GLAY
さて、日本ビジュアルヒストリーも残すところ後2回。そんな今回の議題は函館の雄、GLAYである。
群馬県高崎市を代表するバンドがBUCK-TICKならば!
北海道は函館を代表するバンドはGLAYである!
メンバーは
ボーカル:テルこと小橋照彦 氏
ギター:タクローこと代表取締役、久保琢郎 氏
ギター:ヒサシこと外村尚 氏
ベース:ジローこと和山義仁 氏
なお、ドラムは激しいメンバーチェンジを繰り返した後、氷室京介 氏のサポートドラムとしても有名なトシ・ナガイこと永井利光 氏が、やはりサポートドラムとして参加している。
またキーボードではダイこと野澤大二郎 氏がサポートしている。そう、ビジュアル界に詳しい方ならご存知だろう。ダイ氏はhide with Spread Beaverのメンバーでもある。
彼がhide氏の訃報を聞いたのは三重県……グレイのツアー中、ライブ前のことであったそうな……
さて、そんなグレイであるが、エピソードが多すぎて伝えきれない。学会員の独断でセレクトするならば……こんな短歌がある。
『毎年10月が来れば思い出す
辛い季節と敬語のジロー』
詠み人は、兄貴ことヒサシ氏である。
同級生メンバーの中でジロー氏は歳下なのだ。だから昔はメンバーに敬語を使っていたという事実!
さて、グレイの曲の大半は作詞作曲タクロー氏によるものだ。そんな中にあってヒサシ氏の楽曲もいくつかある。
学会員が特に好きなのは『Cynical』である。
スピード感満載! 意味不明かつ皮肉な歌詞!
アコースティックライブではテル氏が歌詞を忘れてジロー氏に「給料減らすぜ」と言われた曰く付きの曲でもある。
ちなみにその時は歌詞を観客に教えてもらった。
そんなヒサシ氏だが、アニオタとしての顔は有名である。だから割愛する。
また、アレンジャーとしても辣腕を発揮する。
こんな話がある。
電話にて……
タクロー「村田に子供ができた」
ヒサシ「なんか最近めでたいねー」
タクロー「今から行く」
何事?
さて、ヒサシ宅に到着したタクロー氏。
ヒサシ氏にテープを渡して一言「いい感じにして」
そう言い放ち、自分は週刊少年マガジンを読み始める。ヒサシ宅で……
タクロー氏は村田氏の子供の生誕を祝福して曲を書いたのだ。そしてアレンジをヒサシ氏に依頼したのだ。
その曲こそ!
グレイの出世作!
『グロリアス』なのだ!
『生きてく強さ』『グロリアス』『BELOVED』と階段を登るようなヒット作3連発の中核をなす名曲である。
その時に生まれたR君も今は20歳を過ぎている頃だろう。感慨深いものである。
つまり作詞作曲こそタクロー氏であるが、ヒサシ氏のアレンジも見逃してはいけないのだ。
ちなみにヒサシ氏が所有する機材の1つに、ヤマハSU-10というものがある。今となっては型遅れもいいところなのだが……
所謂サンプラーと呼ばれる機材である。
これがどのような機材かは置いておくとして、ヒサシ氏はこのようにコメントしている。
『他人の曲は、バレないように取り込もう』
音作りに貪欲なヒサシ氏らしいコメントである。
Cynical:形容詞
意味:皮肉な
例:He smiled a cynical smile.
(彼は皮肉な笑いを浮かべた)
glorious:形容詞
意味:栄光ある
例:What a glorious mess!
(おやまあ……何ともよく整頓されてるのねぇ:汚ねえんだよ! ゴミ屋敷かよここは!)
beloved:形容詞
意味:最愛の
例:My beloved can't fuck me.
(私のいとしい人は、私のことを愛してくれません。)
そんなグレイトなバンドGLAYでおススメの曲と言えば……あり過ぎる!
あり過ぎて困る!
まずデビュー曲の『RAIN』
Xのヨシキ氏プロデュース、鳴り物入りでデビューを果たした!
しかしそこから『BELOVED』の極大ヒットまでは長い年月を要したのも事実である。
『together』
美しくも物悲しいバラードである。
恋と呼ぶには短い一夏の夢を思い起こさせる珠玉の名曲である。
学会員はギターソロの6連符が弾けなくて苦労したものである。
『REGRET』
オクターブ奏法のイントロから始まるこの曲は、当時のシングル『freeze my love』のカップリング曲として世に姿を現した。
freeze my loveに苦い思い出がある学会員ではあるが、この曲、リグレットのスピード感には魅力されてしまった。
ここまで読んでいただいた読者諸兄におかれては気付いておられることと思うが、学会員は速い曲が好きなのではない。スピード感のある曲が好きなのだ。
CRAZEの『君に逢いたい』のように。
hideの『ミザリー』のように。
どうすればスピード感を出せるかなんて分からない。そんな曲に出会える奇跡に感謝するのみだ。
『ひどくありふれたホワイトノイズをくれ』
曲名の意味など分からない。
ファーストアルバム『灰とダイヤモンド』に収録されている淡々と進行するキャッチーな曲である。バラードなのかポップなのか、学会員には分からない。しかし胸に来るものがあるのだ。
また、同じアルバムに収録されている『if』
この曲を聴いている時、とあるオーストラリア人に「日本人はfinding myselfが好きなんだ」と伝えたところ、
「オーストラリア人も好き」と言われてしまったことがある。
自分探しはいつから始めても遅すぎることなんてないのだろう。
『Yes summer days』
スピード感、いや疾走感と言えばこの曲である。
シンプルなのにドラマティックなイントロから始まり、突然走り出す物語。
Aメロではボーカルの裏でギターのカウンタープレイが物語に複雑さをもたらし、Bメロでは場面転換が起きる。
そしてサビで爆発し、疾走、物語は突っ走る。
ロックテイストなのに、どこか切ないギターソロから再びBメロ。
まさに胸を刺されるような名曲である。
さて、グレイには名曲がまだまだたくさんある。隠れた名曲から隠れてない名曲まで。
『SOUL LOVE』のプロモーションビデオではメンバーの仲睦まじい様子を余すことなく垣間見ることができた。
『BELOVED』のプロモーションビデオを撮影したのはアイスランド。
そこに出てきた橋は、火山の噴火で今はもうない。タクロー氏は子供ができたら「父ちゃんはなぁ、あそこでなぁ、プロモーションビデオを撮ったんだぞ」と言いたかったそうだが、最早叶わないことである。
嗚呼GLAYよ、永遠なれ。
さて、そんな日本ビジュアルヒストリーも次回で最終回となりました。
いつになるか分かりませんが、最終回をお待ちいただければ幸いです。