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乱気流
俺の助手席には順子。いつものように。バイクを盗んじゃいけないよ、捕まるよ、殺されるよ、暗い刑務所の中へええええええええええええええ。
「湖山池、行こう」
「うん」
順子の涙は、何を意味する。俺は、暗いトンネルの中、アクセルを踏む。この街、いいな。アクセルオン、順子の涙は何を意味する。調子に乗っちゃいけない。俺はハザードを照らし、田んぼの前に車を停めた。
「圭吾」
「どした」
「なんでもない」
「そうか」
ただ、キスをした。俺と順子はキスをした。ただ、それだけなのに。
「圭吾」
「どした」
「運転替わって」
「わかった」
俺は運転席から降りて、順子が降りた助手席に座った。カネオダさんが涙の理由か。男は阿呆に。女はキレイになるものだ。湖山池、8キロの標識。順子はアクセルを踏んだ。
「行こう」
と順子は切なく言った。俺は、なんだか泣けてきた。何故だか泣けてきた。人生の乱気流か。湖山池。俺は、俺で、このままじゃ。このままではだめだ。と強く、順子を抱き寄せた。




