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アスカニア大陸戦記 英雄の息子たち【R-15】  作者: StarFox
第十三章 聖戦

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第三百六十四話 ツァンダレイ防衛戦(二)

 アレク達の奮闘にも拘らず、ソユット軍の将校と護衛、数体の巨人兵が封鎖線を突破してトラキア離宮に向かって走っていった。


(くそっ! 抜かれたか!!)


 ルイーゼから報告を受けたアレクは、ルイーゼが指し示す先に、通りをトラキア離宮に向かっていくソユット軍部隊を見つけるが、別の巨人兵達がアレクとルイーゼの元に迫って来る。


 それぞれ巨人兵と戦っていたユニコーン小隊の仲間達もアレクの元に戻って来る。


 アルは、迫って来る巨人兵達に斧槍(ハルバード)を構えながら、アレクに尋ねる。


「ったく! キリねぇな!!」


 アレクもゾーリンゲン・ツヴァイハンダーを構えながら答える。


「ああ」 





貫通雷撃(ライトニング)!!」


 女の声と共にアレク達に迫って来ていた巨人兵達が電撃魔法によって貫かれ、次々と倒れていく。


 ルドルフと雷撃魔法を放ったアンナの二人を先頭にグリフォン小隊が現れる。


 ルイーゼが打ち上げた赤の信号弾を見て、グリフォン小隊がアレク達の元に駆け付けて来たのであった。


 続いてフレデリク達のフェンリル小隊とセイレーン小隊もアレク達の元に駆け付けて来る。


 ルドルフは口を開く。


「すまない! 遅くなった! あいつら、一体、どこから湧いて来たんだ!?」

 

 ナタリーは答える。


「東門の側に突然現れたのよ!」


 ブルクハルトは怪訝な顔で尋ねる。


「突然って、どこから??」


 アレクはブルクハルトに答える。


「『何か』は判らないけど、東門の近くにあった、巨大な透明な球体の中から、飛び降りるように現れたんだ」


 ブルクハルトは、信じられないといった顔であった。


「透明な『何か』ねぇ・・・」


 フレデリクはアレクに尋ねる。


「それで、敵の規模は? 状況は??」


 アレクは答える。


「敵は、東門の外と市街地だ。それと、敵の指揮官の部隊がトラキア離宮に向かって行った。敵は恐らく大隊規模だろう」


 フレデリクは渋い顔をする。


「東門の外の敵は、ともかくとして。市街地の敵とトラキア離宮に向かった敵はマズいな」


 ルドルフは尋ねる。


「南部方面軍はどうした? エリシス伯爵が帝国不死兵団と出撃していても、まだ大型輸送飛空艇に十五万くらい兵力が残っているだろう??」


 アレクは答える。


「・・・期待できないな。オレ達教導大隊は、中央軍所属だ。エリシス伯爵を通さないと南部方面軍は動かないと思う。それに、この状況下で十万を越える南部方面軍の不死者(アンデッド)が通りに溢れ返ったら、街中、大パニックになるだろう」


 ルドルフは、諦めたように告げる。


「・・・確かに。飛行場に停泊している飛行戦艦が市街地の敵を砲撃したら、街は大惨事になるだろうし。・・・それは、街の外に立っているストーンゴーレムを使っても、一緒か。・・・オレ達がやるしかないな」


 アレクは指示を出す。


「オレ達ユニコーンがトラキア離宮に向かった敵を追う。他のみんなは、ここを頼む!」


「了解!!」


 アレク達ユニコーン小隊は、トラキア離宮に向かった敵の指揮官の部隊を追う。





--トラキア離宮


 トラキア離宮は、突如現れたソユット軍部隊の襲撃を受け、騒然となる。


 警備兵が巨人兵達によって倒され、離宮の中に巨人兵達が押し入って来ると、メイド達は悲鳴を上げながら逃げ出す。


 ラインハルト夫妻とハリッシュ夫妻が貴賓室の長椅子に掛けて歓談していると、メイドの一人が貴賓室に駆け込んで来る。


「失礼致します! 陛下! 避難して下さい!!」


 ラインハルトは、息を切らしたメイドに尋ねる。


「何やら、騒がしいな。・・・何があった?」


「敵の襲撃です! ソユット軍がここに!!」


 ラインハルトは、穏やかに答える。


「・・・そうか。私の心配は無用だ。メイド達は離宮から避難するように」


「皆、逃げました! フェリシア様とカリン様が、まだ、お部屋に!!」


「判った。良く知らせてくれた。君も避難しなさい」


「はい」


「君の名前は?」


「ジーク様付きメイドのモニカ・ロートリンゲンと申します」


「・・・覚えておこう」


「失礼致します」


 知らせに来たメイドのモニカが貴賓室から退出すると、ラインハルトは、ナナイ、ハリッシュ、クリシュナの三人に目配せする。


 四人は大きく頷くと、立ち上がって戦闘の準備を始める。


 ラインハルトは、手慣れた様子で荷物の中からナナイのレイピアを取り出すと、声を掛けてナナイに投げて渡す。


「ナナイ」


 ナナイは、受け取ったレイピアを鞘から抜くと、指先で刀身を確かめながら呟く。


「まさか、トラキアで皇妃のドレスを着たまま、これを使う時が来るなんて」


 ラインハルトも腰の鞘から愛用のサーベルを抜いて、その刀身を一瞥すると、ナナイに悪戯っぽく尋ねる。


「・・・君の腕は落ちていないな?」


 ナナイは、履いていた(かかと)の高いヒールを脱ぐと、レイピアを構えて見せてラインハルトに微笑む。


「・・・貴方こそ」


 ハリッシュは、手に持っている杖の魔力水晶(マナ・クリスタル)を眺めながら呟く。


「面倒な事になりましたね。偵察からの報告では『敵影無し』との事でしたが」


 クリシュナは答える。


「今、それを気にしてもしょうがないわ。フェリシアとカリンのところに向かいましょう」


 戦闘準備が出来た四人は、フェリシアとカリンの部屋に向かう。


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