Let's shopping!!(5)
ラバルとサラは手当たり次第に試着しまくっていた。
ラバルの暴走にもサラは顔色一つ変えず淡々と着替え続けた。
「どれも可愛いよ!どれが一番かなんて考えられないよ!いや、無理に一番を決める必要なんてないか!」
アクセル全開のラバルはもはや誰にも止められない暴走列車へと変わり果てていた。
「ラバルくん、そろそろ疲れたかも」
試着を始めてからそろそろ1時間が経とうとしていたところで、さすがのサラも疲労の色が濃くなってきた。
「まだ行けるって!」
ラバルはそんなのお構い無しに突っ走る。
「待つのじゃ!」
そんなラバルを止めたのは、フェニックスだった。
ラバルの影から飛び出たかと思えば、後頭部を目掛けて鋭い回し蹴りを打ち込み、倒れ込んだラバルの上に着地した。
「お主という奴は。これではサラ殿には好かれんぞ」
フェニックスは倒れ込んだラバルの後頭部をペシペシと小突きながらそう主人をたしなめる。
「うう……重い」
「乙女に向かって何が重いじゃ!この愚か者がー!」
フェニックスは力の限り拳でラバルを殴りつけた。
「痛い、痛いよフェイ!」
「仕方ないじゃろうが。お主が巫山戯たことを吐かすからじゃぞ!」
「俺の相棒はバイオレンス過ぎだ」
「蹴らなかっただけマシだと思うのじゃな」
フェニックスは主であるラバルを容赦なく痛めつけると満足したのか、ラバルの影へと帰っていった。
「フェニックスさんってほんとに自由な方なんですね」
サラは目の前で起こった出来事に呆気にとられていた。
「ほんとだよ。いい加減こんなのやめて欲しいよ」
ラバルは埃を払いながら立ち上がるとフェニックスの暴挙に苦笑いを浮かべていた。
「でも、俺を止めてくれたり、背中を押してくれる最高の相棒ではあるけどな」
だが、ラバルは気恥ずかしそうにフェニックスをフォローした。
「そうなんですね。とってもいい関係なんですね」
「そうでもないけどな。お互いにお互いの足を引っ張ってるような感じだよ今は。もっと上手く付き合えたらいいんだけどな」
ラバルはフェニックスの帰っていった自分の影をどこか遠い目で見つめた。
「それよりも、気に入ったのあったか?」
「はい。でも、たくさんあるんですけど、いいですか?」
「当たり前だよ。何着でも買うさ。それが今日の目標だろ?遠慮しなくていいからな」
「ありがとうございますラバルくん!」
とびきりの笑顔を見せるサラにラバルは思わず財布の紐が緩みきってしまった。
だが、それもそれでいいかとラバルは割り切った。
「それで、やっと暴走は収まったの?」
「まぁな」
ラバルの暴走に途中からいなくなっていたドラグローゼ姉妹は店から出てきた二人にそう問いかける。
「これでひとまず任務は終了ね。それじゃあみんなと合流しましょうか」
サラの服を買うという任務を終え、一行は別行動する男子組と連絡を取り、インストアライブの行われる場所で合流することになった。




