一郎と哲
一哲コンビです。
『傷』つきながらも『鎖』のような『絆』で結ばれた二人です。
さて、本日の議題は『一哲コンビ』についてである。
一哲コンビとは、言うまでもなく!
サイファー瀧川一郎氏と、キャサリン菊池哲氏である。
古来より日本音楽シーンには様々な名コンビが存在する。
X JAPANヨシキ&トシの千葉コンビ!
X JAPANヒデ&パタの店長とバイトコンビ!
GLAYタクロー&テルの函館コンビ!
その中にあって小さな頃からの幼馴染でもないのに44MAGNUM繋がりで出会った一郎と哲!
二人が最初に組んだバンドは『D'erlanger』
デランジェである。
magnum:①名詞 ②形容詞
意味:①マグナム瓶、1.5リットルの酒瓶
②マグナム型の、強力な
例:My magnum is magnum opus(私のマグナムは最高傑作です)
D'erlanger:名詞
意味:淫らな欲望(古いフランス語)
※そんなフランス語はないそうである。
さて、D'erlangerが結成された頃、日本にはビジュアル系という言葉もジャンルもなかった。それ故かD'erlangerのジャンルはサディスティックパンク。そう、サディスティックなパンクなのだ。
パンクと言えばピストルズ? クラッシュ?
などを想像するのではないだろうか。しかし彼らD'erlangerの音楽はパンクと言うには暗く、淫靡な魅力を放っている。
ピストルズが銃を使って反抗する不良少年だとするならば、D'erlangerは地下でエロいことをしながら時々地上に爆弾をバラまくテロリストのようなイメージだ。
これにはD'erlangerのボーカルであるkyoこと磯野宏氏の経歴を語らねばならない。菊池哲氏と並んで有名すぎる話なので、語るまでもない。しかし学術的な観点から鑑みるに語らないという選択はない。
いかにしてD'erlangerはこのような魅力を持つにまで至ったのか?
瀧川氏の炸裂弾のようにズタズタにえぐるギター?
菊池氏のマシンガンのように撃ち抜くドラム?
それももちろん必要だ。必要十分条件である。
ボーカルの磯野氏、ドラムの菊池氏、そしてX JAPANのギター、松本氏。この3名が若き日のある時期、同じバンドに在籍していたことはすでに証明されている。バンド名は『横須賀サーベルタイガー』
その曲からは後のX JAPANやD'erlangerにも影響を与えた曲が存在する。つまり、全てはそこから始まったと言っても過言ではない。彼らは横須賀を拠点にしてインディーズシーンを席捲。林ヨシキ率いるX、沢田タイジを擁するディメンシアと並び関東3大粗大ゴミバンドとして称された。
そんな辣腕ボーカル、磯野氏を擁するD'erlanger時代から一哲コンビは切磋琢磨してきたのだ。あのXと肩を並べたバンドなのだ。抗いがたい魅力を持つのも当然である。
さて、そんな瀧川氏だが、拘りの強い性格であることは前述した通りである。
では具体的にはどう拘りが強いのだろうか?
1、曲に対する思い入れがすごい。
気に入った曲をとことん愛する。バンドが変わっても演奏し、違うボーカルにも歌わせる。学会員のようなファンからするととてもありがたく、嬉しい。しかしそう考える者ばかりではない。
曲の使い回しかよ? 新曲作れよ。曲数増やせよ。などという意見も否定できない。
またボーカルにしてみれば『キー』という切実な問題がある。
例えば、瀧川氏作曲の『I love you』という曲がある。ビート感、スピード感満載なのに歌いやすいキャッチーな曲である。
それを初リリースしたのはD'erlanger解散後、CRAZE結成前に所属していたバンド『body』においてだ。もちろん菊池氏も所属している。
body:①他動詞 ②名詞
意味:①〜を具体化する ②体、本文
例:Tom sells his body(トムは体を売っている)
デビューライブが日本武道館という鳴り物入りでデビューしたbodyだが、アルバム1枚、活動期間2年足らずであえなく解散。だがそこは問題ではない。(ライブアルバムは除く)
その時のデビューシングルが『I love you』なのだ。学会員は当時のラジオ、赤坂泰彦のミリオンナイツで流れたのを覚えている。当時はD'erlangerもbodyも興味がなかったにも関わらずだ。それほどの鮮烈な曲なのだ。
そしてbodyは解散。学会員が再びその曲に出会ったのは、CRAZEのコピーライブのための2枚組アルバムを渡された時だった。バンド名はCRAZEなのに曲はbody!?
しかし曲名も何もかも同じ、違うのは声だけだ。それが当時は衝撃だったものだ。何年も経っているのに、それを聴いただけで当時のラジオをはっきりと思い出したのだ。(正確にはギターソロや後奏は結構違う)
しかもそのアルバムにはI love youが2曲収録されていた。昔とよく似たシングルバージョン、そしてアコースティックバージョンだ。
聴けば分かる。この曲は捨てられない。2019年現在に至るまで20数年の長きに渡り、数多のバンドを通してまで歌い継ぐ価値がある名曲である。
さて、果たしてこれは横紙破りなのだろうか? 瀧川氏の独裁状態なのだろうか? そう思うメンバーがいたからこそ、解散やメンバーチェンジを繰り返してきたのだろうか?
確かに1つのことに拘るのは大事だろう。その結果生まれるものがあるのだから。
2、色に対する思い入れが強い。
瀧川氏を象徴する色とは一体何なのか?
それは……紫である。いや違う、ド紫である。ド紫人生激情である。
彼の好みは紫。ラメ入りのド紫。ギターも紫。車も紫。きっと心も紫に違いない。
はっきり言って趣味が悪い。悪いのに、なぜあんなにもカッコいいのか。間違いなく史上最高に紫が似合う男である。
そんな彼の言葉がある。
『早弾きなんて必要ない。コード1発で俺と分かるギタリストになりたい。』
サイファーこと瀧川一郎はそうなった。
リフ1発で彼と分かるギタリストになった。ジーンズに白いTシャツでステージに上がる。それだけで我々ビジュアル学会は目が離せなくなってしまうのだ。
さて、キャサリンこと菊池哲氏について語る時間がなくなってしまった。
無念だがまた次回をお待ちいただきたい。
なお、当学会の名誉会員である朝倉ぷらす氏の調査により興味深いことが判明したのでここに記す。
以下、引用
『色々調べましたが、D’ERLANGERに「淫靡な誘惑」という意味はありませんでした。これ「of(from) Erlanger」のフランス語ですが、「Erlanger」はアメリカの市の名前で、「D’ERLANGER」というフランス人銀行家の方が尽力したため、らしいです。ですが、このフランス人、元々はドイツ人系の家だそうで、ドイツに「Erlangen」という都市がありますね。そこがルーツでしょう。ちなみにドイツ語で「Erlangen」は英語で「gain」の意味なので、やっぱり「淫靡な誘惑」の意味は無さそうです。
なら、このフランス人「Frédéric Émile d'Erlanger」男爵を調べると面白いことがわかりました。まず、この方の息子二人が音楽家になって、音楽活動をしていたんですね。おそらく、それがD’ERLANGERが「D’ERLANGER」という名前を知るきっかけになったのだと考えられます。そして、この「Frédéric Émile d'Erlanger」さんですが、二人目の奥さんが尋常じゃないくらいの美人だったそうで、奥さんとその姉妹でパリの男性を魅了していたそうです。奇しくも、1860年代のことで、当時は耽美主義が流行った頃ですから、「美のための美の追求」に酔っているパリの男性貴族にとって「美しすぎる姉妹」は、その憧憬の対象だったと思います。そこまで深くは調べてませんが。
おそらく、ですが、これがD’ERLANGERがその意味を「淫靡な誘惑」とした理由だと思います。ヴィジュアル系なのでしたら、耽美主義はぴったりですしね。
ただ、あまり深く調べてないので、これで合っているかは、わかりません。説の一つとして、「こういうふうに解釈もできる」くらいに思っていただけると嬉しいです。』
『ところで、「D'erlanger」と「CRAZE」についての知見が深まりました。
なんで、この二人は「Lunatic」っていうバンドを結成しなかったのでしょうね?
確実に、CRAZEの語源から、着想を得ているのです。「C'raze・Craisen=Déranger」ですが、「Craze」の語源を調べて「Craisen」というドイツ語にあたりました。その意味として「Derange」のフランス「Déranger」があったのですが、この発音が「デランジェ」でした。「D'erlanger」と、発音的にはほとんど一緒です。
というか、「D'erlanger」の大元がドイツとか。
「Derange」は古フランス語が元とか、あれこれ一致し過ぎですよね。「D'erlanger」さんフランス人ですし。
で、「狂う」という単語は、ヨーロッパ圏では「Lunatic=魔が差す」と「Crazed=壊れる」のどちらかに行き当たりますから、「CRAZE」とか「D'erlanger」とかの名前を知ってる人が、「Derange」を知らないとか、考えられません。
おそらく、インスピレーションの元になったのでしょう。「Lunatic」は「魅せられる」という意味もあり、「惑わされる」という意味も持ちます。ですので、その辺りも併せて、「D'erlanger」さんの二番目の奥さんとも重ねて、仮託したのではないか、と思うのです。』
以上を当学会の公式見解としたいと思う。
誰も知り得なかった事実が判明した。
朝倉氏の功績は絶大である。