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第九十七話 帝国辺境派遣軍の帰還

 帝国辺境派遣軍の飛行艦隊は、昼前に帝都の皇宮に併設されている飛行場に帰還する。


 四隻の飛行空母と四隻の飛行戦艦が次々と飛行場に着陸していく。


 飛行場では、帝国の四個兵団、すなわち帝国竜騎兵団、帝国機甲兵団、帝国不死兵団、帝国魔界兵団が儀仗のため整列していた。


 転移門(ゲート)で先に戻っていた皇帝ラインハルト、皇妃ナナイの二人を先頭に、帝国四魔将のアキックス伯爵、エリシス伯爵、ナナシ伯爵が並ぶほか、帝国魔法科学省長官のハリッシュ夫妻といった帝国政府首脳も儀仗の列に並ぶ。


 帝国辺境派遣軍が司令部を置いていた飛行空母の乗艦タラップが降ろされ、皇太子のジークを先頭にヒマジン伯爵、ジークの三人の妃達、ソフィア、アストリッド、フェリシア、そしてジカイラとヒナが乗艦タラップを降りてくる。


 ラインハルトとナナイは、タラップを降りてきたジーク達を出迎える。


 ジークは二人に一礼して口を開く。


「只今、戻りました」


 ラインハルトは、ジークの肩に手を置いて労いの言葉を掛ける。


「良くやった。見事な勝利だ」


 ナナイは、ラインハルトとジークの様子を傍らで微笑みながら見守っていたが、ジークを皇宮へエスコートする。


「ジーク、疲れたでしょう? 部屋でゆっくり休みなさい」


「ありがとうございます」


 ラインハルトは、ヒマジンを出迎える。


「ヒマジン伯爵。ジークが世話になったな」


 ヒマジンは、ラインハルトに一礼する。


「陛下、お役に立てて光栄です」


 ラインハルトに次いで、帝国四魔将のアキックス、エリシス、ナナシの三人がヒマジンを出迎える。

 

 アキックスはヒマジンを労う言葉を掛ける。


「御役目、御苦労だったな」


 ヒマジンは軽口を叩く。


「いや~、疲れたわ」


 エリシスも労いの言葉を掛ける。


「イケメンさん、大活躍だったみたいね」


 ヒマジンは苦笑いする。


「・・・そうでもねぇよ」


 ジークの三人の妃達がタラップを降りて帝国四魔将の元に来る。


「御爺様!」


 ソフィアは、大きな声でアキックスを呼ぶと抱き付く。


 アキックスは、笑顔で抱き付いてきたソフィアの頭を撫でる。


「ははは。ソフィア、大活躍だったと聞いておるぞ。我が孫娘ながら見事だ。私も鼻が高い」


「ありがとうございます! 御爺様が持たせてくれたこの『竜笛』のお陰です!」


 ソフィアは、首から下げていた豪華な造りの『竜笛』を首から外してアキックスに見せると、アキックスに渡す。


 ソフィアの言葉を聞いたアキックスは、豪快に笑う。


「そうか! 役に立って何よりだ!」 


 ラインハルトは、タラップを降りてきたジカイラとヒナを出迎える。


「御苦労だったな」


 ジカイラは、悪びれた素振りも見せず答える。


「疲れたわ~」


 ジカイラは、ラインハルトに顔を近づけると耳打ちする。


「・・・ダークエルフの件、後で詳しく話す」


「ああ」


 帝国辺境派遣軍の主要なメンバーと帝国政府首脳は、連れ立って皇宮へと歩いて行く。


 




 ユニコーン小隊の面々は、飛行空母のラウンジに居た。


 アレクは口を開く。


「帰って来たんだな。帝都に・・・」


 ルイーゼはアレクの呟きに答える。


「・・・そうね」


 アルは疑問を口にする。


「なぁ、オレ達って、いつ士官学校に帰れるんだ?」


 ナタリーはアルに答える。


「私達が士官学校に帰るのは、帝都での帝国軍の凱旋式が終わってからでしょ? それまではこの空母に居るようね」


 エルザは不満を口にする。


「士官学校より、この空母のほうが居心地良いんだけどな~。自炊しなくても、温かい食事は出来上がっているし、冷たいデザートはあるし」


 ナディアも口を開く。


「・・・すっかり、この空母に愛着ができちゃったわね」


 トゥルムも同意する。


「親征の間、家同然だったからな」


 ドミトリーも同意する。


「皆、思い入れもあるだろう」





 小隊のメンバーがしんみりとしていると、士官に連れられたカルラ姉妹がラウンジに現れる。


 カルラは、アレクの元に駆け寄ってくる。


「アレク中尉! 色々とお世話になりました!」


 そう言うとカルラはアレクに頭を下げる。


「お世話になりました!」


 カルラの妹も、カルラの真似をしてアレクに頭を下げる。


 アレクはカルラに答える。


「・・・そうか。帝都に着いたら、二人は孤児院に行くんだったな」


 カルラは笑顔で答える。


「はい! でも、大丈夫です! そこの士官の方に隊長さんの名前とか教わったんで、孤児院を卒業したら、必ずアレク中尉のところへお嫁に行きます!」


 カルラの言葉にアレクは苦笑いする。


「・・・はは」


 カルラ達は士官に連れられて、ラウンジを後にして飛行空母を降りて行った。





 ルイーゼはアレクに尋ねる。


「・・・カルラ達が行く孤児院って?」


「母上が経営しているところだよ」


「え!?」


 ルイーゼは小さく驚きの声を上げると、アレクに耳打ちする。


「・・・そこって、皇宮警護軍団(インペリアルガード)の養成校よ。きっと、カルラは近い将来、聖騎士(クルセイダー)とか、魔法騎士(ルーンナイト)とか上級職の騎士になって、アレクのところに来るわよ」


 ルイーゼの言葉にアレクは驚く。


「そうなの!?」


 アレクは、思わずカルラの成長した姿を想像してしまう。


(あの愛嬌たっぷりで可愛らしいカルラが、ミランダみたいな皇宮警護軍団(インペリアルガード)の女騎士に・・・)


 ルイーゼは、アレクにチクリと告げる。


「・・・四人目の奥さんに負けていられないわね! 中尉さん!」


 アレクは、ルイーゼの言葉に苦笑いする。


「・・・ははは」


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