傍らで躍るやさしい風雲 〜1〜
手の平に乗っかりそうなやわらかい小さな花
握ったら潰れてしまいそうな、やさしく柔らかいそれ
緩やかに傍らを舞う花びらが軽く触れる
小さいのに、大きな棘がある、華やかでもないこの花
そっと、触れていいですか?
見るたびに小さな笑みがこぼれれてきて
二度と見れないと思うと、胸が締め付けられる
ずっと傍らに置いておきたい、可愛らしい小さな小さな花で
時々、憧れるんだ、純白なその姿に、天使のようなその存在に
この手を伸ばせば、いつまでも届くようで、芯を失いそう
愛しくて、愛しくて、言葉に出来ないくらいに優しくて
ただ遠くから見ている為の小さな花で、手に取ることは許されない
頬をやさしめに撫でる風だけが、支えだった気もした
失うハズの無いものを失くして、涙して、戻れなくなった
風のように薄くて、憂鬱に泣いて
孤独が苦しくて、独りでただ見ているのが辛くて
傷つかぬ者もいなければ、傷つけない者もいない
苦しくて、苦しくて、孤独が辛くて、そんな時に君に出会った
この手を前に伸ばせば、君が居るけれども、上に伸ばせば?
ただ、絶望が脳を支配する、きっと
違う思想で生きる君、それをなるべくやさしい目で見守りたい
この手を伸ばせば、その小さな花に手が届くようで、勝手に想像に過ぎない、
夢を見ていた
もう、永遠の眠りに堕ちそうだった
時空の海に溺れて、もう死んでしまいそうだった
生きていることさえも辛くて、面倒で、もうどうにでもなりそうだった
怒りも、喜びも、楽しみも、苦しみも、何も感じられなくなっていた
放っておけば、時間なんて勝手に過ぎて行くもの、
そんなことを考えながら、一人泣いていた
花の大きな棘に触れて、異世界で目を閉じたまま空を見上げた