HIDE
やあ諸君。
前回の相川七瀬氏からどれほどの月日が経ったことだろうか。
性懲りもなく、また書くことになってしまったではないか。
さて、議題は……!
X JAPANのギタリスト、HIDE。
本作ビジュアルヒストリーで度々登場する人物である。
悲しいことに本日5月2日は彼の命日である。
だから、書きたくなってしまったのだ。
彼が夭折してもう20年以上。生きていれば50代も後半に差しかかる頃だ。
あまりに有名すぎて今さら私が語ることなど何もない。だから無いなりに語っていきたいと思う。
HIDEこと松本秀人氏。ソロでは小文字でhide。
元々Xファンであった私が『HIDE』という個人を初めて意識したのはラジオだった。
赤坂泰彦のミリオンナイツ、その第二部。
X TOSHIのbeyond the timeにおいてだった。
beyond:前置詞
意味:〜の向こうに、〜を越えて
例:He is beyond kinky.(彼はエロいなんてもんじゃない)
あのトシ、出山氏がラジオをしていたことすら知らなかった私はそれを知ってからというもの、毎週録音しながら聴いていたものだ。
その番組内で、今日はヒデのソロデビュー曲を流す! というから聴いていた! 曲名は『50%&50%』ちなみに「フィフティーフィフティー」と読む。
今にして思えばこの曲はそこまでよくない。しかし、当時は衝撃だった。全てが新しかったのだ。何か真新しい概念に触れてしまったかのように。「ヒデってこんな声してるんだー」とも思ったものである。
そして本当の意味で松本氏を好きになったのはこの曲のカプリングを聴いてからだ。
『Eyes love you』
当時は同時発売シングルでも出ていたことを知らず、カプリングの方の「まっど何とか何とかmix」なバージョンしか知らなかったのだが、最高だった。一気に大好きになってしまった。この後、シングルバージョンも聴いてもっと好きになってしまったが。
そうなった状態で改めてXの曲を聴いてみると……
私の好きな曲のあれこれを松本氏が作詞作曲していることが分かったのだ!
例えば!
アルバム『BLUE BLOOD』より
『celebration』
プロモーションビデオ『visual shock2.5』にも収録されている。
跳ねるように歌う出山氏。
踊るように叩く林氏。
職人のように淡々と弾く石塚先生。
暴れる沢田氏。
そして、魔法使いのように少女に魔法をかける松本氏。
冠婚葬祭に欠かせない曲(出山氏談)セレブレーション。名曲である。
聴いてるだけで楽しくなってしまうこと請け合い!
ギターソロ後の松本氏の早口英語は必聴!
シンデレラは継母に蹴りを入れます!
celebration:名詞
意味:パーティー、祝賀
例:We gave a party in celebration of his 100,060th birthday.
(彼の10万60歳の誕生日を祝ってパーティーを開いた)
アルバム『jealousy』より
『love replica』
歌なしのインスト曲である。
当時発売の楽譜にはメンバーのコメントが載っており、奏法に関してアドバイスをくれたものだが……
この曲に関しては……
「こんなのコピーするやついねぇ!」
で終わってたのだ……
馴染みのない三拍子。
怪しいメロディ。
呪文のようなフランス語。
妖しさが癖になる曲である。
replica:名詞
意味:写し、複製
例:I want to make a replica of her ass.
(彼女のアレの複製を作りたい)
『Joker』
コツコツと響く足音から始まる、当時珍しい多重録音による楽曲である。重ねすぎである。
松本氏が何気なく口ずさんだところを聴いた同車のスタッフが「それいい曲だね」と思わず言ってしまった曲でもある。
栄枯盛衰が見え隠れするこの曲。
ネロやカサノヴァといった人物名を知ったのもこれがきっかけだあった。
jokerはjokerだし、負け犬はしょせん負け犬でしかない。
だから私たちは今日より明日を夢見て努力を続けるしかないのだ。
他にも『sadistic desire』という『横須賀sabel tiger』時代からの名曲も存在する。
joker:名詞
意味:冗談を言う人、取るに足りない人
例:Some idiot joker is blocking my driveway.
(行儀と頭の悪い奴が俺の車道をふさいでいやがる)
次にソロの曲について言及してみよう。
私が好きになった順で申し訳ないが。
『Eyes love you』
これは先ほども言ったが名曲である。どこか猟奇殺人を思い起こさせるようなイカれた歌詞。それに反して物悲しくもポップな曲調。タッピングを駆使したクールなギターソロ。
タッピングを知らなかった私は普通に弾こうとして断念した覚えがある……クラシックギターで……弾けるかぁー!
eye:名詞
意味:目、瞳
例:That undressed girl with blue eyes is insane.
(あの服を着てない青い目の女の子はイカれてます)
『DICE』
初めて聴いたのはX TOSHIのbeyond the timeであった。その時松本氏は番組に電話で出演していたのだが……
松本氏は
「何で同じ都内にいるのによー! 電話で参加なんだよー!」
と文句を言っていたが、出山氏は……
「それは随分話が違いますねぇ?」と真相をバラしていた。松本氏はレコーディングの真っ最中でラジオ局に来れなかったのだ。
余談だが松本氏は出山氏が出演したロックオペラ『ハムレット』に対して
「よくかぶいたものよのう。」
「あーいいなー、膝枕!」
と、感想を述べていたが、その時膝枕をしたオフィーリア役の女性があんなことを仕出かすとは、思いもしなかったことだろう。
そんな番組の中で披露されたのが新曲『DICE』だったのだ。
イントロからすでに全開!
松本氏の低く渋い声がいきなり炸裂!
『世界に一つだけの花』という曲があるが、それを先取りしたかのような歌詞。
先んずれば人を制す、この世に自分はただ一人、と言わんばかりである。
dice:名詞
意味:さいころ
例:Once and for All! Throw the dice!
(一天地六の賽の目に! 賭けてみるのが男道!)
『Tell me』
清原氏が登場したエースコックのCMにも使われた曲である。
私が好きになる曲の条件、スピード感があること、を満たしまくっている曲である。
イントロから16ビートで刻むギター。
小刻みに駆け足をするかのようなドラム。
なのに相反するかのようなポップな歌声。
一発で引き込まれてしまったのである。
そもそも曲名であるtell me。直訳すれば「俺に教えろ」である。
聞こえない声を求めて答えを探す苦悩。
そんな歌詞とは裏腹なビート、メロディ。
未来に希望を託すかのようなギターソロも必聴である!
なお、このTell meだが、『kyo & tetsu』のサーベルタイガーコンビによるトリビュートバージョンも聴き逃してはいけない。
松本氏の若き頃からの盟友両氏によるトリビュートである。この両氏については何度も名前を挙げたので割愛するが、一度道を別った者が幾星霜を経て再び邂逅するかのような感動が確かにある。ううっ……
tell:動詞
意味:告げる、言う
例:The murderer asked where she lived and I told him.
(あの時の殺人犯が彼女の居場所をたずねたもんだから教えてやったぜ……)
『misery』
Tell meと同じく正統派なスピード感を感じさせてくれる曲である。
何かが破裂して勢いよく吹き出したかのようなスピード感を。
曲名こそ『不幸』なのだが歌詞の内容は違う。
不幸よ消えてなくなれ、痛みを解き放て。というように非常に前向きになっている。
また、プロモーションビデオも印象的だった。
スーパーマーケットの中をカートに乗せられてぐるぐる回るだけ。なのにスピード感満載なのだ!
当時の松本氏の楽器隊バンド『spread beaver』のメンバー達もそこらの台車を『ロータス』と呼び松本氏を乗せてぐるぐると遊んでいたとか。
楽しそう……
misery:名詞
意味:みじめさ、苦しみ
例:Misery loves company.
(不幸は仲間を好む)
『ever free』
さっきからシングル曲ばかりで申し訳ないが、好きなんだから仕方ない。
世にfreeと名のつく曲は数限りない。
『tax free』
『I'm free』
『Set me free』
それはともかく、この『ever free』
やはりスピード感だ。そしてメンバーの楽しそうな顔が想像できること! これに尽きる。
GLAYで言うところの『soul love』のプロモーションビデオのような湧き上がる楽しさがあるのだ。
エバー……フリー……
hide……フォーエバー!
free:形容詞
意味:自由な、縛られてない
例:Dou't set a fuckin' prisoner free!
(あのクソったれ囚人を自由にさせるなぁぁぁ!)
さて、松本氏と言えば特徴的なギターを愛用していることは見れば分かる。
レコーディングではギブソンのレスポールも使っているそうだが。
あのギターは通称『モッキンバード』
変形ギターの元祖ではないが、それなりの歴史がある。
が、そんなことはどうでもいい。
いわゆる「サイケペイント」と言われる松本氏のギターに施されたデザイン。
スパンコールバージョンもあれば通常バージョンもある。
通称バージョンの商品名は『フェルナンデス MG-120X』だった。
価格は12.8万。当時10万円のファイヤーバードを買ってしまった私なら買えない金額ではなかったのに……なぜ私はファイヤーバードを選んでしまったのか……
後悔はしてないが、思うところはある今日この頃だ。
春。
また春に会うはずだったのに……
松本氏が亡くなり、沢田氏も亡くなった……
また春に会いましょうって言ったのに……
季節は巡る。
時は移ろう。
しかし、彼は、彼らはもうどこにもいない。
それでも我々は前に進まなければならない。
彼らのいない、この世界で……




