傍らで躍る優しい風雲 〜2〜
空を見上げていた
寒いけど、気にしない――
何もない、大きな暗闇は心地がいい
自分はどうして悩んでいたんだろう、忘れてしまう
ふと、手に持っていた小さな花
闇の中で、鈍く光るその花は、そっと何処かへ飛ばされた
手を離してしまったことを、離したあとで気づいて後悔して、
宙に舞ってどんどん離れてゆく花を見守る
目の前が真っ暗になった
自分はなにをしている?
自分は何故ここにいる?
孤独になった、君を不意に失って
外に出たくなかった、暗い穴がすきだった
外に出ても、暖かくなくて冷たい陽が射すだけ、孤独なだけ
それなのに、無防備に無邪気に笑う君
あの花に何処か、少しだけ似ていて、思わず呟いてしまった
目の前にあるのに届かない――
そんな辛いことがあることを、今日初めて知った
遠くから見ているのが一番楽、そう思えた日でもあった
突然明るくなっても眩しいだけ、君が遠いことには変わりないから、
ただ君にやわらかく、やさしく微笑むことを心がけた
二度と言葉を交わせなくてもいい、見ているだけでいい
そう、暗闇から見守るだけで――
そんな僕の傍を、やさしい風が吹いた
まるで躍るように、乱雑だけどやさしく吹く風雲は、
時間を消すような勢いで去って行った
心なしか、僕を慰めているようで、無性に苛立った
君をただ、遠くから見守るだけで――
そう、まるで傍らで躍るやさしい風雲のように
僕は、風になりたい。
ひっさしぶりです。
なんか、ねぇ。暗いわ。とことん暗いわ。
……まあそれが私なんですけど。