第二百四十九話 結婚初夜 ジークとカリン
-- ゴズフレズ王国 王都ハフニア 上空 帝国軍総旗艦ニーベルンゲン
湯浴みで入念に身体を清めたカリンは、自室でバスローブ姿のままジークの使いの侍従が呼びに来るのを待っていた。
カリンは、緊張した面持ちで自分の部屋から外を眺める。
『結婚初夜』
結婚して自分が初めてジークに抱かれる夜であった。
カリンはゴズフレズの修道院で育ち、男性経験など全く無く、男女の睦事に関する知識も無かった。
異性に触れられたのも、手を握られたのも、結婚式でしたファーストキスも、ジークが最初であった。
カリンは、不安を募らせていたが、意を決して近くに来たメイドに尋ねる。
「あの・・・、すみません」
「はい? 御用でしょうか? カリン様」
「初夜の時は、どのようにしたらよろしいのでしょうか? ・・・こんな事を伺って良いのか判りませんけど・・・」
不安を打ち明けるカリンにメイドは優しく答える。
「殿下は、お優しい御方ですから、殿下に身を委ねれば優しくして頂けると思います」
メイドは、恥じらいながら続ける。
「その・・・私も殿方に抱かれた事はありませんので、詳しくは・・・」
「そうなのですか」
カリンの脳裏に、以前、ジークの部屋を訪れた時に現れたソフィアの艶姿が浮かぶ。
カリンから見たソフィアは、年上の、女の色香を纏う『大人の女性』であった。
(私も・・・ジーク様と・・・ソフィア様のように・・・)
カリンが色々と妄想すると、みるみる頬が赤くなり、顔が熱くなる。
恥じらい赤くなるカリンを見て、メイドは微笑む。
「心配することは、ありませんよ」
ドアをノックする音の後、侍従の声がする。
「失礼致します。カリン様。皇太子殿下が寝室にお呼びです」
「はい!」
カリンは、上ずった声で緊張を隠せないまま侍従の後についていき、ジークの寝室に向かう。
寝室でジークはカリンを抱く。
交わりを終えたジークは、汗だくでぐったりとしているカリンにキスする。
「痛くなかったか?」
ジークからの問いに、カリンは恥ずかしそうに答える。
「最初だけ、少し。・・・気持ち良かったです」
ジークは再びカリンにキスする。
結婚初夜を終えた二人は、そのまま眠りに就いた。