第四百六話 皇帝と皇妃の閨事
--少し時間を戻した皇宮
皇宮に戻ったラインハルト達は、ダークエルフの軍勢が空中都市イル・ラヴァーリを襲撃した件について直ぐに会議を開き、帝国四魔将達と善後策を協議する。
しかし、ダークエルフの軍勢が空中都市を襲撃した目的も、直ぐに撤収した理由も、誰も見当がつかない有り様であった。
結局、空中都市イル・ラヴァーリの保護を所轄する帝国南部方面軍の総司令であるエリシスが現地に赴き、この件の調査に当たる事となった。
--夜
政務を終えたラインハルト夫妻は、それぞれ入浴を終えると皇帝の私室に入る。
ラインハルトが寝室に入りベッドに横たわり寛いでいると、ナナイが寝室にやって来て羽織っていたバスローブを脱いでベッドに座る。
ナナイは、自分を見詰めるラインハルトの視線に気付く。
「結婚して十七年も経つのに、そんなに見詰めないで下さい。恥ずかしいわ」
恥じらうナナイに、ラインハルトは悪戯っぽく微笑みながら抱き寄せると、耳元で囁く。
「君は、ますます艶っぽくなる」
生まれる前に家同士で婚約が決められていた二人は、士官学校に向かう軍用列車で運命的に出会う。
そうとは知らず、二人は共に動乱の中で愛を育みながら革命戦役を戦い抜き、革命政府を倒して結ばれた。
以来、十七年。二人は十五人の子供を授かり、互いに深く愛し合っていた。
ラインハルトには義妹ティナとの間に一人、子供が居り、帝国四魔将のエリシスとその副官リリーがラインハルトの愛人であったが、妻であるナナイがそれに言及する事は無かった。