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悪魔勇者 学園都市編  作者: 響 翔哉
入学狂騒編
17/44

初めての決闘 その3

 決闘開始まであと3時間。


 決闘委員会、風紀委員会、懲罰委員会から集められた生徒たちに護衛されながら、俺たちは第二修練場へとやってきた。


 見た目は少し小さめの総合体育館といった感じだった。


「もう既に中には誰もいないのを確認済みです。ご自由にお使いください」


 そういうと彼らは警備員のように入り口を塞いだ。


 あとは勝手に入れということなのだろうか。


 まぁいいか。

 自由に使っていいと言われたしな。


「すげえな」


 中に入ると、3、4階建ての家がすっぽりと収まるほど高かった。

 しかも部屋がひとつしかなく、床には武道場の畳のようなものが敷かれていた。


「ラバルさん。どうして受けちゃったんですか?」


 俺がこの修練場に見蕩れていると、サラが少し怒ったような口調で俺に話しかけてきた。


「どうしてか……。俺は最初からアイツらと戦う気だった。でも、君がいたからこの決闘を受けるか悩んでた。でも、君がやる気満々だったから、俺と君でやろうと思ったんだよ」


「そうだったんですね」


「悪かったか?」

「いえ、そんなことはありません。むしろ、とても心強いです」

「そう言って貰えて嬉しいよ」


「…………」


 サラが何かボソッと言ったような気がした。


「何か言ったか?」


「いえ、なんでもありません」


 気のせいか。


「そうか。それじゃあ作戦でも考えようか。来いフェニックス」

「はいはいなのじゃ」


 尊大な態度で俺の相棒が影から現れた。


「アテナ」


 サラの方も自分の契約神を召喚した。


 俺たちは人数差やお互いの長所と短所を考慮した作戦を立てた。

 そして、軽く連携と技の合図の練習をした。


 そんなこんなで3時間経った。


 俺たちは懲罰委員と風紀委員に囲まれて、会場へと護送されたのだった。




「おいおい何だこの人の数は!?」


 俺は決闘の場である第一闘技場に集まった人の数に圧倒された。


「普通こういうのにこんなに人が入るのか?」

「さぁ分かりません。1度も来たことがないので」

「そうなんだ」


 闘技場は現代日本で言うところのアリーナのような所だった。

 中央に戦う場所があって、それを上から見下ろすように取り囲む観客席がある。


「すまないな二人とも。まさかこんな騒ぎになるとは思わなかった。護衛を付けて正解だったな」


 クローバー先輩の言う通り、この会場を埋め尽くす程の観衆が詰めかけ、外にも一目見ようと長蛇の列が作られていた。


「新聞部が噂を聞き付けて号外を出しちまったんだよ。なんせ今年の首席が決闘をするんだからな」


 呆れたようにそう言うとクローバーは壁にもたれかかった。


「さぁ行ってこい二人とも。相手は所詮雑魚だ。簡単に蹴散らしてこい」


 励ましているのか、相手を貶しているのか分からない応援メッセージを頂いたが、まぁ先輩からのエールを無下には出来ないだろう。


「行ってきます!」

「行ってきます」


 俺とサラは闘技場の内部、つまり決戦のリングへと続く入り口へと駆けて行った。


「この街の奴らには困ったものだ。血気盛ん過ぎて手に負えん」


 勢いよく飛び出した二人の背中を見ながらそうクローバーは呟く。


「そういうお前も他人の事を言えないだろ」


 リューが空かさず突っ込む。


「そうかもな」


 クローバーは自嘲するように笑うと入り口とは逆方向へと歩き出した。


「見ていかないのか?」


 立ち去るクローバーの背にリューがそう問いかける。


「見なくても結果は歴然さ。勝ちの分かっている戦いほど詰まらないものは無い」


 そう言うとクローバーは会場を後にした。


「まったく、連れない奴だな」


 クローバーの痩せ我慢とも言えるその言い分にリューは苦笑いしながら観客席へと登っていった。

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