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第百三十二話 開会式 

--小隊対抗模擬戦トーナメント 開会当日


 いよいよ小隊対抗模擬戦トーナメントが開会される当日となった。


 アレク達士官学校の生徒達は、練兵場に建設されたステージの前に整列し、小隊対抗模擬戦トーナメントの開会式が行われる。


 壇上にアレクの両親である皇帝ラインハルト、皇妃ナナイが現れて席に着き、続いて皇太子ジークフリートと皇太子正妃のソフィア、第二妃のアストリッド、第三妃のフェリシアが現れ、席に着く。


 壇上に士官学校や帝国軍の高官が上がり、偉い人の長い話が続く。


「それでは、本校の卒業生であらせられる皇太子殿下より、御言葉を賜りたいと存じます」


 司会の案内によりアレクの兄、皇太子ジークフリートが席を立って演壇に出ると、口を開く。


「士官学校の諸君! 諸君らは、いずれこの士官学校を卒業して、帝国軍の中核となる者達だ。皇帝陛下の御前で、日々の研鑽と鍛練の成果を発揮し、帝国騎士(ライヒス・リッター)として恥じる事の無い戦いを期待する!」


 司会は恭しく続ける。


「皇太子殿下より御言葉を賜りました。それでは、只今から、皇太子殿下御成婚記念、小隊対抗模擬戦トーナメントを開幕致します!」


 司会の案内により、壇上の者達は会場に建設された貴賓席へと向かう。





 整列するアレク達学生の前に案内役の女性が現れ、口を開く。


「第一試合を行う小隊は、試合会場『塹壕』へ移動して下さい!」


 アルは小隊の皆に話し掛ける。


「いよいよオレ達の出番だな!」


 アレクは小隊の皆に声を掛ける。


「みんな! 相手は弱い先輩方だけど、手加減無用だ!」


 小隊の皆は答える。


「おおっ!」





 アレク達は、ステージ前から会場に向かって歩きながら作戦を立てる。


 アルはぼやく。


「試合会場は『塹壕』か・・・。穴に潜りながらって、戦いにくいんだよなぁ・・・」


 アレクは作戦を提示する。


「ギリギリまで塹壕に入らなければ良い。ナタリーとドミトリーは、旗の守りながら魔法での支援を頼む。オレ、アル、トゥルム、エルザの前衛四人は盾を構えて突撃、ナディアとルイーゼは、前衛に付いて来て、側面と背後の守りと前衛の直接戦闘支援を頼む」


 アルは納得したように答える。


「なるほど・・・。こっちは、できるだけ塹壕には入らず、前衛四人で盾を構えながら突撃して一気に相手との間合いを詰め、直接戦闘に持ち込む作戦か」


 アレクは笑顔で答える。


「そうだ。こっちは小隊八人の内、七人が近接戦闘が可能だからね」


 エルザは軽口を叩く。


「筋トレしていて良かった。まさか盾を構えたまま、敵陣まで走るなんてね」


 アルはエルザを茶化す。


「・・・エルザ、筋トレで腹筋が割れて来たんじゃないのか?」


 エルザの装備は、ビキニアーマーであるため、基本的にお腹が見える。


 アルの言葉に、歩いていたエルザは赤面してお腹を隠す。 


「ちょっと! アル! 変なところを見ないでよ!」


 アレコレと話しているうちにアレク達は試合会場に到着し、小隊の陣形を整えて臨戦態勢を保ちながら、試合開始の合図を待つ。





 

 他の学生達は、試合を見物するべく、一般の客席に移動する。


 ルドルフ達グリフォン小隊が客席に向かって歩いていると、ルドルフは呼び止められる。


「ルドルフ!」


 ルドルフを呼ぶ、その声には聞き覚えがあった。


 栗毛で茶色の瞳の明るく快活な感じの女性がルドルフの前に現れる。


「母さん!? どうしてここに?」


 突然に現れた母親にルドルフは驚く。


「息子の活躍と晴れ舞台を一目見ようと思って、ルードシュタットの片田舎から出て来たのよ。・・・試合、頑張ってね!」


「ああ! もちろんさ!」


 ルドルフの母親はルドルフの答えを聞くと、目を細めて遠くに見える貴賓席を見詰める。


 ルドルフが母親が向けている目線の先を見ると、皇帝ラインハルトと皇妃ナナイ、そして皇太子ジークフリート達、帝室の御一行が貴賓席に座り始めていた。


 貴賓席に座る帝室の者達を遠い一般観客席から見詰める母親の顔は、どこか寂しげであり、懐かしそうでもあった。


 

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