が軋む音がした。ロボットのように振り返ると、母が無の表情で此方を見詰めていた。
「お前達、五月蝿い。下まで響いてる」
無の表情のまま私の部屋まで入ってくると、取っ組み合いの喧嘩を始める私達をじっと凝視する。それから大きな溜息一つ。
「何があった」
「姉ちゃんが変な壁紙を張てて、其れを指摘したら喧嘩になった」
弟が私の腕をすり抜けて、ただいま貼っていた壁紙に向かって指を差す。そこにはただいま貼ったばかりの格言が堂々と佇んでいた。
「何、この壁紙……」
言い訳をするには時間がかかる。だからとりあえず、この二人を部屋から出そう。
「詳しい話は下でするから、これ以上混沌を呼ばないで!!」
弟の伏線と、勝手に部屋入ってくる設定と、『頭が一杯になると、それしか頭にない』という彼女の設定回収です。
シリアスからシリアルになりました。
ちなみにこの話、もっと前に出す予定だったんですけど、この回の方が上手く合致していたので、こうなりました。
明日はちょっとヒューマンドラマっぽくしたいなぁと。