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アスカニア大陸戦記 英雄の息子たち【R-15】  作者: StarFox
第十二章 空中都市

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第三百十七話 空中都市での一夜(一)

 アレク達の元にヒナから停戦の話が連絡される。


 アレクは呟く。


「終わったんだな」


 傍らのルイーゼは答える。


「そうね」


 ドミトリーは口を開く。


「隊長、『別命あるまで待機』だそうだ。明朝まで軍に動きは無いだろう。拙僧とトゥルムで歩哨に立つから、他の者は休むと良い」


「済まない」


 アレクとルイーゼは、ランタンを手に休憩できる場所を探し始める。


 アレクは、ナディアが言っていた家具店の事を思い出す。


「ルイーゼ、こっちへ」


 アレクはルイーゼの手を引いて、家具店の中に入る。 




 無人の家具店は四階建ての建物で、富裕層向けの豪華な調度品を集めて展示していた。


 ルイーゼは口を開く。


「豪華な家具ね。お金持ちの人達向けみたい」


 アレクは答える。


「富裕層向けか」


 暗い店内をランタンを手に、二人は中へ入り階段を登って行く。





 最上階へ出た二人は、息を飲む。


 家具店の最上階は、展望台のように壁面と天井がガラス張りでできており、満天の星空と空中都市の周囲の風景を見ることが出来た。


 部屋にはモデルルームのように豪華な調度品が並ぶ。


 さえぎる物の無い、空の上にある空中都市イル・ラヴァーリからの展望は、格別であった。


 アレクがランタンの明かりを消してテーブルの上に置くと、下弦の月が照らし出す、はるか遠くの海に港町の明かりと漁火が見える。


 ルイーゼは、満天の星空と空中都市からの眺望を見回しながら呟く。


「綺麗・・・」


 アレクも口を開く。


「凄い・・・まるで夜空を飛んでいるみたいだ」


 ルイーゼは悪戯っぽく笑う。


「ふふ。そうね」


 アレクは、豪華なベッドに腰掛けると話し始める。


「皇宮にいた頃。・・・『翼があれば空を飛んで、どこか遠くに行けるのに』とよく思ったよ」


 ルイーゼは、隣に座って答える。


「飛空艇があるじゃない。どこへでも飛んで行けるわ」




 アレクは、ベッドに寝転がると、満天の星空を見上げる。


「そうだな・・・どこか遠くへ。御爺様のいるルードシュタットに・・・」


 そう呟くと、アレクは満天の星空に向けて手を伸ばす。


 ルイーゼもアレクの隣に寝て、添い寝する。


「アレク。その時は、私も一緒よ」


「そうだな」


 ルイーゼはそう呟くと、覆い被さるようにアレクの上に乗り、キスする。


「んんっ・・・」





 二人だけの空間に、音も無く星の光が降り注ぐ。


 ルイーゼは、アレクの胸の上でそのエメラルドの瞳を見詰めながら呟く。


「静かね」


「ああ」


 ルイーゼは、アレクに尋ねる。


「アレク」


「ん?」


「もし、世界に残っている人間が私達二人だけになったら、どうする?」


「二人だけの世界か・・・」


 アレクは、少し考える素振りをみせる。


「その時は・・・」


 ルイーゼの瞳は、アレクの答えを伺うように見詰める。


「その時は?」


 アレクは、自分の上で瞳を見詰めるルイーゼに答える。


「ルイーゼと子作りに励む」


 ルイーゼは、甘えるような声で抗議する。


「ああん、もぅ・・・。エッチなんだから!」


「世界に二人だけじゃ、寂しいだろう? だから、たくさんオレ達の子供を作れば、賑やかになるだろう」


 ルイーゼは、微笑みながら続ける。


「もぅ・・・何人産ませるつもり?」


 アレクは、ルイーゼを撫でながら続ける。


「ルイーゼなら十人以上、産めるさ。 ・・・なんたって、オレは十五人兄弟だからな」




 アレクは、ルイーゼの瞳を見詰める。


「ルイーゼ。愛してる」


 そう告げるとアレクはルイーゼと体勢を入れ替えて上に乗り、両腕で抱き締めてキスする。


「んんっ・・・ふっ・・・」




 アレクはルイーゼを抱く。


 下弦の月の明かりがベッドを照らす中、二人はキスして眠りに就いた。


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