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アスカニア大陸戦記 皇子二人【R-15】  作者: StarFox
第二章 士官学校
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第八話 ペア決定、小隊編成

アレク達の職業は、以下の通りとなった。


 アレキサンダー・ヘーゲル 騎士(ナイト)


 ルイーゼ・エスターライヒ 暗殺者(アサシン)


 アルフォンス・オブストラクト 戦士(ウォーリアー)


 ナタリー・チャウデゥリー 魔法使い(メイジ)


 エルザ 剣士(ソードマン)


 トゥルム・ドルジ 槍術士(スピアマン)


 ドミトリー・ボグザ 修道僧(モンク)

 

 ナディア・フロレスク精霊使い(シャーマン)




 職業の登録が終わった入学式会場に再び軍監の声が響く。


「これより一緒に教練を行うペアを決定する。なるべく男女で気の合う者同士で、二人一組になるように」


 軍監の声に会場がざわめく。


 アルが気の抜けた声を上げる。


「気の合う男女でペアねぇ・・・」


 軍監の説明を聞いたアレクは、母のナナイから聞いていた話を思い出した。


 母ナナイは、士官学校でのペア編成の時に、入学式典会場の中央で、士官学校の全学生、全教官などが見ている前で、父ラインハルトから古典的『騎士典礼』に則ったスタイルでペア結成を申込まれた。


 『恥ずかしかったが、初恋の相手であるラインハルトからペア結成を申し込まれ、とても嬉しかった。』と。


(私の相手はルイーゼしかいない。小さい頃から、ずっと一緒だった)


 アレクは意を決すると、ルイーゼの手を引いて入学式典会場の中央に向かう。


 驚いたルイーゼが尋ねる。


「ちょっと! アレク!? どこ行くの??」


「良いから!」


 アレクがルイーゼを平民組から引っ張り出す形で、二人は入学式典会場の中央、ちょうど貴族組と平民組の間となる空間に立つと、二人は向き合った。


 会場のざわめきが消え、アレクとルイーゼの二人に周囲の注目が集まる。


 アルがナタリーに話し掛ける。


「あいつら、何する気だ・・・?」


「さぁ?」


 アレクは古典的『騎士典礼』に則り、片膝を着き掌を上に右手を差し伸べてルイーゼを見つめる。


 ひと呼吸置いて、そしてルイーゼに言った。


「ルイーゼ・エスターライヒ騎士爵令嬢、よろしければ私とペアを組んで頂けますか?」


 士官学校の全学生、全教官などが見ている前での古典的『騎士典礼』に則ったアレクからの申込みにルイーゼの顔は、嬉しさと恥ずかしさで、みるみる赤くなる。


 ルイーゼは、ずっと幼馴染のアレクのことが好きだった。初恋である。


 しかし、アレクはバレンシュテット帝国を統べる皇帝の第二皇子であり、準貴族である騎士爵家に生まれたルイーゼは皇宮のメイドでしかなく、ルイーゼがどんなに恋い焦がれても、アレクとは天と地ほどの身分の差があるため、ルイーゼがアレクへの好意を口にすることは憚られた。


(アレクが自分を選んでくれた。)


 衆目の中で初恋の想い人に選ばれたルイーゼは、嬉しさと感動で胸が一杯になり、涙ぐむ。


「喜んで」


 ルイーゼはそう返事をすると、差し出されたアレクの掌の上に自分の右手を置く。


 おとぎ話にある騎士物語のワンシーンのような状況に、周囲から歓声と拍手、感嘆の声が湧き上がる。


 ルイーゼは、立ち上がったアレクと腕を組み、その顔を見上げる。


 アレクも照れている面持ちであった。


 ルイーゼの瞳から大粒の涙が溢れる。


 アレクは、ルイーゼが涙を流していることに驚く。


「どうしたの? 大丈夫??」


「ううん。嬉しいの」


 そして二人は、平民組の仲間のところへ歩いていった。 







 仲間たちが戻って来た二人の周囲に集まる。 


 アルが口を開く。


「やるじゃないか! アレク!!」


 エルザが二人を冷やかす。


「見せつけてくれるねぇ~。お二人さん!!」


 ナタリーが感想を口にする。


「素敵だったわ!」


 ナディアも感想を口にする。


「王子様とお姫様のプロポーズみたい!!」


 トゥルムも褒め言葉を口にする。


「素晴らしい!!」


 ドミトリーも称賛する。


「見事な『騎士典礼』であった!!」


 そして、遠くから二人のやりとりを見守っていたジカイラも、二人に拍手を贈っていた。


(やっぱり、アレクはお前の息子だよ。ラインハルト。血は争えないな)






 入学式会場に再び軍監の声が響く。


「時間だ。次にペア四組で一個小隊を編成する。なるべく同じ寮で組むように。組めなかった者はこちらで強制的に編成する。」


 アレクが皆に話す。


「小隊は、寮の八人で決まりだね。」


 提案に異論は無く、アレクは直ぐに係員に小隊編成を報告した。


 係員が答える。


「一番最初か。『第一小隊』っと。小隊長は報告者の君だ。」


 小隊長はアレクがやることになった。


 やがて軍監から解散指示が発せられる。


「小隊編成が終わった者は解散。明日までに小隊旗のデザインと通称(コールサイン)を決めておくこと。明朝、報告するように。」





-----


 小隊の編成は以下のとおりとなった。


第一小隊 


隊長:アレク

副隊長:ルイーゼ


第一分隊

アレク:騎士(ナイト)

ルイーゼ:暗殺者(アサシン)


第二分隊

アル:戦士(ウォーリアー)

ナタリー:魔法使い(メイジ)


第三分隊

ドミトリー:修道僧(モンク)

ナディア:精霊使い(シャーマン)


第四分隊

エルザ :剣士(ソードマン)

トゥルム:槍術士(スピアマン)


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― 新着の感想 ―
[良い点] 「男女で気の合うものと二人組みを作れ」と言う恐ろしい提案!アレクのかっこよさに痺れました。 [一言] 評価入れさせていただきました!
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