表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アスカニア大陸戦記 英雄の息子たち【R-15】  作者: StarFox
第十三章 聖戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

359/543

第三百四十八話 病室にて アレクとナディア、ルドルフとアンナ

-- 飛行空母ユニコーン・ゼロ アレクの病室


 アレクはナディアを抱いたまま余韻に浸り、ベッドでウトウトとしていた。


 アレクの胸の上では、ナディアが肩まで毛布を被り、穏やかな寝息を立てている。


 病室のドアがノックされた後に開かれ、聞き覚えのある声がする。


「アレク? 見舞いに来たんだが・・・」


 声の主は、ルドルフであった。


 意外な見舞客の来訪にアレクは驚いたが、見舞いに来たルドルフとルドルフの彼女アンナも病室に入り、アレク達の姿を見て驚く。


「ルドルフ!?」


 驚いたアレクが上体を動かしたので、アレクの胸の上で寝ていたナディアも目覚める。


 ルドルフは、呆れたように告げる。


「お前なぁ・・・あの爆発で大怪我して『一日経って、やっと意識が戻った』って聞いたから心配して見舞いに来てみれば。・・・あれから、ずぅ~っと病室で女を抱いていたのかよ!?」


 アレクは、ルドルフの言葉にバツが悪そうに苦笑いする。


 話を聞いていたナディアが、アレクの胸の上で寝そべったまま、組んだ両手の上に顎を乗せてルドルフに反論する。


「あら? 私は、アレクの第二夫人よ? 妻が、その肌で、戦いで傷付いて疲れた夫を癒して、何か問題ある? あなた達だって、してるでしょ?」


 ナディアからの反論に、今度はルドルフがバツが悪そうに、無言でアレク達から目を反らす。


 アンナは頬を赤らめながら、ムキになってナディアに答える。


「そんな・・・、不純よ!!」


 アンナの反応を見て、ナディアはピンとくる。


(あの反応は・・・。二人とも、まだしていないのね・・・。ふふふ)


 ナディアはアレクの胸の上に寝そべったまま、指先でアレクの胸をなぞりながらアンナに告げる。


「貴女も女なら、ちゃんと彼氏を慰めてあげないと。・・・他の女に彼氏を盗られちゃうわよ? 殿方を満足させる事も『女の嗜み』よ」


 そう告げると、ナディアはアンナに対して、右手で口淫する仕草をして見せる。


 ナディアに口淫する仕草を見せられたアンナは、恥じらいから顔だけでなく耳まで赤く染め、ナディアを睨みながら口籠る。


「うううっ・・・」


 ナディアは勝ち誇った笑みを浮かべると、アンナを更に畳み掛ける。


未通女(おぼこ)さんに彼氏を満足させられるかしら?・・・頑張ってね」


 ナディアに『未通女(おぼこ)(処女)さん』と言い当てられ、からかわれたアンナはいきり立つ。


「ルドルフ! 行きましょ!!」


「おい!? ・・・すまん、アレク。また、来る」


 アンナは、黒髪のツインテールを揺らしながら、ルドルフの手を引いてアレクの病室を後にする。




 二人を見送ったアレクはナディアに告げる。


「ナディア。少し言い過ぎたんじゃないか?」


 ナディアは、悪びれた素振りも見せず、微笑みながら答える。


「女なら平気よ。あれくらい」





 ルドルフの彼女は顔を真っ赤にしたまま、ルドルフの手を引きながら通路を足早に歩いて行く。


 二人は、通路でユニコーン小隊の面々とすれ違う。


 アルは口を開く。


「お? ルドルフ。・・・アレクはどうだった?」


「アイツは元気だったぞ。・・・って、おい!?」


 ルドルフがアルに答えているにも関わらず、アンナはルドルフを手を引いたまま、通路を足早に歩いて行く。


 ユニコーン小隊の面々は、彼女に引っ張られていくルドルフを見送る。


 アルは小首を傾げる。


「どうしたんだ? アイツ??」


 エルザは呆れたように口を開く。


「二人とも、忙しいんじゃない?」





 ルドルフと彼女が行き着いた先は、ルドルフの部屋であった。


 ルドルフの彼女、アンナ・グレイスは、顔だけでなく耳まで真っ赤にしたまま、ルドルフを部屋に引っ張り込むと部屋のドアに鍵を掛け、両手を自分の腰に当ててルドルフの顔を見上げながら詰め寄る。


「ちょっと! ルドルフ! 貴方、女に興味無いの!? 男色趣味じゃないんでしょ!?」


 アンナからの言葉に、ルドルフは少しムッとした顔になる。


「お前、いきなり何を言い出すんだ?」


 アンナは、右手の人差し指でルドルフの胸を突きながら更に(まく)し立てる。


「私を抱いて『自分の女にしよう』とか、思わないの!?」




 ルドルフの彼女のアンナ・グレイスは、魔導師の両親が営む薬屋の家に生まれ育った。


 帝都の下町育ちで、気が強く、すこぶる口が悪い、黒目黒髪のツインテールで、雷撃系の魔法を得意とする魔導師の女の子である。




 ルドルフは、呆れたように答える。


「お前・・・、オレに抱いて欲しいのか?」




 ルドルフの言葉に、アンナはハッとして我に返る。


 アレクの病室でナディアに『未通女(おぼこ)』と言い当てられ、『女として男を満足させられるのか』と口淫する仕草を見せられ、からかわれた。


 ナディアに何も言い返せない、嫉妬と怒りと屈辱から、頭に血が上ってルドルフに八つ当たりしてしまった。


 『自分を抱いて女にしろ』とか、とんでもない事を口走ってしまった。


 頭に血が上っていたとはいえ、言ってしまった以上、引っ込みが効かない。




 頬を赤らめたまま、アンナは続ける。

 

「そ、そうよ! 私だって、女よ! 貴方を満足させる事くらい、できるんだから!!」


 ルドルフは、自分の胸に人差し指を突き立てるアンナの手首を掴むと、抱き寄せる。


「ひゃっ!?」


 アンナは短い悲鳴を上げると、ルドルフの腕の中から驚いたようにその顔を見上げる。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ