自己紹介 その2
「それじゃあ次は、エミリー・ダキアちゃ――」
「はーい!」
メリアが言い終わる前に勢いよく手を挙げながら指名された少女が立ち上がる。
「うちは、エミリー・ダキア!剣と喧嘩が大好きです!うちのことはエミーって呼んでね!」
まるで嵐みたいな元気さだな。
でも、こんな可愛らしい子が喧嘩が好きとか学園都市ってやっぱヤバイとこなんだな。
まぁ百歩譲って武闘が好きですならまだしも、喧嘩が好きですは今どきの不良でも聞かないセリフだぞ。
「喧嘩は痛い痛いなのでやめてくださいね!」
それは違うキャラですよ先生。
「それじゃあ、気を取り直して次行っちゃいましょう!それじゃあ、レオ・シュバリエくんよろしくね!」
「俺様はレオ・シュバリエだ!曲がったことと小せぇことが大嫌いだ!」
古きよき不良って感じだな。
「おいコラそこの赤いの!てめぇだけは許さんからな!」
コイツか!あの一際目立った怒りの矛先向けとったやつは!
また面倒い奴に目を付けられちまったなぁ。
「以上!」
思い切りがいいというか、バカというか……。
「じゃあ次は、ケイト・カヴァリエーレくんよろしくね!」
「はい先生」
今までにはない優等生って感じだな。
でも、どこかレンみを感じるんだが。
「僕はケイト・カヴァリエーレ。代々近衛騎士団大隊長を務めてきた家系の出身ですが、僕は騎士団長を目指しています。以後お見知り置きを」
「フンッ!」
これはこれは。
わたくし大好物ライバル関係ってやつじゃないですか!
あの爽やかイケメンさんのライバルはどれどれ?
俺が視線の先を見ると、気の強そうな少女がケイトを睨んでいた。
あらあら。あちらも敵意剥き出しじゃないですか。
これは面白そうじゃないですか。
「それじゃあ次、ガリム・へダートくんよろしく!」
「……あ、はい……」
ド陰キャを絵に描いたような少年が渋々立ち上がりながら自己紹介を始めた。
「ぼ、僕は……ガリム・へダート……です」
そう言うとガリムは座った。
「え、えーっとそれじゃあ、エルス・マギナくんよろしくお願いします!」
「どうもエルス・マギナです」
これはこれは優等生かな。
それにこのクラスじゃ珍しい常識人っぽいじゃないか。
豊かな学園生活のためにも仲良くしよ。
「これと言って取り柄はありませんが、仲良くしてください」
何の取り柄もない奴がこの学園の入試8位になんてならないんだよなぁ。
「よし、次はアリア・ドラグローゼちゃんよろしくね!」
「私はアリア・ドラグローゼですわ。よろしくお願いいたしますわ」
珍しくアリアがお嬢様口調だ。
牙を隠した虎が猫を真似ているな。
「是非とも皆様、仲良くしてくださいね」
俺を見ないでください。怖いです。
アリアさん、俺の心の中見透かさないでくださいよぉ!
悪口言ってスンマセンでした!
「それじゃあ次はウィール・ホーネットくんよろしくねっ!」
「はい」
優等生というか、学級委員長って感じだな。
規律正しく生きてるって感じだな。
「ぼくはウィール・ホーネットです。一年生ですが生徒会役員なので生徒会に用事がある人は、ぼくに言ってくださいね」
うわー。予想以上の委員長キャラだったなぁ。
学級委員長超えて生徒会役員だもんなぁ。
「それじゃあ次はエース・ホーナーくんよろしくね!」
「オレはエース・ホーナーだ。馴れ合う気はねぇ」
相変わらず無愛想だな。
これだからアンタは。
「よし、次いこう!ダニエル・バードナーくんよろしくね!」
もう手慣れてやがる!こういう奴の扱いを!
いや、無視か。
「ボクはダニエル・バードナーです。勉強について困ったら是非わたしを頼ってください」
秀才のダニエルは確かに勉強で仲良くなるってのもありかもな。
俺も昔世話になったしな。
「あっ、それとコイツとはダチなんで」
ダニエルはエースを指さしながら意地悪く微笑む。
エースは余計なことするなとダニエルを睨む。
仲良いなぁーおめェら。
もう付き合えよ。