↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アスカニア大陸戦記 英雄の息子たち【R-15】  作者: StarFox
第四章 トラキア連邦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/543

第七十一話 報告と助命嘆願

--翌日。


 アレクとルイーゼはジークの私室を訪れ、ソファーに座るジークとテーブルを挟んで対面に並んで座ると、フェリシアから聴取した事を報告する。


 ジークは二人からの報告をじっと聞いていたが、アレクが報告を終えると尋ねる。


「合成獣(キメラ)を錬成する魔法技術について、あの女は、何か言っていたか?」


「いいえ。何も」


「そうか。……トラキアにそんな魔法技術があるとは思えん。おそらく出処はダークエルフだろうな」


 アレクはジークに尋ねる。


「兄上。この後、彼女はどうなりますか?」


 ジークは重苦しく答える。


「お前たちの話が本当なら、彼女たち、トラキア連邦政府首脳は、帝国の法に則って『戦争犯罪人』として処刑されるだろう」


 アレクは、感情的にジークに訴える。


「そんな! 彼女は……フェリシアは、自分達の犯した罪を後悔していました! 処刑なんて……」


「……お前は、あの女を救いたいのか?」


  ジークからの問い掛けにアレクが答える。


「はい! 兄上の力で、何とか、なりませんか?」


 ジークは、少しの間考える。


「……父上なら。『帝国の法の上の存在』である皇帝の父上なら、あの女を救えるだろう」


 フェリシアを救う方法があると聞いて、アレクは色めき立つ。


「本当ですか!?」


 ジークは、淡々とフェリシアを救う方法についてアレクに話し始める。


「ああ。あの女をトラキア戦争の『戦利品』として父上に献上し、父上に愛妾として囲って貰えば、あの女は戦犯としての訴追を免れる。絶対帝政を敷く我が帝国で、皇帝の愛妾を訴追することなど、できないからな」


 アレクは、ジークが語ったフェリシアを救う方法について聞き、愕然とする。


「そんな……そんな事って……」


 再びジークは、淡々とアレクに話し始める。


「前時代ではよくあったことだ。征服者が被征服民の女を愛妾にすることなど、歴史上、珍しいことではない」


「ですが!」


 救済案に不満げなアレクに対して、ジークは冷めた口調で話す。


「……他に方法があると思うか?」


 アレクは、ジークの言葉に一言も言い返せず、俯いて答える。


「……いいえ」


 落ち込むアレクにジークは微笑む。


「……お前の我儘を聞いてやるのは、これで二度目だ。あの女のことは、私から父上に話してみる。命だけは助かるだろうし、父上もあの女を悪いようにはしないだろう」


 アレクは俯いたまま、ジークに答える。


「……判りました」


 ジークが続ける。


「アレク」


「はい?」


 ジークのエメラルドの瞳が、アレクの傍らに居るルイーゼに向けられる。


「私からの忠告だ。『お前のために何もしていない女』よりも、お前の傍にいて『お前のために命を捨てることを厭わない女』、『お前のために全てを捧げて尽くす女』を大切にしろ。判ったな?」


 ジークの言葉は『何もしていないフェリシアよりも、傍にいて尽くしてくれるルイーゼを大切にしろ』と言っているのは明らかであった。


 ルイーゼはジークの言葉に驚く。


「……殿下」


 アレクが答える。


「……判りました」


 アレクとルイーゼは、起立してジークに一礼すると、ジークの私室を後にした。


 ジークは、アレクから頼まれたフェリシアの助命嘆願について、羊皮紙に一筆したためると、フクロウ便で皇宮にいる父ラインハルトへ送った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。