夜道に二人
コンビニによる。迷った。ラーメンやかましって、いったいどこだ。いったいどうしたというんだ。背の高い、コンビニのレジ打ちのおじさんに聞いてみた。
「すみません、ラーメンやかましって、どこですか」
「あ、やかましさんね、あのお店、名前が変わってね。ラーメンカネオダになったんだよ。この道、ずーっと、西方向に行くと、デカい湖があるからさ、その前に、金色で、『ラーメンカネオダ』って、わかりやすく、看板があがってるから」
「あ、ありがとうございます」
俺は車に戻り、順子にキスをした。カネオダさん。なんじゃそれ。俺は西方向へ、順子を乗せて、走った。カネオダ。カネオダ。ラーメンカネオダに清き一票を。カネオダ、カネオダ、明るい政治、明るい未来。ラーメンカネオダをよろしくお願いします。なんじゃそりゃ。よし、湖が見えてきた。なんじゃ、そこにギターを持った、おじいちゃんが、交差点前で、何かしらを歌っていた。ちょっと、寄ってくか。
「ありがとう、ありがとう。兄ちゃん、姉ちゃん。俺の新曲、68の夜を聴いてくれるかい」
順子は楽しそうにほほ笑み、俺は、何か胡散臭い気持ちになった。よしよし、聴いてみよう。何々。
「落書きの年金手帳と通帳ばかり見てる俺。老後の安心のために歌ってる。嫁は三年前に他界したけど、俺は嫁を愛している。盗んだ原チャを売ってあげる、10万で、お姉ちゃん、かわいい」
「おっさん、やかましわ。順子、行くぞ」
「はい、あなた」
俺は再び、運転席に座り、追いかけてくるおじいちゃんをバックミラーで確認しつつ、ラーメンカネオダに向かった。




