第百十五話 肉食系になったお嬢様
酔いが回ったナタリーは、意を決して制服の上着とシャツを脱いで上半身裸になると、アルの膝の上に向かい合って跨がり、恥ずかしそうに上目遣いでアルに尋ねる。
「アル・・・、見て。・・・私の、どうかな?」
ナタリーの大胆な行動に、童貞のアルは焦ってしどろもどろに答える。
「凄く・・・綺麗だよ」
ナタリーは、母のクリシュナと同じプラチナブロンドの長い髪で淡い褐色の肌と琥珀色の美しい瞳をしており、華奢な身体付きであったがスタイルは良かった。
「ありがとう」
ナタリーの琥珀色の瞳がアルを見詰める。
「アルは、決して私を傷つけようとはしないのね。・・・優しい。・・・でも、女は好きな人に傷つけて欲しい、自分を奪って欲しいものなの」
「・・・ナタリー」
ナタリーは、アルの頭を優しく抱き締める。
「・・・アル、・・・大好き」
ナタリーは、父ジカイラに似て筋骨隆々としたアルの逞しい筋肉を撫でながら呟く。
「・・・逞しい。鼠人からも、ひったくりからも、私を守ってくれたよね」
ナタリーは、再びアルにキスする。
二人に対してカーテン越しに店員が尋ねてくる。
「お客さん、時間だよ。延長するかい?」
カーテン越しにアレクの声が聞こえる。
「会計で」
ナタリーがアルの耳元で囁く。
「・・・向こうも終わったみたいね」
「ああ」
アルが店員に答える。
「会計で」
店員が答える。
「あいよ」
ナタリーとアルは、衣服を直すと会計を済ませて、店を出る。
少ししてから、アレクとルイーゼも店を出てくる。
四人は、揚陸艇に向けて帰途に着く。
歩きながら、アルはアレクの耳元でこっそりと話す。
「なぁ、アレク。・・・ウチの小隊の女の子って、みんな肉食系だったんだな」
アレクは、呆れたようにアルに答える。
「・・・なんだ・・・アル。・・・今頃、気付いたのか?」