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アスカニア大陸戦記 英雄の息子たち【R-15】  作者: StarFox
第十六章 氷竜海の海賊姫

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第四百三十九話 戴冠式と結婚式

 ジークはシャーロットと結婚し、シャーロットはグレース女王となってから多忙を極める。


 ジークは、ニーベルンゲンでグレース王国の王都ロンデニオンからホラントへ向かい、皇帝である父ラインハルトの代理としてホラント王国の独立式典に来賓参列し、再びニーベルンゲンでホラントの王都ライン・マース・スヘルデからグレースの王都ロンデニオンへ移動していた。


 翌週には、シャーロットの戴冠式、自身とシャーロットの結婚式が控えており、ジークとシャーロットの二人ともその準備に追われていた。


 ジークとシャーロットの結婚式に掛かる費用は、世界大戦に参戦して余裕の無いグレース王国に代わり、バレンシュテット帝国がその莫大な費用を全額負担し、必要な料理や酒、楽団なども帝国側が手配し用意していた。


 帝都ハーヴェルベルクから北西鉄道を経由して皇帝直轄領となった港湾自治都市群の三中核都市へ物資を運び、そこから大型輸送飛空艇で王都ロンデニオンの王宮へ輸送していた。


 料理を調理するために必要な人員も帝国中央軍の補給部隊から北西鉄道経由でグレースへと向かわせる。


 ジークは、シャーロットとの結婚式に掛かる費用と物資が記された羊皮紙の報告書をニーベルンゲンで移動中に受け取って開封すると、羊皮紙の報告書に目を通しながら苦笑いする。


「これは・・・。さすがに父上に知らせるのは、気が引けるな」 


 ジークは、手にしている羊皮紙の報告書にもう一枚、一言、お詫びを書き記した羊皮紙を重ねると、フクロウ便で帝都に居るラインハルトへ送る。





--戴冠式当日


 シャーロットの戴冠式は、王都ロンデニオンの王宮で行われた。


 グレース王国の全ての貴族が集って見守る中、無人の玉座に置かれた王冠と父王の剣をシャーロット自身が手に取って王冠を被り、父王の剣を帯剣して、集まった貴族達に向けてグレース女王への即位を宣言する。


 教会勢力を排除したシャーロットが自身の力でグレースの王位に就いた事を国内外に示すための所為であった。


 王宮の貴族達と王宮前広場に集まった兵士達、そして大通りに集まった市民達は歓声を上げる。


 ジークは、帝国の大使を戴冠式に参列させて、ジーク自身は戴冠式には参加せず、舞台袖からシャーロットを見守っていた。


『バレンシュテット帝国がシャーロットを後押ししてグレースの王位に就けた』と諸外国に思われないための配慮であった。





 午前中に開催されたシャーロットの戴冠式は終わり、昼食休憩を挟んで午後はジークとシャーロットの結婚式が予定されていた。


 通常であれば、シャーロットが輿入れする先であるバレンシュテット帝国での挙式であるが、今回はシャーロットがグレース王国の女王に即位して、ジークとの結婚後もグレース姓のままグレース本国に留まる事実婚であり、バレンシュテット帝国とグレース王国は『同君連合』とはならないことを諸外国に示すという政治的意向により、グレース王国の王都ロンデニオンで挙式する運びとなっていた。


 ジークにとってシャーロットは五人目の妃であるため、バレンシュテット帝国側からの挙式の参列者は少なく、ジークの両親である皇帝ラインハルト、皇妃ナナイ、帝国政府要職の魔法科学省長官ハリッシュ夫妻、帝国四魔将とその副官達、大使といった政府高官といったところであった。


 対して、グレース王国側は、正統な王位継承権を持つ女王の結婚式とあって国を挙げての慶事となり、全貴族と陸海軍将兵や政府役人だけでなく王都の市民たちまで十万人以上が参列するグレース王国史上最大規模の結婚式となった。


 ロンデニオン上空に滞空しているニーベルンゲンの貴賓室に転移門(ゲート)が出現すると、中から皇帝ラインハルトと皇妃ナナイ、帝国魔法科学省長官ハリッシュと妻クリシュナ、帝国四魔将達が現れる。


 ラインハルトは口を開く。


「次は揚陸艦に乗り換えだな」


 ハリッシュも口を開く。


「まぁ、我々、帝国の人間は転移門(ゲート)で直接、グレース王宮には乗り込めませんからね」


 ナナイは含み笑いを漏らす。


「ふふ。何だか、楽しそうね」


 クリシュナも含み笑いを漏らす。


「そうそう。みんなで乗り換えよ」


 アキックスは口を開く。


「皆、乗り換えだ、遅れるなよ」


 ヒマジンは呟く。


「まったく。バレンシュテット帝国の意思を決定する首脳部が丸ごと揚陸艦に乗り換えとはな」


 エリシスはヒマジンを諭す。


「まぁまぁ、イケメンさん。転移門(ゲート)は私の魔法だから、貴方は黙って歩いてついてくればいいの」


 リリーはエリシスに注意する。


「エリシス。ヒマジン伯爵に失礼ですよ」


 ナナシは二人に呆れて呟く。


「皇太子殿下の結婚式だというのに、お前達ときたら・・・」


 ラインハルト達はニーベルンゲンから揚陸艇に乗り込むと、グレースの王宮へと降下していった。




 

ーーグレース王国 王都ロンデニオン 王宮


 王都警備隊の儀仗兵が大通りから王宮前広場、王宮内の玉座の間まで整列して並び、大通りには一定間隔で誇らしげに帝国旗とグレース王国旗が掲げられる。


 厳粛とした雰囲気の中、玉座の間でジークとシャーロットの結婚式が始まる。


 軍楽隊が演奏し各国の要人が参列する中、純白のウェディングドレスを纏うシャーロットがブーケを持ち、亡き両親に代わってナナイにエスコートされ玉座の間の中央通路をゆっくりと歩く。


 花嫁の列は、玉座の前まで歩みを進めると、ナナイはシャーロットの手をジークに譲る。


 ジークとシャーロットが玉座の前に並んで立つと、結婚の宣誓が始まる。


 二人は互いに結婚(マリッジ)指輪(・リング)を左手の薬指にはめると、ジークはシャーロットにキスする。


 大きな拍手と歓声が王宮の玉座の間から王宮前広場、そして大通りに響き渡る。


The Glori(グロリアス)ous Grace(・グレース)!!(!!)

(グレースに栄光あれ!!)


The Glori(グロリアス)ous Grace(・グレース)!!(!!)

(グレースに栄光あれ!!)


The Glori(グロリアス)ous Grace(・グレース)!!(!!)

(グレースに栄光あれ!!)


The Glori(グロリアス)ous Grace(・グレース)!!(!!)

(グレースに栄光あれ!!)


 ジークとシャーロットの結婚式は、滞りなく執り行われた。


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