表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アスカニア大陸戦記 英雄の息子たち【R-15】  作者: StarFox
第十章 ホラント独立戦争
287/543

第二百七十六話 死闘!属州総督府(二)

 ドミトリーは前衛メンバーに支援魔法を掛ける。


筋力(レッサー・)強化(ストレングス)! 装甲(フォース・)強化(アーマー)!!」


 ナタリーも自分に強化魔法を掛ける。


詠唱加速(スピード・キャスト)!!」


魔力(マナ・)魔法(マジック)(シールド)!!」







 食人鬼(オーガ)は、駆け寄って来るアレクを殴ろうと、右手に持つ棍棒を大きく振り上げる。


 アレクは、棍棒を振り上げる食人鬼(オーガ)を一瞥する。


(・・・鈍い。当たらなければ、どうという事はない)


 近接戦最強職である上級騎士(パラディン)になったアレクは、近接戦闘に自信を付けていた。


 食人鬼(オーガ)は、力任せにアレクに向けて棍棒を振り下ろすが、アレクは食人鬼(オーガ)の攻撃を見切り、棍棒の一撃を避けて食人鬼(オーガ)の懐に踏み込んでいく。


 アレクは食人鬼(オーガ)の脇を駆け抜けながら、低く構えた長剣を水平に払い、食人鬼(オーガ)の右脇腹を斬り付ける。


 魔力を帯びたアレクの長剣ツヴァイ・ハンダーは、食人鬼(オーガ)の分厚い筋肉を容易く切り裂いていく。


「ガァアアア!!」


 右脇腹を切り裂かれた食人鬼(オーガ)は叫び声を上げ、自分の脇を駆け抜けたアレクの姿を目線で追う。


 次の瞬間、アレクの影で潜伏スキルによって気配を殺していたルイーゼが食人鬼(オーガ)の懐に入りショートソードで食人鬼(オーガ)の頭を顎下から貫く。


 顎下から頭部を貫いたショートソードの切先が食人鬼(オーガ)の頭頂部から突き出る。


 ルイーゼは、絶命して崩れ落ちる食人鬼(オーガ)から離れると、ショートソードを構えながら再びアレクの元に寄り添う。







 もう一体の食人鬼(オーガ)は、アル達の方へ迫ってくる。


「来やがれ!!」


 アルとトゥルムは、各々、斧槍(ハルバード)三叉槍(トライデント)を構える。


 アルの後ろに並ぶナタリーは、食人鬼(オーガ)の顔に向けて手をかざすと魔法を唱える。


火炎爆裂(フレイム・バースト)!!」


 ナタリーの掌の先に魔法陣が三つ現れると魔法陣の先に爆炎が現れ、食人鬼(オーガ)の頭部を爆炎が包む。


 大きな爆発音と共に食人鬼(オーガ)の頭部が大炎上する。


「ガァアアアア!!」


 食人鬼(オーガ)は悲鳴を上げると手にしていた棍棒を落とし、ナタリーの魔法で炎上している自分の顔と頭部を両手で覆う。


「ウォオオオ!!」


 トゥルムは、咆哮を挙げながら三叉槍(トライデント)の鋭い突きを放ち、三叉槍(トライデント)の穂先が食人鬼(オーガ)の首元に深々と突き刺さる。


 食人鬼(オーガ)は右腕を振り上げると、トゥルムを狙って横殴りに腕を振るう。


「くっ・・・!!」


 トゥルムは、食人鬼(オーガ)の首元に突き刺した三叉槍(トライデント)から手を放して食人鬼(オーガ)の攻撃を避けるかどうか、一瞬、迷う。 


「させるかぁ! おりゃあああああ!!」


 次の瞬間、エルザが雄叫びと共に獣人(ビーストマン)の瞬発力を活かして食人鬼(オーガ)の右腕の下を駆け抜けながら、大上段に構えた両手剣で食人鬼(オーガ)の右腕の下側を斬り付ける。


 エルザの両手剣が食人鬼(オーガ)の右腕の腱を切り裂き、その動きを止める。


 食人鬼(オーガ)は、右腕の腱を斬られた激痛のあまり左手で顔を覆ったまま、前屈みになる。


「見てろよ? ナタリー」


 アルはそう言うと、左手で兜の面頬を下ろして腰を落として深く息を吸い込み、貯めの姿勢を取る。


(マト)はデカい。ちょうど良い高さだ! いくぜ! (いち)(せん)!!)


 アルの渾身の力を込めた斧槍(ハルバード)の一撃が剛腕から放たれる。


 斧槍(ハルバード)(やいば)は、食人鬼(オーガ)の頭を粉砕する。


 食人鬼(オーガ)は絶命し、その場に崩れ落ちる。


 食人鬼(オーガ)に止めを刺したアルがガッツポーズを決める。


「良し!」


 ナタリーとエルザ、ナディアは、喝采を贈る。


「やったぁ!!」 


 アレク達は、二体の食人鬼(オーガ)を倒して盛り上がる。





「相変わらず、なかなか、やるじゃないか」


 食人鬼(オーガ)の背後に居たカスパニア軍部隊の中央が左右に分かれると、ダークエルフ達がアレク達の前に現れる。


 声の主は、ダークエルフの魔法騎士シグマ・アイゼナハトであった。


 シグマと三人の従者、そしてフィリーナとガルティエの二人の女騎士が並ぶ。


「ダークエルフ!?」


 シグマ達を見てアレク達は驚き、再び戦闘態勢を取る。


 アレクは、シグマ達を睨み付けながらダークエルフ達を観察する。


(一人、二人、・・・六人も居る。・・・マズい。こいつらは手強い。今は、ジカイラ大佐もヒナ大尉もいない。兄上でも苦戦していた)


 シグマもアレク達を観察する。


(・・・ハイエルフ!? ・・・『黒い剣士』!?)


 シグマは、アレクの他にナディアとアルに目を止める。


 シグマはナディアを見ながら口を開く。


「父祖の地を離れてアスカニア大陸に渡り、人間ごときと迎合した一族か」


 ナディアは嫌味たっぷりにシグマに答える。


「人と交わり、共に暮らすのも悪くないわよ? 毎日、楽しいし。・・・もっとも、引きこもっている貴方達ダークエルフには、死んでも理解できないでしょうけど」


 シグマは唾棄するようにナディアに告げる。


「ほざいてろ! ハイエルフ!!」


 次にシグマは怪訝な顔をしながら、アルに話し掛ける。


「『黒い剣士』。・・・まるで瓜二つだが、本人か?」


 シグマに父ジカイラと間違えられたアルは、仰々しく決めポーズを取ると名乗りを上げる。


「我こそは、『黒い剣士』こと帝国無宿人ジカイラが一子、アルフォンス・オブストラクト・ジカイラ・ジュニア! 覚えておけ!!」


 シグマは、アルを睨みつけながら答える。


「貴様・・・、『黒い剣士』の息子か」


 シグマは再びアレクを睨むと、右手の指先で顔の傷跡をなぞりながらアレクに告げる。


「小僧。この傷の借りは返させてもらう。・・・いくぞ!」 




 シグマの号令で、ダークエルフ達は一斉にアレク達に襲い掛かる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ