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悪魔勇者 学園都市編  作者: 響 翔哉
入学狂騒編
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入学式 その4

「こちらです」


「ありがとうございますリュー先輩」


「礼には及びません。私の仕事ですから。それでは私は入学式の準備に行くのでここで失礼します」


 そう言うとリュー先輩は立ち去っていった。

 ここが学園長室。

 ザ・校長室って感じの重厚な扉だことで。


「失礼します」


 まぁこんな丁寧に入る必要もねぇか。


「遅かったじゃないかクソガキ」


 学園長室には、タバコを咥えて椅子に座る女性が俺を待っていた。


「フローラ姉さんまだタバコ吸ってんのか?もう辞めた方がいいんじゃねぇか?結婚できねぇぞ」

「うるせぇクソガキが。てめぇはてめぇの心配だけしとけばいいんだよ」


 彼女はフローラ・ユン。レン・ユンの姉でこの学園の学園長だ。

 歳は、言わないでおこう。

 俺と彼女とはレン繋がりで10年以上の付き合いだ。

 もちろん彼女がこの学園の学園長になったのも知っている。


「それで、何で俺を呼んだんだ?」


「式まであと20分といったところか」


「俺の質問に答えろよ」


「お前には新入生代表として挨拶をして貰おうと思っていたが、あと20分で覚えられるか?」


 なるほどそういうことか。


「俺を誰だと思ってるんだよ。出来るに決まってんだろ」

「そうか。お前ならそう言ってくれると思っていた。じゃあ、これが原稿だ」


 フローラ姉さんは引き出しから分厚い原稿用紙を取り出して俺に押し付けると、新しいタバコに火を付けた。


「それじゃあとっとと出てきな。あたしは忙しんでね」

「へいへい」


 まぁフローラ姉さんがもてなしてくれるなんて期待してなかったけど、ここまで薄情だと少し傷付く。


「なんだ?茶でも出ると思ってたのか?」


 考えを読まれてしまった。


「別に。そんなこと期待する方がバカだろ」

「分かってんじゃねぇか。なら、とっと行った。時間は有限なんだからな」

「それじゃあな」


 俺は原稿を捲りながら部屋を出ていった。

 こんなの覚えんのかよ。

 ダル。

 一体何ページあんだよ。

 普通、新入生代表の挨拶って、手紙みたいなやつじゃねぇのかよ。


「覚えられっかよ」


 つーか、後10分しかねぇじゃん!


「やれやれ、ホントにお主というものはどうしてそこまで愚かなのじゃろうな」


 幼馴染たちの登場の際にいつの間にか消えていた相棒が、俺のことを愚痴りながら影から出てきた。


「だから、勝手に出てくるな」


「妾を出したくなければお主が精神世界の入口をコントロールするんじゃな」


「うざ」


 俺は精神世界、つまり、普段フェイやレインが住んでいる場所とこの世界を繋ぐ出入口の占有権を持ってない。

 なぜなら俺が一度も使ったことのない赤子同然の状態であるからだ。

 本来この出入口の感覚というのは人間は持っていない。

 だが、精霊や聖獣、神や天使といった存在と契約するにあたって、その存在との会話、意思の疎通をするために必要になったのが、精神世界だ。

 そして、その精神世界との行き来を多くの人間が幼い頃からしている。そのため、多くの人々が自身の精神世界の入口をコントロールすることが出来ている。

 つまり、俺には慣れと時間が足りていないということだ。

 俺がまだ出来ないことを嫌味ったらしく言いやがって。

 絶てぇコントロールしてフェイをわからせてやる。


「まぁそれはさておき、お主も面倒なことを押し付けられたのう」


「まぁ仕方ないだろ。俺が新入生の首席、顔みたいなもんだからな」


「せっかく学園都市に潜入出来たというのにこれでは意味ないではないか」


「そうでもないと思うぜ。俺が学園都市で有名になれば、アイツらも手出し出来なくなるだろうしな。そういう面ではいいことかもな」


「そう簡単に行くかのう」


「さぁな。そんなことよりも俺はこれを覚えなくちゃならんのだが?」


「そんなもの覚えんでも良いのじゃ。妾が精神世界からお主に語り掛けてやるのじゃ。そうすればお主も覚えなくて済むしのう!」


「いやいや、そんなこと言ったって、お前字読めるのか?」


「当たり前じゃろう!妾が何年生きておると思っておるんじゃ!文字なぞ読めて当然じゃ!」


 この謎に自信満々なのが怖い。

 これは盛大な前振りとしか思えない。

 あー!フェイが読めなくて詰まるのが目に見える!

 もし、実際に本番でそんなことになったら、俺死ぬよ!

 後日思い出してもう一回死ねるよ!

 もし、失敗しようものなら家に引き篭ろう。

 あぁ。胃が痛くなってきた。

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