5:どうする?私
15番目の王子様〜〜!!
私がそれ以上に驚いた事は、この国に
王子様が15人、もしくわ15人以上の王子様がいる事だ。
でも、なんで国の王子がこんな所で働いてるの?
「あ〜ぁ不貞腐れちゃって♡」
自分で言ったくせにセラミーさんは、可愛そう
とアモン君を慰め始めた。
「触るんじゃね〜もうこんな所辞めてやる!」
アモン君はセラミーさんの手を振り払い店の外に出て行ってしまった。
店の中には静けさだけが残り、みんなしばらく黙り込む。
もしも、アモン君が本当に抜けたなら
唯一の希望であったパンケーキを無くしたも同然のことであった。
「セラミーが、アモン君怒らせた〜!お仕置きタイム〜。」
空気が読めないのか、わざと活気を戻す為にやったのか、
ルーナさんが杖を振りながら
「 ファイヤービーム。」
と叫んだ。そして在ろう事かセラミーさんは、丸焦げの肉のように
なりぐったりと倒れた。これってお仕置きどころじゃないでしょう⁉︎
もう、これ現実世界でやったらルーナさん刑務所行き真っしぐら……
「キモセラミーは、ほっといて今はどう客を呼ぶか考えろ!」
なんか、セラミーさん可哀想かもしれない…。
「それと、異世界女!!お前は厨房に入ってなんか作れ料理が作れるなら働いて良し」
店長さ〜ん(泣)私の名前は、滝川 一花です〜。異世界女って〜
でも、口答えしたら…私はゾッとしてセラミーさんを見た。
「なんでもいいんですよね?」
私は、もう一度店長に確かめた。
「ああ、厨房にある食材だったら使っていい。分からない事は厨房にいるアモンに聞け」
え?アモン君ってさっき外に出て行っちゃたんじゃぁ
考えながらも、私は厨房に入ってとりあえず手を洗った。
「何作ろうかなぁ…卵焼きとかおにぎりとか……。」
材料を確認して、卵はあったがご飯はなかった。
卵焼きは母が亡くなってから妹と、弟の為に何十回も作ってきた。
今何時なんだろう……異世界と現実世界が同じ時間じゃなかったら…!!
どうしよう!奏四じゃあ料理作れないし…あああ
「おい、焦げてるぞ!!」
無意識のうちに、もう私は卵を焼いていた。
お砂糖を入れたかも、覚えていない…。
焦げそうになった事に気がついたアモン君が火を弱火にする。
「お前、もしかして料理下手なの?」
不可解そうにアモン君が聞いてくる。あ、アモン君いたんだ!
「違う、なんか妹と弟の事を考えちゃって無意識に作ってた。」
「お前、妹と弟いるんだ。何人?」
卵を長細い形に整えて、火を止めた。
「7人兄弟の長女。アモン君とは正反対だね」
やっぱし気にしてるのか、またアモン君が不機嫌になる。
「俺の兄なんてみんな、馬鹿な奴だよ。王の座を取る事しか考えてない。」
「どう言う事?」
チラッととアモン君は私を見た。アモン君の瞳は、さっきよりも
強さを増した眼差しだった。そして、その中には悲しみが混じっていた。
厨房には円形の机と調理用の椅子が二つある。
私達は卵焼きの事を忘れ、その机に座った。
そうして、長いアモン君の生い立ちを私は知ることになった。
悲劇の事件を……。