3:魔法のパンケーキ
「ま、不味い……。」
ステーキと言うよりこれは、生肉にワインをぶっ掛けただけなのでは…
お肉の中は、まだ真っ赤で確かに表面は焼けているが中には
まだ、血が残っている。
「えぇ〜不味いの〜!!。」
不味いと言う問題ではなく、食中毒になるよこれ⁉︎
「これってちゃんと焼きました?」
私がルーナさんに聞くと、
ルーナさんは木の棒を取り出して、多分魔法の杖かな?
「エッヘン!魔法でしっかりと焼いたよ〜。」
「ルーナさん、5秒しか火力魔法使ってなかった…。」
調理の現場を見ていたと言う男の人が小さく囁いた。
そういえば、この人名前聞いてなかったなぁ…どうしよう…
店長もそうだが、この男の人も普通の人間らしい形をしている。
やっぱ、自己紹介は必要だよなぁ…よし!
「あの、そこの男の人…名前聞いてないんですけど。」
厨房に帰ろうとしていたその人が振り返った。
「あ、僕の名前ですか。その名は、ロゼット・セラミ〜気高くそして女の子には決して忘れた…」
そこまで言うと、店長が呆れたかのようにセラミーさんの腕を引っ張って
「顔しか取り柄のない、女好きキモセラミーって覚えな。」
うっさっきと随分イメージが違う…
「さぁさ、まだまだ試食はあるよ!」
その後は、副菜のサラダと言われ見ればレタスに人参が丸ごと刺さっただけだったり、
口直しにシャーベットが出されたと思えばただの、氷だったり……。
今、一番不思議なのはなんでこの店閉店しないの〜⁉︎
「じゃぁ、デザートはまだ見たいなので今までの感想を聞かせろ。」
「おいらも聞きたい!。」
これは、はっきりと言った方がいいのかな……。
でもこれで、褒めればここに来たお客さん達が食中毒状態になりそうだし〜〜
私は自分の思っていることを言う事にした。
「はっきり言うと、全てこの世のものとは思えないほどクソ不味かったです。特に、ステーキと副菜のサラダは最悪な味でした。」
ウンウンと自分で頷き、スッキリ言えた事にスッキリした。
だが、最悪と言われたルーナさんはショボンとした顔をして、店長は
怒りのあまりに頭から猫耳とお尻からは、尻尾が出ていた。
(やっぱ、店長も普通の人間じゃなかった!!)
なんか、言い過ぎてしまった!のかな?
「で、でもだぞ!今から出るデザートだけは特別だ!」
小人に言われるとなんか……。
「あ、ほら来たよ〜アモン特製魔法のパンケーキ!」
ゴクンッ私はこれまで以上に真剣になった!ひょっとしたら私は死んでしまうかもしれない…
食中毒で死ぬなんて絶対御免だ!!
銀の皿には、三段になったパンケーキの上に木の実やアーモンドのトッピングにタップリとシロップがかかっていた。う、美味そうだけど……これは魔法を使った罠かもしれない!
机の周りには、私がパンケーキを食べる瞬間を見ようとずっと見ていた!
緊張が走りながらも、死なない事を祈り口に切り分けたパンケーキを口に入れる。
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