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アスカニア大陸戦記 皇子二人【R-15】  作者: StarFox
第二章 士官学校
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第二十二話 ユニコーン小隊vs腹筋同盟

 帝都の装備品店で武器や防具を一式揃えたアレク達は、帝都の大通りに面したカフェで昼食を取る。


 アレク達は、四人掛けの丸テーブル席二つを寄せて座り、雑談しながら楽しく食事する。


 アルがアレクを冷やかす。


「お前、どこから見ても、帝国騎士(ライヒスリッター)だぞ?」


「あは。アルこそ『黒い剣士』だろ?」


 同じ二人の会話を聞いてルイーゼとナタリーが微笑む。


 傍らの席で、蜥蜴人(リザードマン)のトゥルムが獣人(ビーストマン)のエルザに話し掛ける。


「エルザ。君は、猫系の獣人(ビーストマン)なのに、魚は食べないのか?」


 エルザが答える。


「魚も食べなくはないけど、私は、お肉のほうが良いかなぁ・・・」


 ナディアは呟きながら、自分の皿の料理から肉を探し出して、せっせとフォークでエルザの皿に入れていた。


「・・・ベジタリアンの私に肉の入った料理なんて!」


 ナディアの様子を見て、ドミトリーが唸る。


「むむむ。ベジタリアンの肉食女子とは!? 此れ、如何に??」


 




 アレク達はカフェで昼食を取ると、会計を済ませて大通りに出た。


「おい! お前ら!!」


 アレク達に声を掛けてきたガラの悪い男達が居た。


 ガラの悪い男は、アレクを見て仲間に叫ぶ。


「間違いない。こいつらだ!」


 アレク達の回りにガラの悪い男達が集まってくる。


 ガラの悪い男がアレクに告げる。


「お前ら、この前は、随分とナメた真似をしてくれたな? ああん??」


 アルが口を開く。


「先輩!?」


 アレク達に絡んできたのは、士官学校校舎の外れの階段の踊り場で、ルドルフに私刑(リンチ)を加えていた先輩学生達であった。


 ガラの悪い男がアレク達に告げる。


「ここじゃ人目が多い。お前ら、ちょっと顔を貸せ」


 そう言うと、ガラの悪い男達は、路地裏にアレク達を連れ込んだ。





 十二人のガラの悪い男達は、路地裏の大通り側に陣取って、アレク達に詰め寄る。


「お前ら!! ここに居るウサギ・アマギさんとソナーさんは、あの『フナムシ一家』の下位組織である『腹筋同盟』のメンバーなんだぞ!! 『腹筋同盟』をナメやがって! 覚悟はできているんだろうなぁ!」


 アレク達に凄む先輩学生達を無視して、アルがアレクに尋ねる。


「・・・ここは学校の外だ。アイツらに殴られてやる必要はないぜ?」


 アレクもアルに答える。


「同感だ、相棒! 本気出すぞ!!」


「そうこないとな!」


 アレクは、大声で小隊の全員に指示を出す。


Ausrich(アウスリヒ)tung(トゥング)!!」

(整列!!)


 アレクの指示により、八人は前列と後列に分かれ、陣形を整えて整列する。


 前列は左から順に、エルザ、トゥルム、アル、アレク。後列は、ナディア、ドミトリー、ナタリー、ルイーゼである。


 アレクは、再び大声で小隊の全員に指示を出す。


Präsen(プレツェン)tiert(ティア―ト) das(ダス) Gewehr!(ゲヴェーア!)

(構え!)


 アレクの掛け声に合わせて、前衛のエルザ、トゥルム、アル、アレクは、並んで盾を構える。 


Rückzug(ルックズク)sschwert(シュウェート)!!」

(抜剣!!)


 前衛の四人は、武器を構える。


 人数が多い自分達にビビるどころか、チンピラや学生の喧嘩ではなく、本気で帝国軍の戦闘態勢を取るアレク達に、『腹筋同盟』のガラの悪い先輩学生達のほうがビビリ始める。


「・・・おい!? ちょっと待て、お前ら!? 何をするつもりだ??」


 怯む先輩学生達を他所に、アレクは再び大声で小隊の全員に指示を出す。


Reichs(ライヒス)ritter(リッター), vor!!(フォー!!)

帝国(ライヒス)騎士(リッター)、前へ!!)


 アレク達八人は、武器と盾を構えたまま、歩調を合わせて前進する。


「うわぁあああ!!」


 アレク達八人は前進し続け、前衛の四人と先輩学生達が狭い路地裏で衝突する。


 前衛の四人は、盾越しに先輩学生達を押し止める。


 アレクが他の前衛三人に伝える。


「良いか? みんな、殺すなよ??」


 アルが笑顔で答える。


「判ってるって!」


 アレクが号令を掛ける。


Attacke(アタック)!!」

(攻撃!!)


 アレクの号令に合わせて前衛の四人は、一斉に盾で先輩学生達を押し返すと、盾の隙間から体勢を崩した先輩学生達の足を武器で斬りつける。


「ぐぁああああ!!」


「やろう!!」


 攻撃した後、アレク達は再び盾を構えて陣形を整え、盾越しに襲い掛かってくる先輩学生達を押し止める。


 再びアレクが号令を掛ける。


Attacke(アタック)!!」

(攻撃!!)


 再びアレク達は、一斉に盾で先輩学生達を押し返すと、盾の隙間から体勢を崩した先輩学生達の足を武器で斬りつける。


「ぎゃあああ!!」


「待て! 待て! お前ら!!」


 先輩学生達の言葉を無視して、アレクはタイミングを見計らう。


(敵は全部で十二人! 八人倒した! 残りは四人! 今だ!!)


 頃合いを見計らって、アレクが号令を掛ける。


Angriff(アングリフ)!!」

(突撃!!)


 アレクの掛け声で小隊の八人は、一斉に隊列を崩して残りの四人の先輩学生達に突撃する。


「うわわわわ!!」


 一斉に襲い掛かってくるアレク達に先輩学生達は狼狽える。


 アルは、逃げ出した先輩学生の足を斬りつけて倒す。


 アレクは、逃げ出した先輩学生の頭を後ろから剣の峰で殴り付ける。


 すかさず、ルイーゼが路地裏の壁に向けて飛び跳ねると、アレクが殴り付けた先輩学生の頭を三角蹴りで蹴り、先輩学生は白目を剥いて倒れる。


 トゥルムは、正面の先輩学生を鷲掴みにして持ち上げると、自分の膝の上に先輩学生の背中を打ち付ける。


 エルザは、逃げ出した先輩学生の脇腹を後ろから剣の峰で殴り付け、呟く。


「下品な男はお断りね!」


 嗚咽を漏らしながら(うずくま)る先輩学生をナディアがメイスで殴り倒すと、エルザに同意する。


「同感!!」


 先輩学生の一人ウサギ・アマギが、アルに斬られた足を押さえ、地面を這いずって逃げながら、捨て台詞を履く。


「お前ら・・・、こんな事をして、どうなるか判ってんのか・・・? オレ達、『腹筋同盟』がやられたら、あの『フナムシ一家』が出てくるんだぞ!!」 


 アレクが、ウサギ・アマギの前にしゃがんで告げる。


「その時は、オレ達、ユニコーン小隊が相手になる!」


 アレクは、立ち上がると小隊のメンバーに告げる。


「オレ達の勝ちだ! 行こう!!」


 アルは、アレクと肩を組むと軽口を叩く。 


「さぁ、みんなでパァ~ッと打ち上げやろうぜ!!」


 エルザも軽口を言う。


「パーラーでスィーツが食べたいなぁ~」


 ナディアも軽口を言う。


「良いわね! パーラーで打ち上げ!! アイスクリーム! フルーツパフェ!! どっちも良いわぁ~」


 こうしてアレク達ユニコーン小隊は、半グレ・チンピラ集団『腹筋同盟』を返り討ちにして圧勝を収めた。



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